光風霽月 ~あきら Birthday~

「私…やっぱり主人が好きみたい…ごめんね」

オレだって別にこの人に離婚を求めてたわけじゃない。
この人と一緒になりたかったわけじゃない。
でもちゃんと好きだった…とは思う。


『光風霽月』   ~あきら Birthday~



オレの恋が世間で言う「不倫」である以上、
誰からも祝福されるものではないのはわかってる。

オレだって
みんなから祝福されるような恋愛に興味がないわけじゃない。

でもオレがいいなと思う女は
落ち着いていてどこか余裕のある女で、
結局そういう女は結婚してる人ばかりなんだよなぁ。

今日は車で帰る気になれなくて、
なんとなくあてもないままブラブラ歩いていた。
自分で思ってるよりヘコんでのんかな、オレ…。

「はぁ…」
見上げた夜空には綺麗な満月が浮かんでいた。



ふと通りかかった公園で
こんな夜中にブランコ漕ぐ音がしている。

なんとなく気になって寄ってみると

「…こんな時間に何してんだよ」
「…え?あ!美作さん。
 美作さんこそこんな所で歩いてるなんて珍しいね?」

ブランコを漕いでいたのは牧野だった。

「あぶねーだろ。ちょっとは女だって自覚もてよ」
「あはは。大丈夫だよ。あたし強いんだから」

そう言ってなおも漕ぎ続ける牧野の横のブランコにオレも座る。

「何してたんだよ」
オレが尋ねるとん~?とか言いながらしばらく黙ったままの牧野。
このまま答えねーのかと思ってたら

「月がね、綺麗だなって…。あいつも見てるかなって思ったんだけど、
 よく考えたらNYって今お昼なんだよね…月なんか見えないよね」
そう言う牧野はなんだか知らない女のようにも見えた。

司がNYに行ってから2年。
普段は本当に付き合ってんのかと疑問に思うほどドライな2人。
だけど誰よりも近くで見ていたオレ達は
こいつらの絆がどれだけ強いか知ってる。

この遠距離恋愛だってきっと乗り越えて
いつかみんなに祝福されながら笑顔の2人が並んで立つ日がくるんだろう。

普段は弱音1つ吐かない強い女…。
でもそれは言わないだけであって
何も感じてないわけじゃねぇんだよな。
恋人に会いたいって思うのはごく自然で当たり前の感情だ。

だからって司も頑張ってるからとか、忙しいからとか、
向こうの都合ばっかり考えて上手に甘える事もできずに
こんな所で1人でヘコんでたってわけか…。

オレは牧野にバレないようにケータイをそっと取り出し操作する。

「空は繋がってるって思ってても、見上げる空は同じ色じゃない。
 気温だって、天気だって全然違う。やっぱりすごく遠いのかなぁ…」

そこまで言うと、「何言ってんだろうね」とか言いながら
急に強く漕ぎ出す牧野。
どうせうっかりしゃべりすぎたとか思ってんだろ?
もう遅せーよ。

「いい加減帰るぞ。ほら送ってってやるから」
そう言ってオレはあいつのブランコを強引に止める。

「わわっ!ちょっと危ないじゃないっ」
そう言ってブランコから降りたのを確認すると歩き出す。
その後ろからついてくるこいつ。

「すぐそこだから、1人で大丈夫だよ?」
男が送ってやるって行ったら普通は「ありがとう」って言うんだよ。
そんな言葉を飲み込んで、牧野に手招きをする。
素直に近づいて来たこいつに
「ちょっとここ見てみ?」
そう言ってオレは腕を前に伸ばしてケータイを構える。
「え?なになに?ケータイがどうかしたの?」
と覗き込もうとする牧野の頭を捕まえて
髪にキスをしてその瞬間をカメラに収めた。

