FC2ブログ

残り物には福がある  episode 0

「つくしもそろそろ彼氏ぐらい作りなよー」
「そうですよ。牧野製薬のご令嬢が
 いつまでも独り身だなんて…おばさまも嘆いていましたわ」

そりゃあ、あたしだって恋愛にまったく興味がないわけじゃないけどさ。


『残り物には福がある』
    ~episode 0~





続きを読む

残り物には福がある 1

「あっれー?司?
 最近よく会うね、暇なの?」

滋の失礼極まりねぇ言葉に小さく舌打ちをした。


『残り物には福がある』   第1話


少し前までは半年に1回顔を合わせればいい方だった。
それが最近は月に1回は会ってねぇか?

それもこれもババァのせいだ。
最近はやたらとこうしたパーティに参加させやがる。

その狙いはわかってる。
パーティの度にどこぞの社長や会長といった爺どもが
娘だの、孫だのと次々と紹介してくるのは
見合いを嫌がるオレとどうにか顔合わせをさせようって魂胆だ。


「暇なわけねぇだろ。
 これも仕事のうちなんだよ」
面倒くせぇと思いながらも答えるのは
ここでシカトでもすれば余計に面倒になる事を
これまでの付き合いで嫌と言うほどに知ってるからだ。

「道明寺さん、こんばんは」
滋のとなりでペコリと頭を下げるのは桜子。
「……」
その隣で言葉もなく一応とばかりに頭を下げるのが
少し前にパーティでこいつらの友人だと紹介された女。

牧野製薬の長女だとか言ってたか?
あれから何度か会ってるが、こいつはいつもこの調子だ。

まるでオレには興味がねぇとばかりに
一応だけの挨拶を済ませると
あとはオレに背中を向けて絡んでくる事もねぇ。

今までだって滋や桜子の友人だと名乗るやつらとも会ったが
結局は上辺だけの付き合いで滋たちを利用して
オレたちに取り入ろうって女ばっかだった。

だから今回もそうだと思えば…
初対面の時にも
「つくしは本当に友達だから!親友なの!」
といつもみたいに睨むなと
オレを殴ってきた滋の言うとおり
こいつはマジでオレに興味がねぇらしい。

でもまぁ、マジでこいつらの友達なら
下手に興味もたれても扱いが面倒くせぇし
こっちもその方が助かる。

滋に聞けば
あいつもオレと似た理由でパーティに参加させられてるらしいが
本人はパーティ自体が苦手な上に
さっさと帰って仕事がしたいとうんざりしてると言う。

あいつと知り合って数か月。
気が付けばパーティで顔を合わせると
オレたちと滋たち7人がなんとなく固まるようになっていた。

その間にもあいつの親が寄こしたんだろう
息子をつれて挨拶にやってくる連中に愛想笑いを浮かべてる。


「…はぁぁぁ。
 いい加減にしてほしいよ、まったく」
愛想笑いのしすぎで固まった頬をほぐしながら
滋の隣にストンと腰を落とす。

「おばさまも心配してるんでしょ?
 だからちゃちゃっと彼氏の1人でも作っちゃえばいいんだよ」
そんな滋の言葉に
「やだよ。
 今適当な彼氏なんか作ったら
 それこそ強引に結婚まで話進めようとするに決まってるもん」
と身震いまでしてやがる。

「あー…確かに」
「おばさまなら…やりかねないですね」
滋と桜子が苦笑いを浮かべる。

オレもあいつの言葉に
心の中でそのとおりだと激しく同意した。

別に女が欲しいとか思ってるわけでもねぇが
オレやあいつが置かれてる環境は
より恋愛に慎重にさせてるだけで

恋人の1人でも作り、
結婚を意識して欲しいと願うなら
これじゃ、むしろ逆効果だ。

そんな事を考えながら
さっきの親子連れにもらった名刺に目をやり
ため息を1つついてカードケースにしまうあいつを
何とはなしに見ていた。



 
いつも応援ありがとうございます♡

★マイペース更新になりますがとりあえずスタートです(*・ω・)★

残り物には福がある 2

「また相談に伺ってもよろしいかな?」
「はい。いつでもお待ちしてます」

顔見知りらしい爺とそんな言葉を
親しげに交わしていた事に首をかしげた。


『残り物には福がある』   第2話


立場もある爺がこいつに何の相談があるんだ?

