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GOOD LUCK  episode 0

あたしは道明寺専務が苦手だ。

生まれもった他を圧倒するあのオーラも
大きな体もあの射るような鋭い視線も
あたしにとっては恐怖の対象でしかない。


『GOOD LUCK』   ~episode 0~



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GOOD LUCK 1

「…おい、牧野」
「ひっ…あ、はい。何でしょう…?」

そろりと振り向くと
不機嫌そうな専務があたしを睨みつけてから
深く深く、ため息をついた。


『GOOD LUCK』   第1話


専務と初めて会った…というか
一方的に知ったのは英徳学園高等部。

生徒はもちろん、教師でさえ逆らう事は出来ずに
白い物でさえ彼らが黒と言えば黒になってしまう
あの異常な世界を支配していたのがF4。

肩がぶつかったから…なんて
めちゃくちゃでも理由があるならまだいい方で
下手すれば一瞬目が合っただけで赤札を貼られて
学園を去っていった学生をあたしはこの目で何人も見てきた。

そんなF4のリーダーだったのが
道明寺司……今のあたしの直属の上司だ。


秘書課に配属されてからというもの
何故かあたしは専務に目を付けられている。

―今度の異動、楽しみにしておけよ?―

そんな呪いみたいな呪文を唱えられたのが約1ヶ月前。
てっきりどこか遠くの地方へと飛ばされるのか…
最悪クビ!?なんてビクビクしていたらどうしてだか

専務の第2秘書になってしまった。

…これは、うん。
処刑なんて一瞬で楽になれると思ったのが甘かったんだ。
いびりにいびり倒して飽きたらクビの実刑パターンだ。

専務があたしをいびる事に飽きるまで
どれくらい時間があるのかは
わからないけれだクビを切られる前に
あたしにはやらなきゃいけない事がある。

それは桜子との賭けの約束。
今回の異動であたしがこの秘書課にいたら
彼女のお願いを1つ聞く事になっていて

そのお願いが…“専務の女性好みを探る事”だ。

桜子と専務は幼稚舎の頃から顔なじみで
高等部の頃から密かに想いを募らせ続けていたと言う。

「これから秘書としてそばにいるんですから
 道明寺さんの事を知るくらい簡単だと思いますけど?」
なんてのん気な顔で言うけどさ。

あたしは出来るかぎり関わりたくないのよ。
それに友達としても桜子には
幸せになって欲しいと心から願ってる。
その為にも専務みたいな男はオススメできない……。

だけど桜子との約束を反故にする方が
もしかすると専務より怖いような気もするんだよなぁ…。

はぁぁぁ…どうしよ。


「……んのかッ!?…おいっ!!」
「へ?」

気が付けばつい物思いにふけって
専務が何か話していたのをずっと無視していたらしいあたし。

「…オレ様の話をシカトするとはいい度胸してんじゃねぇか」
額に青筋を何本も浮かべあたしを見下しながら
引きつった笑みを向ける専務の姿はまさに悪魔そのもの…。

「えっと…もう一度言ってもらえ…たりは?」
ビクビクとしながらも聞き直してみたものの…

「2度も言うかっっ!
 さっさと定例会議行くぞ」
そう怒鳴ると嫌みなほどに長い足でスタスタと歩いていく。

「あっ…はいっっ!」
専務が何を言ってたのかと
少しは気になるけどしつこく聞いたらまた怒鳴られそうだし…

何か重要な事だったとしたら
専務だってまた言ってくれるよね?

そう結論付けて専務を追うように走り出せば

「遅ぇっ」
と腕を引っ張られるようにされて
周りから見ればまるで連行されてる状態…。

……桜子、ごめん。

専務の好みを聞き出せる前に
あたしはやっぱりクビになるのかもしれないわ。





いつも応援ありがとうございます♡

GOOD LUCK 2

「ひぇ…っ!」
目が合っただけで小さく悲鳴を上げて
2、3歩後ずさりしてオレから遠ざかる小せぇ女。

怖がられるってわかってても
目で追わずにいられない愛しくてたまんねぇ女。


『GOOD LUCK』   第2話


牧野がオレの第2秘書になってから一週間。
黒木の秘書だった時は目が合っただけで
踵を返してダッシュして逃げられる事だってあった。

…んなもん
全部追いかけてとっ捕まえてやったけどな。



「…おい、牧野」
これでも驚かせねぇように
気をつかって声をかけてるつもりだ。

それでもこいつはビクッと肩を揺らして
「ひっ…あ、はい。何でしょう…?」
と、今にも泣きそうな顔でこっちを振り向く。

「……はぁぁぁ」
一週間経ってこれじゃ、
お前が自然とオレに近づくようになるまで
一体どれくらいかかるんだ?