「ちょ…ちょ…ちょっと!!何?何なの??」
牧野は顔を真っ赤にして髪を押さえている。

「ははっ。気にすんな。オレ今日フラれたんだわ。
 だからちょっと腹いせに嫌がらせしただけだからよ♪」
自分で言って気が付いた。

オレ、そういえばマダムにフラれたんだっけ。
こいつに会ってすっかり忘れてたな。


『他の3人が太陽だとしたら美作さんは月みたいだね』


いつかこいつに言われた言葉を思い出す。

牧野はオレを満月に出来る女。
だけど司の、親友の彼女だ。
そう思えばちゃんとブレーキがかかる。

2人が笑えるように心から応援ができる。
これがオレのいい所だ。


「もうっ!信じらんないっ!
 いつか本当に刺されても心配なんてしてあげないんだからっ」
そう言ってべーっと舌を出して走って行く。
かと思ったら、くるっと振り返って
「送ってくれてありがと!」
そう笑って部屋に入って行った。

「怒るか笑うかどっちかにしろよ」
こみ上げる笑いが堪えきれない。

そのまま司に
『牧野が寂しがってヘコんでたぞ』
その一文と一緒にさっき撮ったブランコの動画を送り、
続けざまに
『オレが慰めといたから心配すんな。』
と髪にキスした写真を送ってやる。


その数日後。
司が2時間だけのために一時帰国してたことを聞いた。

「類の次はあきらかよとか言って怒ってたけど何かあったの?」
類が聞いてくる。
「いや、別に?どうせいつもの過剰なやきもちだろ?
 オレには牧野みたいな落ち着きも余裕もねー女は無理だよ」
オレの言葉に類は視線を送ってきただけで何も言ってこなかった。

その時オレのケータイに司からメールが届く。
『次やったらぶっ殺す!』
とても親友からのメールとは思えない一文に苦笑いする。

そのメールには顔を真っ赤にさせて必死に抵抗する牧野と
それを押さえつけてキスをしている司の写真が添付されていた。



~fin~


★あとがき★

「私を嫌いになって」をお休みしようかと迷ったものの
たまたま今日が最終話だったので引っ張るのもあれかと
ドーンと両方アップしてみましたが
いかがだったでしょうか?

『光風霽月』-こうふうせいげつ-
…心がさっぱりと澄み切ってわだかまりがなく、さわやかなことの形容。
日の光の中を吹き渡るさわやかな風と、雨上がりの澄み切った空の月の意から。

かしこぶって使ってますが
今回初めて知った言葉だったりします(笑)
使い方合ってるのかさえわかりません(*ノω<*)
タイトルくらいカッコイイ言葉を使いたくて
月が入ってる素敵な言葉ってないかなーって調べて見つけた言葉です。

こんな素敵な言葉を使って妄想したお話ですが…
「あきら→月」…単純でありがちな設定。
しかもフィールドが夜の公園だなんて…
もう何も言いますまい…(-∀-;)

私の妄想力など所詮こんなものって事です…(笑)

短編くらいつかつく以外を、と考えないでもないんですが
読むのはつかつく以外でも全然平気なんですが
自分で妄想となるとなかなか広がりませんねぇ(^^;)