「…おい」
声をかけてから気付いた。
挨拶以外で話すのは初めてかもしんねぇ。

「……」
だからなのか、こいつもまさか
自分が話しかけられたとは思ってねぇのか反応がない。

「おいっ!」
お前に言ってるとばかりに肩を叩いてもう一度言えば
「へっ!?あたし?」
と目を丸くして振り返り、
他の奴らも何も言わないにしても
オレの行動に驚いた様子を見せたのは気付いたが
そこはあえてスルーだ。

「お前、仕事何やってんだ?」
「え?…あぁ、弁護士をしてます」

「…製薬会社の長女がか?」
「うーん…。
 一応薬剤師の免許とかも取ってはいるけど
 あたしが継がなくてもうちの場合弟もいるし?」

あぁ…なるほど。弟がいるのか。
確かにオレの姉ちゃんだって
結婚して家を出た今も仕事はしてるが、
実際に家を継いでいくのはオレだ。

「お前、あの爺のとこの顧問弁護士なのか?」
さっきの爺はそれなりに名の通った会社の会長だ。
そんな所でその若さで顧問弁護士なんてしてるなら
こいつはそれなりの腕があるって事だ。

すると、こいつはへらっと笑って
「あー…あれね。
 あれは違うよ。顧問弁護士なんてやってないし。
 相談っていうか、お茶飲み友達っていうか…そんなとこ?」
なんて事を言う。

その言葉を聞いて
「……なんだよ、愛人でもやってんのか?」
なんてつい聞いてみれば
「はぁっ!?
 どうしてあたしがそんな物やらなきゃいけないのよっ」
苛立ちを隠さない表情で
オレをキッと睨みつけてくる。

「あ~っ、と!…つくしはさ!
 おじさまキラーなんだよっ。ね?」
とオレらの雰囲気を察して滋が間に入る。

「あ?」
「弁護士って職業柄もあるけど
 つくしって聞き上手で愛想もいいしさ。
 ついでに家が製薬会社でお薬とかも詳しいじゃん?」
だから爺どもの話題に事欠かないと
こいつのファンだと豪語する爺が多いと言う。

「そのうち奥様にまで気に入られて
 ついでに息子や孫をあてがわれそうになるんですよね?」
と桜子がクスッと笑いながら言えば
「そんな事したら
 絶交しますって言ってあるから最近はそうでもないよ。
 おかげでこうやってパーティにかりだされるんだけどね…」
困ったような顔で笑うこいつは
もうオレから背を向けちまっていた。


悪気はなかったとはいえ愛人だとか言った事を
一応謝った方がいいのかと少しは思っていたオレも
きっかけもねぇし、こいつも気にしてるって感じでもねぇなら
もういいかと、いつも通り言葉を交わす事もなく
過ごしているうちに遅れていた類がやってきた。


「おー、類。遅かったな」
手をあげたあきらを見つけると
類もこちらへと歩いてくる。

「来るの面倒くさいから
 昼寝して仕事の時間ずらそうとしたんだけど…失敗した」
と相変わらずの様子の類。

オレらと一通り挨拶をすませると
類は滋たちがいるソファへと向かい
「ちょっとゴメン」
と牧野に声をかけて空いたスペースに横になる。

類と牧野は以前から知り合いだったらしく
「はいはい」
とあいつも慣れた様子で
類に譲るみたいに奥へと少し移動すると
そのまま類は瞳を閉じてしまった。


そんなオレたちの様子を
少し離れた所からじっと見ていた視線が
いくつかあった事に気づいていなかった。



 
いつも応援ありがとうございます♡

残り物には福がある 3

「おかえりなさいませ」

パーティを終えて家に帰ると
使用人頭のキヨさんが迎えてくれた。


『残り物には福がある』   第3話


キヨさんはあたしが生まれる前から
この家に仕えてくれてる人で
もう80も越えてるっていうのに現役バリバリ。

「今日は遅くなるから
 先に休んでてって言ったのに…」
「つくし様がお帰りになる前に
 眠りにつくほど老いぼれちゃいませんよ」

「もう。そんな事言ってないでしょ。
 …でも、ありがとう。やっぱホッとする」
キヨさんは忙しかった両親よりも
長い時間を一緒に過ごしてきたから
本当の祖母みたいな存在だ。