オレが見たいのはそんな顔じゃなくて笑顔だ。
三条といる時とか飯食ってる時は笑ってんだけどな…。

……飯?
だったら何か美味いモンでも食わせてやったら
オレの前でも笑うのか?

「……なぁ。今日飯でも行かねぇか?」
とりあえずそう聞いてみたものの
「……」
牧野からは何の返事も返ってこない。

女なんて誘った事もねぇから
これでいいのかわかんねぇ…素っ気なさすぎたか?

「何食いてぇ?」
とりあえず拒絶の言葉がないのをいいことに
行く前提で続けてみてもまだ牧野は何も答えない。

これでもこっちは結構勇気ふりしぼって誘ってんだぞ。
行くとか行かねぇとか何でもいいから答えろよ。

そう思ってこいつの顔を覗き込んでみれば
何言ってんのかまではわかんねぇが
考え込んでブツブツ言ってやがる。

「…おい?」
目の前で声をかけてみても牧野の反応はねぇ。

…おいおい、まさか。

「聞いてんのか!?牧野っ…おいっ!」
そうオレが声を少し大きくした事でようやくハッとしたように
「へ?」
と漸くオレと目を合わせた。

「オレ様の話をシカトするとはいい度胸してんじゃねぇか」
「えっと…もう一度言ってもらえ…たりは?」
気まずそうに控えめに聞いてくる牧野。

「2度も言うかっっ!
 さっさと定例会議行くぞ」
こっちがどれだけ勇気ふりしぼって誘ってたと思ってんだ!

断るならまだしも、聞いてねぇって何なんだよ!
おかげで気を付けてたのについ怒鳴っちまったじゃねぇかよっ。

それでもイライラしながら歩くオレの後ろをパタパタと追いかけてくる
牧野の足音は一週間前までは聞けなかったもので

それだけでどこか心が満たされるなんて
オレも相当こいつにイカれてる。

「遅ぇっ」
逃げられねぇように
振り返ると同時にこいつの腕を掴んだ。

そんなオレらの様子を三条が廊下の影で
クスクスとバカにしたように笑ってるのが見えた。
あいつは高等部の頃に告ってきてからの
腐れ縁のようなモンだが、他の女にはねぇ
ズケズケとハッキリと物を言う態度は案外嫌いじゃねぇ。

それにオレが牧野に惚れてる事を知ってる数少ない人物だ。

「先輩が道明寺さんに惚れる可能性なんて
 5%もあればいい方だと思いますけど…まぁ頑張って下さい」
なんて協力する気があるのかねぇのかわかんねぇ態度だが
牧野の友人でもあるあいつが敵にまわると厄介なのは確かだ。