あきらからのメールを見せられて
司に責められてるつくしも書いてみたかったんですが
短編ですし、あくまで主役はあきらだったので今回は割愛しました。

ベタベタのお話だったかと思いますが
お楽しみ頂けていれば幸いです♪

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逃した魚 ~類 Birthday~

俺がもう少し早く
彼女の魅力に気づいていれば

今、彼女は俺の隣にいたんだろうか…。


『逃した魚』  ~ 類 Birthday ~


ふと気が向いてやって来た非常階段。

「やっぱりいた…」

約束をしてるわけじゃなくても
なんとなくいる気がする日がある。

壁にもたれながら昼寝をしていた彼女。
風になびく彼女のまっすぐな髪。
彼女の風よけになりながら本でも読もうかと
隣に座ろうとして、ふと気づく。

― 涙のあと ―

また司と喧嘩でもしたんだろうか。
それとも司と付き合う事で辛い目にあったんだろうか…。

何があったかなんて知らないけど
彼女が泣くなんて司の事以外じゃ思いつかない。



俺だったらこんな風に1人で泣かせたりしないのに。

司よりあんたを理解してる自信だってあるのに。

司より上手に付き合っていける自信だってあるのに。

だから司なんてやめて俺にすればいいのに…。



そう思う自分がいる一方でちゃんとわかってる。
あんたを泣かせるのは確かに司だけど
その涙を拭って笑顔にしてしまうのもまた司なんだ。

俺じゃない…。
俺じゃあの笑顔は引き出せない。

あんたが俺を好きでいてくれたあの頃に
俺がちゃんとあんたを見ていたら…
あんたの魅力にもっと早く気付いていたら…。

「逃した魚は大きかったよね…」

独りごちる。

あんたと付き合えたらって思うのは嘘じゃない。
司が羨ましくないって言うと嘘になるのかもしれない。

でもどうしてだか悔しくはないだよね。

俺はやっぱりあんたのあの笑顔を見ていられたらそれでいいんだ。
2人を見守っていけたらそれでいいと本気で思える。

「う…ぅん…」
「あ、起きた?」
「え…?あ!花沢類!来てたの?」
そう言って牧野は慌てて目をこすって涙のあとをごまかそうとしていた。

俺はその手をそっと掴む。
「赤くなっちゃうよ。…言いたくないなら何も聞かないから」

「うん………ありがと。」
そう言って牧野は元気なく微笑んだ。

別に言葉はいらない。
何も言わなくてもなんとなく通じ合ってるような心地よさ。

牧野はよく俺の事を「魂の一部」なんて言うけど
俺にとってもそうなんだと思う。

親友というより心友と言う方がしっくりくる。

あんたがまた司の横で笑えるように
後押しするのが俺の役目。



♪~…♪~…

牧野のケータイが鳴ってる。

ケータイを手に持ったものの出ようとはしない牧野。
「…出ないの?司でしょ?」
「……う~ん…」

牧野が迷ってる間にケータイは鳴りやんでしまった。
そしてすぐにまたケータイが鳴り出す。

♪~…♪~…

「…出ないの?もしかして道明寺?」今度は牧野が俺に聞く。
クスッと笑って俺は通話ボタンを押す。

「司?…何か用?」
…用件は想像つくけど。
『牧野…そこにいねぇか?』
やっぱりね…。
俺といるって思うあたりはさすが野性の勘だな。

「いるよ?」
『代わって…くれねぇか?』
珍しく弱気な司。
それじゃあ牧野の涙のわけは司自身にあるのか。

牧野を泣かせるのは司しかいないけど
猛獣と言われる司をここまで弱気にさせるのも牧野だけ。

お互いが唯一無二の存在の2人。

俺は黙って牧野にケータイを渡す。
牧野は嫌そうな顔をしつつも受け取る。

「…何よ」

ムスッとしてそう言う牧野は
まさか彼氏と話してるとは思えないような表情だ。

でも俺は知ってる。

「……うん。……わかったわよ。…だからもういいってば!」

あともう少し。

「……ほんとバカ。ふふっ。次は絶対許さないんだからね?」

ほらね。牧野に笑顔が戻った。
俺がいつまでも見守っていきたいその笑顔。

電話を切って俺にケータイを返す牧野に
「解決したんだ?」そう聞くと
「うん。心配かけてごめんね?」と答える。
「いいよ。あんたのごめんとありがとうは聞き飽きてるから」
「うん、でもありがとう」
そう言って牧野はケラケラ笑う。

「じゃあ、あたし行くね」
そう言うと牧野は校舎に入って行った。


逃した魚は大きかった…。


俺がそう思うように
いつかはあんたにもそう思ってもらえるような男になるよ。


だけどもう少し…

あともう少しだけ、あんたを好きでいようと思うんだ…。


~fin~



★あとがき★
初の類目線、いかがでしたでしょうか?
司とはまた違う形の愛が伝わっていればいいんですが…。
類はやっぱりつかみどころがなくて難しいです。
でもそんな類が好きです(//∇//)

そして「あきら→月」に続いて
「類→非常階段」の単純妄想…。
もう笑ってやってください(^^;)
この調子だと12月に総二郎の短編を書くとしたら
テーマは「一期一会」とか言うんですよ。
もう先に予告しておきます(笑)