「素敵な殿方には巡り合えましたか?」
ニヤりと笑ってそんな事を聞いてくるキヨさんは
絶対わかってて聞いている。

「…キヨさんまでそんな事言って。イジワル」
「イジワルなものですか。
 キヨはつくし様のお子をこの腕に抱くまでは死ねません」

「だったら、キヨさんに長生きしてもらうためにも
 まだまだ仕事を頑張るからこれからも宜しくね?」
「…イジワルはつくし様でございましょ」
ジト目で睨みつけてくるキヨさんにクスッと笑う。

部屋に戻ると
窮屈なドレスを脱いでシャワーを浴びると
まだ濡れている髪を拭きながら
今日頂いた名刺を整理する。

「…ったく。
 そのうち名前も覚えられなくなるっつ―の」
ブツブツと言いながら
忘れないうちに特徴なんかを名刺の裏に書いておく。

ママやパパの愛情が伝わってないわけじゃない。
昔から男勝りでちっともお嬢様って柄でもなかったあたしは
小さな頃から「嫁の貰い手がない」なんて言われてたし。

28にもなって彼氏の1人も
紹介する事もないあたしが
このまま一生独りなんじゃないかと
心配をかけてる事は少しは悪いと思ってる。

でもだからって…こればっかりは。
好きでもない人と適当に付き合う気にもならないし
そんな人相手に無駄な時間を過ごすなら仕事をしてたい。

「はぁぁぁ…」
たまってきた名刺を眺めて小さくため息をついた。


そんなある休みだった日曜日。
朝早くから起こされたかと思えば支度を急かされて
急なお客様でも来るのかと準備をしてみれば

車に乗せられやってきたのは
獅子おどしの音が耳に心地よく響く料亭の離れ。

いかにも…な、雰囲気だ。

「……パパ。殴っていい?」
「え、えぇっ!?こっ…困るなぁ」
殴られる覚えがあるというその態度だけで
この嫌な予感が的中してる事を知るには十分だった。

拳にハァーっと息を吹きかけた、その時

「ババァッ!ふざけんじゃねぇぞっ」
と廊下の方で
聞いた事のあるような声がした。

…この声誰だっけ?

頭の中でもらった名刺と顔を思い浮かべてみるけど
この人だってのが浮かばない。

うーん…最近聞いたような気もするんだけどなぁ。

そんな事を考えてる間にも
「静かになさい、みっともない」
凛とした声が襖のすぐ裏から聞こえたかと思えば
「お待たせいたしまして、申し訳ありません」
と部屋に入ってきたのはその声にふさわしい
ピンッと背筋を伸ばした女性と

「おいっ!
 こんな騙し討ちみてぇな事してただですむと…っ」
額に青筋を浮かべていた男性に目を見開いた。

「ど、道明寺さん!?」
思わず声を出したあたしに振り向くと
「あ?お前…?」
向こうもあたしに気付いて
しばらく視線をぶつけたまま固まった。



 
いつも応援ありがとうございます♡

残り物には福がある 4

自分が置かれた状況、
その場に現れた目の前の相手。

頭の中で必死に整理しようと固まるあたし達の隣で
パパとママ、そして道明寺さんのお母様だけが笑っている。


『残り物には福がある』   第4話


えーっと。
これってやっぱり
お見合いとかそういう事だよね?

よりにもよってどうして道明寺さん?
うちなんかとお見合いしなくても
道明寺さんならいくらでも相手くらいいるんじゃないの?

「2人は顔見知りよね?
 だったら紹介なんていらないかしら?」
道明寺さんのお母様に言われて
「あ、…はい」
と頷いて、一応道明寺さんに会釈をすれば
「……」
無言で視線をそらす。

その態度とさっきの悪態を考えれば
そっちも見合いだと知らされずに連れて来られたんだろうけど

相変わらず、失礼な奴っ!