「チッ…」
小さく舌打ちをしたのは当然三条に対してだったが

「ひぇっ…すみませんっ」
と自分に対してだと勘違いした牧野がまた怯えた顔をした。




いつも応援ありがとうございます♡

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GOOD LUCK 3

オレとあいつが出会ったのは高等部の頃だ。

そう言っても
それを大事に覚えてるのはオレだけで
あいつはあの時の男がオレだとは未だに気付いてねぇ。


『GOOD LUCK』   第3話



あの日は、あいつらともつるむ気になれなくて
適当に街に出て目についた店で1人で酒を飲んでた時に
その店にいたガラの悪ぃ客に絡まれて喧嘩になった。

そいつはもちろん憂さ晴らしにサンドバッグ代わりにしてやったが
それなりに腕に覚えがあったのか、珍しくオレも口元を切っちまってた。

シラけたと店を出れば
さっきまで降ってなかった雨が降っていて

いつもなら車を呼ぶオレだが
この日はどうしたって1人でいたくて傘もささずに歩き出した。

いくら人を殴ってもスカッとなんてしねぇし、
殴られても、血が出ても痛みも大して感じねぇ…。

そんな自分が必要な人間かと問われれば
道明寺の後継ぎとしては必要なんだろう。

でもそれは、たまたま男兄弟がいねぇからであって
もしオレに兄かもしくは弟でもいれば、唯一の存在意義すら揺らぐ。

__結局、オレ自身なんて誰も見てねぇんだ。


相当飲んだ後に派手に喧嘩して
そんなくだらねぇ事を柄にもなく考えていたせいか
珍しく酔いがまわった気がして雨に打たれたままその辺に座り込んだ。

そんなオレを近くを通って行く奴は
チラチラと視線を送りながらも通り過ぎていく。

どれくらいそうしていたか…


「…え、ちょっと、やめなよっ。
 絡まれたりしたらどうするの?」
「でも…この人、なんか具合悪そうだし…」
「放っておきなって。危ないよ」
「…うーん、でもちょっとだけ。みっちゃん先行ってて?」

そんな会話が聞こえた後、雨粒が当たらなくなって
顔を上げてみれば女が1人オレに傘を差しだした状態で立っていた。

「…だ、大丈夫ですか?」
声をかけてきたこいつを睨み付けてやれば
差し出した傘を持つ手は少し震えてる。

怖いならダチの言うとおり
酔っ払いなんて放っておけばいいだろうが。

「うるせぇよ…構うんじゃね…ってぇ。」
文句を言おうと口を開くと
さっきの喧嘩で切った傷が開いたのかツキンと小さく痛んだ。

「あ…っ。あなた、怪我してるじゃない」
そう言うと鞄からハンカチを出して
オレの前にしゃがむとそっと傷口に触れる。

「傷は深くないみたいだけど…
 こんな所にいつまでも座ってたら風邪ひきますよ?」

「……たとえオレが死んだって本気で泣く奴なんていねぇよ」
初めて会った女に
どうしてそんな事を口走ったのかはわかんねぇ。

ただ、傷に触れる手が温かくて
もう少しこいつにそばにいて欲しいと、そう思った。

「……じゃあ、あたしが泣きます」
ポツリと呟いたこいつはオレをまっすぐに見る。

「泣くって…オレが誰かも知らねぇのにか?」
自嘲気味な笑みを浮かべたオレを笑うでもなく
「そりゃ知らないけど…。
 でも、もうこうして関わっちゃったんだから
 少しでも知ってる人が亡くなったら…悲しいです」

道明寺財閥の跡取り息子じゃない、
こんな所で座り込むタチの悪ぃ酔っ払いのオレに
死んだら悲しいなんて真面目な顔で言う。

「でも、あたし泣いたら
 目とかすごく腫れちゃって大変なんです。
 だから、あなたも何があったのか知らないけれど
 風邪こじらせて肺炎とかになっちゃう前に
 早く帰ってお風呂入ってゆっくり寝て下さい」
ニコッと笑うとオレに傘を強引に渡して少し先で
こいつを心配して待っていたダチの所へ走って行った。


オレが死ぬ事で目が腫れるほど泣くと言う奴がいる。
それがどこまで本気の言葉だったのかはわかんねぇ。
酔っ払いを励ますだけの戯言だったかもしんねぇ。

だけど…信じてぇ。
それだけでオレに道明寺司としてじゃない存在意義ができるんだ。

あいつがオレの事を何も知らないように
オレだってあいつの名前も歳も何も知らない。

そもそも、また会えるかどうかも怪しいくらいだ。

だけど、オレはあいつの目を腫らす事のねぇように
この後すぐに車を呼んで邸に帰る事にした。





いつも応援ありがとうございます♡

★良い子の皆さんは高校生のうちから
  お酒飲んじゃダメですよ~(ヾノ・∀・`)ダメダメ★

GOOD LUCK 4

あの日から数年。

大学3回生になったオレは
二度と会えねぇかもとさえ思ってたお前が
思ってたよりずっと近くにいた事を知る事になる。


『GOOD LUCK』   第4話


昼になってようやく顔を出した大学。
総二郎たちの所にでも行くかと足をテラスに向けると
手前のカフェに三条がいる事に気が付いた。

…と言うより、視線を奪われたのはその連れの方だ。

「先輩、講義もバイトも入れすぎですっ。
 いつ私と遊んでくださるんですか?」
「あははっ。ごめんごめん。
 でも学費払う以上は講義は
 出来るだけ受けなきゃ損だしさー。
 バイトだってしなきゃ生活出来ないんだもん」