明日からは「First love」の続きに戻ります。
明日はやっと司視点のお話になります。

漸く司がごそごそと気になる動きを始めたばかりのこちらのお話も
まだまだ序盤ですがよろしければまた覗いてやってくださいませ。


管理人 koma





春の嵐 前編

★思いつきのお話です。2人は付き合ってる設定で…よろしくです★





あいつと喧嘩して1週間。

そろそろ牧野不足が深刻化してきたオレに
あいつはとんでもねー爆弾を放り投げてきた。


『春の嵐』  前編



1週間前。



珍しく旅行用パンフレットを見ている牧野。
「なんだよ。どっか行きてぇの?」
こいつがどこかに行きたがるなんてめったにねぇ。
どこでも連れてってやろうと覗きこむオレ。

「え?あぁ。違う違う。今度ね、会社の慰安旅行があるんだよね♪
 だから自由時間に回れそうな所チェックしてるの」
のんきに答える牧野。

「お前…それ行くつもりなのか?」
「へ?当たり前じゃない。みんな行くんだもん」
「みんなって…当然男も含まれてんだろ?」

そっからは散々だった。
オレが他のヤローがいるなら行かせないと言えば
会社の行事にまで口を出すなだの、なんだの
あいつはブチ切れて帰っちまってそのまま音信不通。



そして今に至る。


♪~…♪~…
牧野からの着信に、オレはほくそ笑む。

あいつからかけてくるって事はあいつが折れて
慰安旅行には行かねぇって言うって事だ。

喧嘩した後、電話をかけてきた方が折れて、仲直り。

今までだったらそうだった。


「…なんだよ」
嬉しさを隠してあくまでも不機嫌に出る。
『どうしても慰安旅行行っちゃダメなの?』

妙に静かな牧野の声。
そんなに行きたかったのか?

でもオレとしては他のヤローがいるのに
泊まりなんて考えられねぇ。

「あぁ。許せねぇな」
『……わかった』

これで今回はオレの勝利だ。
そう思って思わず口角を上げたオレにあいつが続けた言葉は

『…道明寺のそういう所がもう我慢できない。
 あたしは遊びで旅行に行くんじゃない。
 これだって仕事の付き合いの一環なの。
 それが受け入れられないならしょうがないよね。
 あたし達、別れよう。』

そんな別れの言葉だった。



その数時間後、オレは総二郎達を呼びだす。

「急に呼び出すんじゃねぇよ。もう学生じゃねぇんだぞ、オレら」
「どうせ牧野と喧嘩してこじらせてんだろ?
 お前がさっさと謝っちまえばいいだけだろうが」

「…うるせぇよ」
普段ならここで文句を言い返すオレが頭を垂れてるのを見て3人が顔を見合わす。

「…ほんとに何かあったわけ?」と類言うと2人もソファに腰かける。


それからこいつらに全部話したオレ。

「慰安旅行くらいいいじゃねぇかよ。」
「気持ちはわからんでもないが、会社の行事に口出すのはまずいんじゃねぇ?
 お前だって女の秘書もつれて出張行ったりするだろう?」
「牧野が愛想尽かしてもしょうがないね」

と3人ともオレが悪いと言う。
お前らは風呂上りでいい匂いさせてる牧野の色気も
寝起きで無防備な牧野の可愛さも知らねぇからそんな事が言えるんだ。

あんな姿、他のヤローに見せてたまるかよ…。
あれは全部オレだけが知ってればいい姿なんだよ…。

そんな事を考えて、不貞腐れるオレに

「しょうがないな、もう。
 とりあえず明日、俺が牧野に話聞いてきてあげるから」
類がため息をつきながら言う。

「……それって2人っきりでかよ?」
軽く睨みながら言うオレに類の奴は

「だったら司も来れば?でも司がいるせいで
 牧野が興奮して、もっとこじれても俺は知らないよ?」
なんて恐ろしい事を言う。

「そうだな。牧野を落ち着かせるには類が一番だ」とあきら。
「お前だってどうにかして欲しいから呼んだんだろ?
 だったらここは類にまかせて大人しくしてろ」と総二郎。

