クラッシュ episode 0

別に勉強が好きなワケじゃねぇ。
スポーツだって自分から何かやろうってほど
楽しいわけじゃねぇ。

別に好きでなくても何だって出来る。
それはオレが道明寺司だから当たり前だ。


『クラッシュ』   ~episode 0~



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クラッシュ 1

「「せ~…っの!」」

声を合わせてお互いの前に出したのは
今、返されたばかりの漢字のテスト用紙。


『クラッシュ』   第1話



向い合せに同時に出したテストを
お互い覗き込む。

並んだのは逆さまの“100”とこっち向きの“99”の数字。

「やったぁ!あたしの勝ちぃ」
「チッ!何だよ99って!
 1問5点じゃねぇのかよっ!」
ピョンピョンと飛び跳ねるこいつを横目に
舌打ちをして自分のテスト用紙を確認してみれば

『△-1 はねるもさいごまでキッチリと』
と最後の一画にセンコーのチェックが入っている問題があった。

「んだよっ!ちゃんとはねてんだろっ!」
「はねてないから“-1点”なんでしょー」
そう言いながら
同じ問題の自分の書いたしっかりとはねた文字を見せてくる
生意気なこいつは牧野つくし。

オレたちが通う英徳学園初等部がやってる
特待生制度を利用してこの春に転校してきた女。

牧野の他にも特待生は何人かいるし
特待生と言うからにはそれなりに優秀なヤツばっかだが
こいつはその中でも群を抜いている。

それまでオレがぶっちぎりで何でも1位だったのに
牧野が来てからは不本意ながら2トップ状態。

テストだって体育の記録だって
負けてはねぇけど…勝ってもねぇのが現状だ。

「…確かに牧野と比べると司ははねてねーな」
「雑なんだよ、司は」
「それに比べて牧野のは丁寧だよね」

オレと牧野が勝負をしてると
必ず寄ってくる総二郎たちにまでそう言われて

「うっせー!」
と怒鳴ってみても4人はケラケラと笑う。


家庭教師だってコーチだって
たくさんつけてるオレに比べて
牧野ん家は貧乏で塾にさえ行ってねぇらしい。

どうやって勉強してんだ、と聞いてみれば

「…?
 授業もわかりやすいし、わかんない所あっても
 あとで先生に聞いたり、図書館行ったら調べられるでしょ?」
なんてきょとんとした顔で
オレの常識では考えられない答えが返ってくる。

