NO WAY! 1

「牧野が浮気してたぞ」

事の始まりは
総二郎のそんな一言だった。


『NO WAY!』   第1話


『4年後、迎えに行きます』そう宣言をしたあの日から5年。
1年前、宣言通り日本に帰ってきたオレと婚約した牧野。

1年前はアイツはまだ大学生だったし、
大学を卒業したこの春からは弁護士事務所に就職したばっかだ。

アイツとすぐにでも結婚したいっつー気持ちは確かにあるが、
アイツの気持ちがちゃんとオレに向いているのなら
2人の関係が婚約者だろうが夫婦だろうがどっちでもいい。

ババァだって今じゃ牧野を認めて、姉貴と3人で飯に行ったりしてる。
高校の頃が嘘のようにオレ達は順調だった。

それなのに…

牧野が浮気だと?んなわけねぇだろう。
確かに目を離すとすぐにキョトキョトばっかしやがって
気が気でねぇ事ばっかだが
アイツは本気でそんな事ができる女じゃねぇよ。

どうせ総二郎のやつが、オレをハメようとしてんだろ。
そんな手に乗るかよ。

「ハッ!寝言は寝て言えよ」
本気にしないオレに総二郎は

「マジだって、司!
 この間の日曜だけどよ、オレ茶会の帰りに
 牧野がイケメンと一緒に歩いてんの見たんだよ」

この間の日曜…?

オレはアイツとの電話を思い出す。

『…日曜日?』
『おぅ。西田が久々に1日オフにしてくれたんだよ。
 日曜ならお前も休みだろ?2人でどっか行こうぜ』
『…あ~、ゴメン』
『なんだよ、何かあんのか?』
『えっと…弁護士事務所の先輩にね、誘われちゃってOKしちゃったんだ』
『……そんなの断ればいいだろ』
『そんなワケにいかないでしょ。こっちにだって付き合いがあんのよ
 新米のくせにあとから断るなんて失礼な事できないわよ』
『……』
『…夕方には終わるからさ。ディナーだけとかなら…ダメかな?』
『……その先輩っつーの、男じゃねぇだろうな?』
『えっ…!違う違うっ!女の人だよ!』
『…本当だろうな?……ハァ。わかったよ。18時に迎えに行く』
『うん、わかった。…ごめんね?』

アイツ…男じゃねぇっつってたよな。
オレに嘘ついたのか…?

「なんかいかにもデートって感じで
 仲良さそうだったぜ?司、お前ヤバいんじゃねーの?」

そう言えば、あの日の牧野はいつになく可愛かった気がする。
オレに会うためにお洒落してきたのかと思ってたが
もしかしてそいつのためだったのかよ…。

「…事実を確かめる気になったか?」
呆然とするオレを見て総二郎が言う。

そうだな。
あいつにその気がなくても
相手は牧野を狙ってんのかもしれねぇ。

それに
少なくともオレに嘘をついた事だけは確かだ。

その男がお前の何なのか知る必要はあるよな。



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NO WAY! 2

「今度は水曜の仕事終わりに飯に行くらしいぞ。
 どうする?浮気現場に乗り込むか?」

…おいっ。なんでお前がそんな事知ってんだよ!!


『NO WAY!』    第2話


突然降ってわいた牧野の浮気疑惑。

「お前なら絶対そうくると思って
 ここに来る前に調べてやったんだよ、牧野の浮気相手♪」

人の不幸を楽しそうに話す総二郎を1発殴ってから
知ってる事を全部吐かせた。

相手の名前は 高橋 真(たかはし まこと) 28歳。
アイツの事務所の先輩弁護士。
なかなかやり手で事務所の若手のエースらしい。
ほらよ、と見せられた写真を見ると
オレ様の方が断然カッコいい事に間違いはねぇが
柔らかい雰囲気が少しだけ類と似てる気がする……気に食わねぇ。

…アイツの周りにはどうしてこうスペックの高い男が集まるんだ。
そしてやっかいそうな奴に限って牧野にちょっかいを出してきやがる。

それでもオレ様ほど完璧な男はいねぇだろうよ。

…嘘ついてデートした上に今度は一緒に飯だと?
そんなのこのオレ様が黙って許すと思ってんのか!