パーティで何度か顔を合わせてはいたし
女嫌いなんだって事も滋と桜子から聞いて知ってる。
でもそれとこれとは話が別でしょうがっ。

こっちだって来たくて来たんじゃない。
いい大人なんだから挨拶くらいまともにしろっつーの。

その苛立ちを
どうにか発散させようと
顔には愛想笑いを浮かべながら
隣に座るパパの足をギュ~ッと抓ってやれば
パパはプルプル震えながら必死に声を出すのを我慢してる。

すると、クッと道明寺さんが小さく笑った気がして
バレたのかと、慌てて見てみたけれど
ムスッとした表情のままで咳払いしただけかとホッと胸をなでおろす。

その間もママと道明寺のお母さんはにこやかに
世間話なんかを続けていたけれど

「つくしさん、急にこんな席を設けてごめんなさいね。
 お母様に無理を言って私からお願いしたの。
 どうか気を悪くなさらないで?」
なんて言われ曖昧に笑うしかできない。

「あの…
 道明寺さんは、素敵な人だと思いますし
 お話は嬉しいんですが…」
素敵だと言いながら道明寺さんを少し睨んだりしつつ
早いうちに断ってしまおうと切り出すと

「そう結論は急がないで」
と話を遮られた。

「そうよ。つくし。
 何もこの場で決めろなんて言わないわ。
 せっかくのご縁なんだからお友達からって事で、ね?」
そう言うママの瞳は、これを機に
道明寺とお近づきに…と口よりも語っているようで…。
頬がピクピクと痙攣する。

「これがお見合いじゃないなら何かと言われると
 返す言葉はないのだけれど
 そんなに固く考えないでほしいの。
 お母様の言うとおりまずはお友達として
 うちの司と向き合っては頂けないかしら?
 もちろん、2人の意思に反して婚約したと公表したり
 まして強引に結婚の話を進めたりはしないと約束するわ」

真剣な眼差しでまっすぐにあたしに向ける
道明寺のお母さんもまた、あたしの両親と同じで
息子の将来を案じているのだろう。

「どうかしら?
 考えてくださらない?」
縋るように聞かれてあたしは考える。

あたしはもちろんだけど
道明寺さんだって
その気なんてほんのこれっぽっちもなはず。

だったらここはママ達の話に乗ったフリをして
ほとぼりが冷めた頃にお断りすればいい…よね?

それに少なくともその間は
むやみに出会いを強要される事もなくなるんだろうし。

そう考えると悪い話ではないのかも?

そんな事を考えながらチラッと道明寺さんを伺ってみると
同じような思考を巡らせていたんだろう

「……わかった。そのかわり
 オレらがやっぱり無理だって言った時は
 あとからゴチャゴチャ言うんじゃねぇぞ?」
とニヤリと笑って言った。



 
いつも応援ありがとうございます♡
プロフィール

koma

Author:koma
管理人komaの
くだらない妄想の世界へ
ようこそいらっしゃいました。

基本テイストとしては
ラブコメ風味の
ゆる~いつかつく道を
突っ走っております。

ご覧頂きありがとうございます♪
*カウンター*
 
*現在の閲覧者数*
ランキングサイト
素敵サイトがたくさん♡
 
*ランキング参加中*
 
 
*新着のお知らせだけ登録中*
komaの呟き。
 
 次回作…
まだ迷ってますが
 
メイドなつくしちゃん
 
なんて
どうでしょうかね?
(*´ω`*)?
 
 
最新記事
最新コメント
カテゴリ
検索フォーム
リンク
素敵サイト様
*素敵なイラストなど♪* 管理人 まま様

*二次が生んだ二次作家様*
管理人 aoi様

*CP自在のファンタジスタ* 管理人 asuhana様

*イケメンイラスト&二次小説*
管理人 やこ様

*長編大作の巨匠様* 管理人 こ茶子様

*胸きゅん♡つかつく* 管理人 Happyending様

*カッコ可愛いつくしちゃん*
管理人 四葉様

*切なくも甘いつかつく*
管理人 きぃ様

*シビれるッ!つかつく♪*
管理人 lemmmon様

*とにかく司を愛する作家様*
管理人 蘭丸様

*世界観がkomaのツボ♡*
管理人 チムチム様

*めちゃカッコいい総ちゃん♡*
管理人 Gipskräuter様

*パワフルなつくしちゃん♪*
管理人 つくしんぼ様

*筆の向くまま、オールCP♡*
*ほっこり和む優しいつかつく*


*貴重なつかつく&総優さん♪*

*チャーミングなつかつく♡*

*鮮やかなつかつく♡*
イベントサイト
*つかつく*

   
   
 
*ALL CPコラボ*

   2017.10
 
ブロとも申請フォーム
  

    [ブロとも申請フォーム]へ

 
      申請の際は
  「ブロとも申請について」
  の記事をご覧になってから
    して頂きますよう
   お願いします(人∀・)