「はぁぁぁ…。わーったよ」

こんな時にまで嫉妬を抑えられない程
お前に惚れてるっつーのに。

お前は慰安旅行と引き換えに
オレをあっさり切り捨てて平気なのかよ…。


その後酒を飲んでも飲んでも酔えねぇオレ。
この日ほど自分の酒の強さを恨んだことはねぇ。







★後編は明日の12:00に~。
 って言っても勘のいい方には展開はバレバレですかね~(^^;)★

春の嵐 後編

翌日。

俺は牧野の仕事が終わる頃を見計らって
会社の前で出てくるのを待つ。


『春の嵐』  後編


会社から出てきた牧野が、俺の姿を見つけて走り寄ってくる。
「花沢類?どうしたの、こんな所で」
「牧野とご飯食べたいなと思ってさ」

俺がそう言うと、いつも急だよね、とか言いながらケラケラ笑っている。

なんていうか…
彼氏と別れた翌日にしては思ってたよりも元気じゃない?あんた。

牧野が好きそうな店をチョイスして
2人で食事を楽しむ。

「そういえば慰安旅行ってどこ行くの?」
「え?あぁ。あいつに聞いたの?
 熱海だよ。まぁあたしは今回パスする事になっちゃったけどね~」

さらっと言った言葉に俺が首をかしげる。

「何?あんた、結局は旅行行かないの?」
「あれ?聞いたんじゃないの?
 まぁ、すっ…ごくムカつくんだけどね。
 アイツがああいう奴だってわかってて付き合ってるワケだし。
 それにこの事話したら同期の子も
 女の子だけでまた行こうって言ってくれたし、もういいかなって」

牧野の行動が解せない。

司の嫉妬を受けとめて
慰安旅行を諦めたのであれば
なぜ別れ話なんて事になったのか。

他の所で司が地雷踏んだって事…?

「じゃあ司があんたにフラれたってのは何が原因?」

お手上げだとばかりに、疑問をそのまま牧野にぶつける。

すると
「え?あぁ、それね」とクスクス笑う牧野。

「花沢類、昨日って何月何日だったっけ?」
急にそんな突拍子もない質問をしてくる牧野。

「何日って…今日が2日だから4月1日でしょ?
 ……って、あぁ。なんだ、そっか」
口に出して気が付いた。

4月1日はエイプリルフールだ。
嘘をついても許される日。
別れ話は嘘って事か。

「うふふ。そう言う事♪
 ただアイツの言い分を受け入れるのも癪だったからさ。
 そのためにわざわざ電話するのも昨日まで待ってたんだからね!」
得意気に言っている牧野を見ながら

嘘だなんて夢にも思わずに、酒を煽っていた司を思い出して
ほんの少しだけ不憫に思う。

「司に言ってあげなくていいの?
 あいつエイプリルフールなんて一生気付かないと思うよ?」
そもそも司がそんな事を知ってるとも思わない。

「いいのいいの。たまには懲りればいいんだよ。」
そう言って頬を膨らませる牧野も
慰安旅行に本当はすごく行きたかったんだろう。

「本当にいいの?昨日はすごい荒れっぷりだったよ?
 今さら嘘だったなんて言ったら、あんた大変な事になるんじゃない?」
その俺の言葉に牧野の笑顔が固まる。

「え?そんなにひどかったの?」
牧野が心配そうに聞く。
「そりゃもう。酔えないからって強い酒ばっか飲んで総二郎とあきらにも絡んで…
 って事はあんた、司だけじゃなくてあの2人にも怒られるかもね」

「う~……どうしよう」と頭を抱える牧野に
オレはクスッと笑って提案をしてみる。
「いっそ俺と逃げちゃう?…熱海あたりに?」

すると牧野も
「ちゃんと匿ってくれるんでしょうね?」
なんて笑って聞いてくる。
「もちろん」
「じゃあアイツが許すって言うまで隠れてようかな~」
なんて牧野が言うと、


「慰安旅行の次は類と旅行だと?
 そんなのオレが許すわけねぇだろうが!」


後ろから地を這うような低い声が聞こえる。

「やっぱりついて来てたんだ?」
俺がそう言った時にはもう牧野は司に羽交い絞めにされていて。

「てめぇマジでふざんけんなっ!
 エイプリルフールかなんか知らねーけどなっ
 ついていい嘘と悪い嘘ってモンがあるだろうがっ!!」
「ぎゃああああ!離してっ!」
牧野はどうにか逃れようと暴れているが、司が離すわけがない。