「よぉ。」
オレはその日の夜早速アイツの家の前で待ち伏せをした。

「えっ!なんで?何してんのよ」
すげぇビックリしてる牧野。
「来るなら来るって言ってくれれば早く帰ってきたのに」
そう言いながら部屋の鍵を開けるこいつに
「早く…ってどっか寄り道でもしてたのかよ」と聞いてやる。
「え…っ!?べ、別にそういうワケじゃないけど…
 えっと…事務所でね、先輩とちょっと話こんじゃってたから」
なに急にドギマギしてんだよ。

…まさか。

「その先輩ってこないだの日曜誘ってくれたとか言ってたやつか?」
「へ…?あ~、そうだよ。とりあえず中入る?
 どうせあんたの口には合わないんだろうけどお茶くらい出すから」
そう言いながら、あわただしく部屋に入っていく牧野。
「あ!そういえば花沢類にもらった紅茶があったんだ!
 それならあんたも飲めるよね?」
おまえ…平然を装ってるけど、今話題変えようと必死じゃね?
…まぁいいや。今はまだ泳がしておいてやるか。
「…あぁ。それでいい」

紅茶を用意しながら
どうでもいいような話をべらべらしゃべっている牧野。

「今度の水曜…」
オレが急に口を挟むとビックリしたようにこっちを向くアイツ。
「今度の水曜だったか。会食もねーから早く帰れる。飯でもいかねーか?」
総二郎の話だと水曜にアイツと飯に行くんだろ?

「水曜……か。ちょっと無理そうかな?先輩とね、ご飯行く約束なの」
言いにくそうに言いながらごめんね?と手を合わせる牧野。
オレよりアイツを優先するっつーのか…。
「また先輩かよ。ずいぶん…仲がいいんだな、その先輩とやらは」
牧野を睨みながら言ってやる。
「え…うん。可愛がってくれてる…かな?
 仕事以外にも色々教えてもらってるし、頼りにしてるよ」
そういう牧野の顔が少し赤い気がすんのはオレの見間違いか?
仕事以外って何教えてもらってんだよ!!

そんな言葉をグッと飲み込んで…
わざとらしく手帳を見るふりをしてから
「…やべ。会食なかったのやっぱ火曜だったわ」オレが言うと
「あ、火曜ならあたしも行けるよ」とホッとしたような顔で言う牧野。
「じゃあ、そうすっか…水曜、楽しんで来いよ?」
「うんっ」そう言って笑う牧野。

…オレも楽しみでしょうがねーよ。
どうやってこの浮気女にお仕置きしてやろうか…ってな。




NO WAY! 3

火曜は約束通り牧野と飯を食うために
仕事を早めに切り上げあいつを迎えに行った。


『NO WAY!』   第3話


「お前、会社帰りのわりにはちゃんとしてんな」
こいつの事だから会社帰りに会うなら
あの色気のねぇスーツのまま来ると思ってた。
なのに着替えてきたのかワンピースだ。

「へ?そ、そう?
 さすがにスーツじゃまずいかと思って……変、かな?」
ちょっと頬を赤らめて自分の格好を確認する牧野。
「いや…いいんじゃねぇの?お前によく似合ってんよ」
オレが言うとホッとしたように笑うこいつ。

……可愛すぎんだろ、おい。

こんなちょっとした事でオレは幸せだっつーのに。
毎日こうだったら…って思ってんのに。

……お前は明日アイツと飯食う気なんだろ?

牧野が浮気…。
つまらねー嫉妬してあいつを困らせている自覚はあるが、
本気で疑ったことなんて今までなかった…。

……確か高橋とか言ったな。
牧野はそいつが好きなのだろうか。
それってオレの事よりもか…?
クソッ…!そんなのぜってぇ許さねぇぞ。
牧野はオレのだ!
高橋をぶっ殺してでもオレはこいつを取り戻す!