「今度の休みは私に付き合ってもらいますからねっ!?」
「わかってる、わかってる。
 あー…っと。もう時間だっ。じゃあね、桜子!」

そう言って三条に手を振って走って行った女。
それがあいつだった。

「…もうっ!」
そんなあいつにため息をつきながら
見送っていた三条に近づいて声をかける。

「……今の奴、お前の知り合いか?」
「あら、道明寺さん。お久しぶりです。
 牧野先輩ですか?先輩は私の大事な友人ですけど…」
そう話すこいつの表情は警戒心に満ちている。

「別に取って食おうってわけじゃねぇよ。
 前にちょっと街で世話になった事があってよ…
 そうか、あいつ牧野っつーのか」
「…先輩に?
 道明寺さんに会ったなんて話、聞いた事ありませんけど」
訝しげな顔をする三条。

「…あいつここの学生なんだよな?」
「はい。先輩は高等部から編入してきた一般の学生です」

高等部からいるなら
オレの顔くらい知ってたんじゃねぇのか?

なら、オレに近づくために
知ってて知らねぇフリしたのか……?

でもそれならあの後すぐに、近づいてくるよな…?

「…あいつ、オレの事知らねぇって事はねぇよな?」
確認するように聞いてみれば

「はい。もちろんですわ。
 …と、言っても先輩にとって
 道明寺さんはこの世で最も忌み嫌う存在かと思いますけど」
なんて思いもよらねぇ答えが返ってきた。

「あ?」

「高等部からいたんですから、当然先輩も赤札の事は知ってます。
 正義感の強い方ですから…理不尽に弱い者を追い詰める
 あんなゲームをしていたF4の皆さんを昔から嫌ってらしたので。
 道明寺さんに告白した私も危うく絶交されるところでしたから…」

「まぁ私は道明寺さん個人ではなく
 その輝かしいステータスをお慕いしてましたので
 先輩を失ってまで道明寺さんにこだわる必要もないかと
 あっさり他の方に乗り換えさせて頂きましたけどね」
と悪びれる事もなく、オレ自身ではなく
オレの付属物に惚れたと笑顔でハッキリ言いやがるこいつ。

そんな三条が友達って…
あいつもやっぱり他の女と変わらねぇんじゃねぇのか?

そう考えたオレの表情を敏感に察知する三条は

「先輩と何があったかは存じませんけど。
 先輩が私たちと同じような人間だとは思わないで下さいね?
 先ほども申し上げましたが、先輩は私の大事な友人です。
 私が整形だと知った上で私自身を認めて下さった方なんです。
 だから…先輩に何かする気なら、
 いくら道明寺さんとは言え、私も黙ってはいませんよ?」
とオレを牽制するように鋭い目線を向けてくる。

こいつがどうしたって
オレが本気になれば、邪魔なんて出来るワケはねぇ。

それがわかんねぇほどバカでもねぇこいつが
オレに向かってこんな口を聞くのはすげぇ珍しい。

やっぱあいつはオレの思った通り
人を見た目やステータスで判断する奴じゃねぇって事か。

「…それならオレだってさっき言っただろうが。
 取って食おうってわけじゃねぇよ。ただ……」
その先を言おうとしたが、嫌われてると聞かされた手前口ごもる。

だったら
あの日は単純にオレだと気付かなかっただけか。

考えてみりゃ、濡れた髪はストレートになってたはずで
オレだと認識できなかっただけなのかもしれねぇ。

オレだって知ってたら、
お前は最初から手を差し伸べなかったか?

あいつは道明寺司としてじゃない、
ただの酔っ払いのためには泣いてくれると言ったが
その酔っ払いがオレだと知ったら…もう泣いてはくれねぇのか?


オレが惚れた女は、オレ自身を知った上で嫌う女だった。

自分がやってきた事を考えれば当然で
これはもう絶望的だと諦めようとする一方で
それでもそんなお前がやっぱり好きで、欲しいと願う。
自分でも呆れるほど矛盾した気持ちに胸が苦しくなった。




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   2017.10
 
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