「そういう事なら事前に俺たちには言っとけっつーの」
総二郎が牧野の額をピンっと弾く。
「オレなんか司に殴られてあざ出来てんだぜ、ホラ」
とあきらが二の腕を見せる。

「うぅ…ごめんなさい」
2人に素直に謝る牧野。

「こいつらよりまずオレに謝るのが先だろうがっ!」
そう青筋を何本も浮かべて怒鳴りながらも
死刑宣告にも似たあの言葉が嘘だとわかって
安堵を隠しきれない司は牧野の髪にキスを落としている。

「あっ、あんたは別よ!そもそもあんたが
 無駄に嫉妬深すぎるのが悪いんだからねっ!!」
「うるせぇっ!それだけオレ様の愛が深いって事じゃねぇか!
 お前は黙ってただ愛されてばいいんだよっ!!」
「な、な…何恥ずかしい事大声で言っちゃってんのよ!」
顔を赤くして固まる牧野。
「お前にはオレがどんだけお前を愛してるかっつーのを
 これから嫌ってほど教えてやるからな!?覚悟しやがれ!」

そう言うとより一層顔を真っ赤にして暴れる牧野を
担いで店を出て行った司。

「やれやれ…あいつらいつになったら落ち着くんだよ。」
「人騒がせにも程があるだろ、まったくよぉ」
総二郎とあきらがため息をついてオレの横に座る。

「あの2人はたぶん一生あんな感じだよ、きっと」
そんな俺が言葉に

「確かにあいつらが静かになった方が怖えーかもな」
「あぁ。騒いでくれる方がこっちもまだ対処しようがある」
そう言って2人は笑う。


あの後牧野がどんな目に合ったのかは知らないけれど。
2ヶ月後、2人で熱海旅行に行ったと
俺にお土産を渡してくる牧野は嬉しそうに笑っていた。







★あとがき★


せっかくエイプリルフールなので、
私好みの司を奈落に突き落とすおバカな話でも、と(笑)
昨日の時点で気づかれていた方もいらっしゃったのではないかと思います。

ほんとは1話にしたかったんですが
相変わらずの文章力でまとめきらずに2話になってしまいました(^^;)
前半は司視点、後半は類視点で
どっちのカテゴリに入れようか迷うところですが
とりあえずまだ空っぽだった司カテゴリに入れておきます。




管理人 koma

ずっと隣で…  ~総二郎×???~

総二郎と付き合うようになって1ヶ月。

どこか現実感がわかないのは
やっぱり総二郎のせいだと思う…。


『ずっと隣で…』   ~総二郎×???~


待ち合わせ場所に行くと、
すでに女の子たちに囲まれている男。

その子達1人1人に愛想を振りまいている男。

あれがあたしの彼氏。

あんたがそういう男だって知ってるよ?
今までだって散々見てきたんだから。

あれだって下心とかそんなんじゃなくて
ただの挨拶。マナー。そうなんでしょ?

でもだからと言って、
それをすんなり受け入れられるほどあたしの心は広くない。
あの女の子たちをかき分け声をかける気にもならず、

わざと少し離れた所のベンチに座って
向こうが気付くのを待つことにしたあたし。

暇つぶしに本を読んでいると

「かーのじょ?ひとり?」
と明らかに総二郎のじゃない
いかにもチャラそうな声が頭の上から聞こえる。

「…1人に見える?」
ため息をついて相手の顔も見ずに答える。
「見えるよ?だってあんたずっと本読んでるじゃん。
 約束すっぽかされたんでしょ?
 そんな奴放っておいてオレと遊びに行かね?」
そう言うと、あたしの腕を掴んだナンパ男。
「ちょっ…!」
抗議の声をあげようと顔を漸くあげると
総二郎がナンパ男のその腕を掴んでいた。