翌日。
見つからねぇように変装して
あいつの事務所の前にある喫茶店で
牧野と高橋が出てくるのを待っていた。

「よ、司♪」
声をかけられて振り向けば、そこにはあいつらの姿。

「やっぱり来たか」と総二郎。
「なんか面白いことになってんだってな?」とあきら。
楽しそうな2人の横では
「なんで俺まで…」と類があくびをしている。
どうやら類は無理やり連れてこられたらしいが
3人とも目立たない格好をしている所をみると
ついてくるつもりなのか?

そう思ってると
「お。出てきたぜ。つくしチャン」と総二郎が外を指さす。
「確かになかなかいい男だな、ありゃ」
とあきらは後から出てきた高橋の品定め。
「…なんか牧野カワイイね。デートだからかな?」と類。
そう言われて見てみれば、確かに今日もスーツじゃねぇ。
昨日に比べればかなりカジュアルだが、スカートだ。
しかもちょっと短くねーか、それ。

そんな牧野をチェックするように全身を見た高橋が
牧野の頭をクシャッと撫でて褒めて牧野も照れ笑いしている。
チッ…気安く触ってんじゃねーよ!
そんでお前も嬉しそうにしてんじゃねーよ…。

「とりあえずついてくか」総二郎が動き出し
店を出て、牧野たちにバレねぇようについて行く。

距離をあけて歩いているから話してる内容はわからねぇが
時々高橋とじゃれ合ったりしてすげー楽しそうな牧野。

「日曜もあんな感じだったんだぜ?」と総二郎が言えば
「これはマジでマジなんじゃねぇの?」とあきらがこっちをチラ見する。
しばらく歩いていると居酒屋らしい店に入っていく。
入る時もさりげなく牧野をエスコートしている高橋。

「どうする?オレらも行くか?」総二郎とあきらが相談する横で、
「入るに決まってんだろうが」とオレは店に入る。

それぞれのテーブルが半個室になってるこの店は
近くの席にいてもお互い見えそうにねぇから好都合だ。
念のために牧野がいる席から1つあけて座るオレら。

店内はガヤガヤと騒がしくて
話てる内容はやっぱりきこえねぇが
時よりあいつの笑い声が聞こえている。

オレが大好きなお前の笑い声。

楽しそうなお前の声を聞いて
こんなに胸がいてーのは初めてだ…。



NO WAY! 4

店に入って2時間。
客のピークも過ぎたのか店内も少し落ち着いてきて
あいつらの会話もちらほら聞き取れるようになった。


『NO WAY!』   第4話


『あ~。もうこんな時間だ。
 楽しいからあっと言う間ですね~』と牧野の声がした。

「お。そろそろ帰るんじゃねぇの?」と総二郎。
「まさかマジで牧野が浮気するなんてなぁ」とあきら。
「浮気するんなら、相手は俺にしてくれたら良かったのに…」と類。
言いたい放題なこいつらをまとめて殴ってやろうと思っていた
その時、信じられねー会話が聞こえてきた。

『今日この後時間あるならちょっと家寄って行かない?』
と高橋らしい声がする。
それを聞いた総二郎は
「つくしチャンをお持ち帰りするつもりかよっ」
ヒュゥッと口笛を吹く。

『おいしいクッキーもらったんだけどさ、
 1人じゃ食べきれないし、少しもらって欲しいんだけど』
「またベタな誘い文句だな…
 いくら牧野でもコレにはのらねーんじゃねぇの?」
とあきらも苦笑いするが

『え~!あたし甘いの大好きなんです!』とはしゃいでいる。
……おいッ!子供じゃねぇんだから食い物なんかで
簡単にひっかかって喜んでんじゃねーよ!!
クッキーくらいオレがいくらでも買ってやるっつーんだよ!