そしてオレとあいつの違いはもう1つ。

オレは道明寺財閥の1人息子って事で
この英徳学園の中じゃカリスマってやつで
総二郎たち3人とまとめて「F4」なんて言われてる。

だからクラスの奴らなんかと
いちいち気安くつるんだりしねぇ。

だけど牧野は違う。

男も女も関係なく誰にでもフレンドリーで
今じゃ隣のクラスからもあいつを探してやってくるダチもいる。

あいつの事を嫌いかと聞かれれば
嫌いってわけじゃねぇ。
別にオレが負けたからってバカにしたりはしねぇし。

オレが勝った時はすげぇ悔しがった後に
「道明寺、やっぱすごいね!」
なんて素直にオレのスゴさも認めたりもするし。

他の奴に言われるより
あいつに言われるのは少し違って、すげぇ嬉しかったりもする。

だけど……

このオレがあんな庶民と肩を並べて
同レベルに扱われてるのは気に入らねぇ。


「道明寺君と牧野さんって
 結局どっちがすごいのかなぁ?」
「んー。どっちもすごい、でいいんじゃない?」
「そうだねー」

そんなクラスの奴らの声が聞こえてくる度に
オレのプライドは傷ついてる。

オレは道明寺司だぞ?
あんな庶民の女と同じにすんじゃねぇよ。

牧野と色んな勝負をしながらも
オレの中でそんなイライラが積もっていった。




いつも応援ありがとうございます♡

★すみませーん。昨日寝落ちてました(^^;)★

クラッシュ 2

あんな庶民とオレが一緒なわけねぇ。
だったらクラスの奴らの声なんて無視すりゃいいのに

それが出来ねぇのは
誰よりもオレ自身がそう思ってるからなのかもしれない。


『クラッシュ』   第2話



負けてはなくても
これだけはあいつに勝ってるっつーモンもない。
勝ったり負けたりの繰り返し。

だからクラスの奴らの声が無視出来ねぇんだ。


だったら……1度でいい。

あいつを思いっきり泣かしてやればいいんだ。
オレの方が上だって事をあいつに思い知らせてやる。


そう考えたオレは
あいつの弱点を探る事にした。

まずは牧野は女なんだから、と虫を試してみる。

「牧野!」
「へ…?って、わっっ!!」
総二郎たちと話してる所に声をかけて
無防備に振り向いた瞬間にバッタを投げた。

バッタが牧野とあいつらの間に入った瞬間、

「ぎゃあああっ!」

そう叫び声を上げたのは
牧野じゃなくて…どうしてだかあきらで。

「何すんだよっ!」
珍しくマジギレしてるあきらの隣で
肝心の牧野と言えば

あきらが振り払ったバッタを
傷つけないように優しく持って
「へぇ~。おなかってこうなってるんだ」
なんてマジマジと観察を始めている。

「ねぇ、これなんて名前のバッタ?」
「…知るかよ」
その辺にいたの適当に持ってきただけで
種類なんて興味ねぇ。

そんなオレの返事にへぇ、とか言うと
ノートを開いてバッタの絵を描くと、
今度はどこが何色だとか、特徴を書きこんで行く。

「…何してんだ?」
そのノートを覗き込んで聞いてみれば
「帰ってから調べるの。
 でも捕まえたままだと可哀そうだから……よし、っと」
ノートに書き終えると教室の外へ出て
近くの草むらにバッタを放して
「ばいばーい」
とか言って手を振っている。

……お前、バッタにもフレンドリーなのかよ。
つーか、バッタとオレと態度が変わらねぇってありえねぇぞ。


虫作戦が失敗に終わって
だったらもう直接聞いてやれ、と

「…お前苦手な生き物ってねぇの?」
そう言ってみれば
「……いない、かなぁ?
 だってみんな可愛いじゃん」
なんてオレにとっては何の収穫にもなんねぇ答えが返って来る。

「嫌いな食べ物は?」
「…ない。何でも食べるよ」
あぁ、そんな気がした。
いつも何食ってもうまそうに食ってんもんな。

「苦手な科目は?」
「ん~…理科が苦手」
…こないだの小テストでオレ負けたじゃねぇかよっ!

「…もういい」
深くため息をついたオレが
牧野の弱点を知ったのは2年の終わり頃だった。

結局あいつが転校して来てから
これと言って勝ってるモンは見つからなかった。

このまま3年へと昇給すんのかと
悶々とした思いを抱えて過ごしていた冬のある日。


「昨日の雷スゴかったねぇ
 ゴロゴロ~、ドカンッ!って!落ちたのかな?」
「うん。あたし雷苦手だから怖かった…」

「つくしちゃんにも怖いものあるんだっ」
「あるよー。あと高い所も怖いよー」

オレは雷も高い所も平気だ。
これならあいつに勝てる。

牧野とクラスの奴が話してる声を聞いて
オレはほくそ笑んだ。




いつも応援ありがとうございます♡

クラッシュ 3

牧野の弱点は雷と高い所。

それを知ったオレは
どうあいつを泣かしてやるか作戦を練る。


『クラッシュ』   第3話


高い所ってだけならいつだって勝負を持ち込める。
だけど雷はいくらオレが道明寺司でも
簡単に用意なんてできるモンじゃねぇ…。

雷が鳴った時にすぐ何かを仕掛けないと
あいつを泣かしてやる事ができねぇな。


「雷と高い所で勝負するとしたら何がいいと思う?」
総二郎たちに聞いてみれば

「「「はぁ?」」」
3人そろって首をかしげてから

「高い所で勝負って言ったら
 バンジージャンプとかなくもねぇけどよ…」
「雷で勝負ってなんだそれ」
「……バカじゃないの?」
なんて口々に言葉を発しながら呆れ顔を向けた。

「牧野の弱点がその2つなんだよ!」
ムッとしながら言ったオレの言葉に

「相手の弱点狙って勝負かよ」
「女相手にハンデもらうのか?」
「……ダサ」
とまた口々に言いたいように言って

「いいじゃん、別に今のままでも」
と類。
「あ?オレ様が
 あんな貧乏人と同レベルでどこがいいんだよっ」

「だったら相手にしなきゃいいだろ」
と今度はあきら。
「それじゃオレが逃げたみてぇじゃねぇかよっ」

「じゃあ牧野に雷と高い所の何かで
 勝負したとしてそれで勝ってお前ホントに嬉しいわけ?」
と総二郎に言われた言葉には
何も返せなかった。


あいつらが言う方が正しいっつーのはわかってる。
それでもこれはオレのプライドの問題だっ!