「俺の女に何か用でも?」
一見冷静っぽいけど、その瞳は冷たい。

そんな瞳で睨まれたナンパ男は
あたしの腕を放して、総二郎の腕を振り払い、
「待ち合わせなら待ち合わせって言えよっ」
と何故かあたしのせいにして足早に立ち去る。

「大丈夫だったか?着いたんなら声かけろよ」
とさっきまでの冷たい瞳はどこに行ったのかと思うほど
甘い顔であたしを見つめる。

だけどその後ろではまだ女の子達がキャーキャー言ってる。
「……忙しそうだったからね」
あたしが不機嫌に言うと

「…妬いてくれてんだ?」
と嬉しそうに笑う総二郎。

「いちいち妬いてたら体が持ちません!」
そう言ってスタスタと歩き出すあたしに
「ふーん…そりゃ残念」
とクスッと笑うと
あっという間に追いついて手を握ってくる総二郎。

そのまま自分の方に引き寄せて
あたしをすっぽりそのまま腕の中に閉じ込める。

「俺は妬いてんだけどな。
 あのヤロー、勝手に触りやがって…。
 やっぱり一発ぶん殴っときゃよかった…」
拗ねた声で言う総二郎。

自分は女の子あんなにはべらせてたくせに
あたしは1人近づくだけでダメなの…?

だけど、
総二郎にヤキモチを妬かれるのは嫌いじゃないあたしは
その不公平さに怒りより笑いが
こみ上げるんだからどうしようもない。


ねぇ、総二郎。
多少の事は目を瞑っててあげるから
最後にはちゃんとあたしの隣に戻って来てね?







こいつが行きたいって言ってた所を一緒に回ったあと、
場所を馴染みの店のVIPルームに移す。

「あたし達ちゃんとやっていけるのかなぁ…」
ほろ酔いになったこいつが俺に尋ねる。
「あ?大丈夫なんじゃね?」
そんな心配しなくても離さねーよ。
なんてクサい言葉は酒と一緒に飲みこんだ俺に

「あ。浮気とかしても言わないでね?
 するなら墓場までちゃんと持って行ってね?」
とムスッとした顔で指をビシッとさす。
「なんだよ、そのする前提の言い方。信用ねぇのな、俺」
「総二郎のどこを信用しろって言うの?」
と今度はケラケラ笑う。

「これでも真剣に愛してんだけどなぁ。伝わんねぇ?」
そう言ってこいつを抱き寄せる。

確かに今までのオレは
1000人切りだとかバカな事言ったりしてたし

よそ見しては曲がり曲がりで
寄り道ばっかしてた自覚だってある。
だからせめてお前の所にだけは
まっすぐ正面から向かって行きたいんだよ。

一生かけてお前だけだって証明してやるから
お前こそ、隣の色男無視してよそ見なんてすんじゃねぇぞ?


~fin~


★あとがき★

総二郎が「俺のカテゴリだけ空じゃねぇか!」と怒っていたので(笑)
First loveも書き終わって時間に余裕があったし
即席短編を書いてみました。

宣言通り「一期一会」でも良かったんですが
それだとどうしても切ない感じになっちゃうので
First loveもジレジレゾーン中だし
少し甘めのお話にしたかったので、今回はこんな感じで。

なぜ今まで総二郎は空だったかと言いますと…

単純に記念日がなかったからって言うのもありますが、
この短編でも明らかになってしまったように…
総二郎が掴みきれてないのが一番大きい理由です。

類のように何考えてるかわかんない、って言うよりは
彼の場合は「深い」って感じでしょうか?

あくまでも私の妄想の世界では、ですが。
たとえば司だと「つくしを愛してない司は司にあらず」
的な感じでガッチガチに決まってるわけですが。

総二郎の場合、
誰を想ってるのかっていうのが定まってないんですよね。
つくしでも優紀でもサラでも…もしくは…?
そんな感じで
一番CPが自由で、だからこそ一番難しい…。

なので今回は皆さんに丸投げする事にしました(笑)
お好きなCPを想定してお読みくださいませ♡
そして良かったら誰を想定したか教えて頂けると
今後の参考にもなるので嬉しいです(´∀`*)

予告も何もしないでのゲリラ投稿な上、
こんなグダグダな感じになっちゃいましたが…(^^;)
楽しんで頂けていれば幸いです♪


管理人 koma


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koma

Author:koma
管理人komaの
くだらない妄想の世界へ
ようこそいらっしゃいました。

基本テイストとしては
ラブコメ風味の
ゆる~いつかつく道を
突っ走っております。

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