『そうなの?じゃあ少しと言わず全部持って行ってもいーよ?』
『いえいえ!それは悪いです!
 先輩が食べる分はちゃんと取っておいてくださいね?』

『そうと決まればそろそろ行こうか』
『あ!先輩!この間とクッキーのお礼に
 ここはあたしに出させて下さいっ』
『そんなのダメに決まってるでしょ?
 今日は誘ったのだってこっちなのに
 後輩に払わせるなんてできないよ』

いやいやここは私が!みたいな会話を続ける2人…。
そんなのどっちでもいいだろうが。
それにこんな店なら大した額でもねぇはずだろ。

いや。問題はそんなとこじゃねぇ…。

このままでは牧野が高橋の家に行っちまう…。
そうなったら…そうなったら……なったら………。

― オレの中でブチッと何かが切れる音がした ―

「ふざんけんじゃねぇっ!!」
急いであいつらの席に向うオレ。

「あっ!ちょっと待て司…!」

3人は後を追いかけてくる。


「おいッ!牧野!お前何考えてやがるっ!!」


「ど…ど…道明寺っ!?」

突然怒鳴り込んできたオレに心底ビックリしている牧野は
高橋と伝票を取り合いした格好のまま固まっていた。




NO WAY! 5

牧野がオレを裏切った…。
信じたくねぇ…。

信じたくねぇけど、これが現実なんだろ…?


『NO WAY!』   第5話


「ど…道明寺!なんで…」
でっけぇ目が落ちんじゃねーかって程見開いている牧野。

「お前こそ何のつもりだ!
 オレの誘いを断っておきながらこんな奴と飯だと!?
 ふざけんのもいい加減にしろよ!」
高橋を指さして怒鳴ってやる。
高橋は驚いてはいるようだが、うろたえたりしてる様子はない。
彼氏がいるって聞いてなかったのか?
それとも、このオレの女に手を出すくらいだから相当肝がすわってんのか。

「ちょ…っ!先輩に失礼でしょうが!!
 それに今日はあんたも楽しんで来いって言ってたじゃない!
 なんでこんな仕打ち受けなきゃなんないのよっ!!先輩に謝んなさいよっ!」
牧野が指をさしているオレの腕をバシっと払いのけながら怒ってくる。

浮気しといて見つかったら逆ギレかよ。

上等じゃねーか…!

「オレは先輩との飯を楽しんで来いっつったんだよ!
 どこの世界に自分の女に浮気を楽しめっつー男がいんだよ!!」
強くなったオレの声に
ビクッと肩を揺らした牧野はしばらく黙りこんだ。

逆ギレの次はだんまりか?

「なんとか言えよ。この浮気女。」オレは冷たく言ってやる。

牧野が顔をピクピクとひきつらせ
「…あんた。……まさか…」そう言いかけた時、

「あはははは!!
 もしかしてこの人が噂の彼氏さん?
 超カッコいいじゃん!そりゃお洒落頑張りたくなるのもわかるな~
 私もこんな彼氏ほし~♪」



……は?

今しゃべったの…高橋だよな?

彼氏欲しい…って言わなかったか?


フリーズして動かねぇ頭をなんとか回転させて考える。
そしてしばらく沈黙のあと、

「おい牧野…こいつまさか……ゲ…」
漸くたどり着いた答えを言いかけたオレに
牧野が飛びついてきて口をふさいだ。そして、
「女の人よ!お・ん・な!女性!
 間違ってもゲイだとか男とか言わないでよ!失礼でしょ!」
と高橋に聞こえないようにオレの耳元で小さめに言うこいつ。

その言葉は後ろにいた3人にも聞こえていたようで
「この見た目で女?…マジかよ。」とあきらがため息。
「うん。俺もちょっとビックリしたかも。」と類。

そんなやり取りをニコニコしながら見ていた高橋はスッと立って、

「初めまして。
 つくしちゃんの事務所で弁護士をしている高橋 真と申します。」
と名刺を差し出しながら綺麗に笑った。

「彼氏さんのお出ましならクッキーはまた今度にしよっか」
と高橋は帰って行き、
オレ達もいつもの店のVIPルームにでも移動することにした。


とりあえず浮気は誤解だったと安堵したのもつかの間。


ふと振り返るとそこには



見たこともねぇすげぇオーラを纏った牧野がオレ達を鋭く睨みつけていた…。






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基本テイストとしては
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ゆる~いつかつく道を
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