オレの視線の先には
クラスの奴らと楽しそうに笑う牧野がいる。

そうだ。
オレばっかりがプライドを傷つけられて
あいつは何もねぇなんて、それこそ不公平じゃねぇかよ。

あいつだってちょっとは傷つけばいいんだ。

だから、1度でいい。

1度でいいからあいつを泣かして
オレの方がすごいんだって事を見せつけてやりたい。


それでも雷と高い所を結びつける勝負が思いつかず
どうしたものかと思い悩んでいたある日。


「なんか空が真っ暗だねぇ…」
「今日雨降るって言ってたっけ?」

なんてどこかから声に空を見上げてみれば
確かにどんよりと重たそうな空で。

その雲が小さくピカッと光ったのをオレは見逃さなかった。


この時期、雷なんてそうそう鳴るモンじゃない。
だったらこのチャンスは生かさないと
次はいつ牧野を泣かすチャンスがあるかわかんねぇ。

そう考えたオレは
とりあえずあいつを高い所へ誘い出そうと
「牧野!ちょっと来い」
とアイツの手を引いて教室を飛び出した。






いつも応援ありがとうございます♡

★小学生の男子ってホントろくな事しないイメージで書いてます(笑)★

クラッシュ 4

「ねぇ、道明寺。どこ行くの?」
「うっせ。いいからついて来い」

牧野の手をひいて
オレが勝負の場所に選んだのは屋上だった。


『クラッシュ』   第4話


屋上に出ると
牧野は高い所が苦手だと言ってただけあって
ドアからほとんど離れねぇ。

おまけに空もさっきより色が濃くなってきていて
オレにとって最高の状況が作れた。

「……教室帰ろうよ」
不安そうにオレの手を握る牧野。

こんなこいつを見るのは初めてで
オレの中の優越感が満たされていくのを感じた。

「勝負しようぜ。2年最後の勝負」
オレが得意気に言えば
「…勝負?」
と首をかしげる。

「あぁ、そうだ。
 この石をこの屋上の端っこに置くんだ。
 それで、より遠くに石を置けた方が勝ちだ」
そう言って指さしたのは屋上の柵。

「やだ。そんなのつまんない」
屋上の端っこなんて行けるわけがねぇこいつは
そう言って戻ろうとする。

「逃げんのかよ」
そう言ったのは、こいつもまた
オレと同じくらい負けず嫌いだって知ってるから。

「…逃げ、ないよ」
足を止めた牧野はすげぇ嫌そうな顔で振り向いた。

「よし。じゃあオレからな?」
そう言って石を拾うとスタスタと歩いて行って
石を柵の下に置いて戻ってくる。

ここに石を置けば
牧野は勝つために柵の所まで来る必要がある。

「…次はお前の番」
石を渡すと、牧野は受け取った石をじっと見つめてから
覚悟を決めたみてぇにオレが置いた石の方を睨みつけた。

そこから10歩くらいはサクサク歩いたが
進んだ事で下が少し見えたのか足が止まる。

「ギブアップか?」
オレが後ろから声をかけると
振り向いてオレを睨むとまたゆっくりと歩き出す。

オレが置いた所より手前に置こうとしたこいつに
「オレの石はもっと奥だぞ?いいのか?」
そんな声にまた恐る恐る足を進めるこいつ。

とっととギブアップして
オレの方がすげぇって言えばいいのに……。

ムカつく。マジでムカつく、この女。


その時、空がピカッと光って
数秒後にゴロゴロと鳴りだした。

「きゃっ…!」
耳を塞いでその場にしゃがみ込んだ牧野。

それと同時に雨もポツポツと降り出して
「さっさと置いて戻ってこいよ。
 オレ先に中入ってっからな!」
「え…やだっ!待ってよ、道明寺!!」
焦ったような声を出す牧野を無視してオレは中に入ってドアを閉める。

こうすればあいつは石はその場に捨てて戻ってくるからオレの勝ちだ。
その上、オレが高い所も雷も全然怖くねぇって言えば
あいつはオレのスゴさを認めるはずだ。

それなのに待てど暮らせど
あいつは戻ってこない。

その間も雷の音は鳴り響いている。
さっさとしねぇと雨も雷も強くなっちまうだろうが。

動けねぇほど怖いなら
オレに助けを求めればいいのに。

泣いて助けてって言うなら助けてやるのに。

そう小さくため息をついた、その時。

__ゴロゴロ…ドオォォンッ!!

と近くに雷が落ちたような
地響きがするほどでっけぇ音が鳴って
さすがのオレも肩を震わせた。





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