TAKE2  1

いつだって自分の事なんかより
他人の事を思いやってやれるアイツ。
オレはお前のそんなトコも好きだけどな。

でもあの時、お前があんな事しなきゃ
あんな目に遭わなくてすんだのに…。


『TAKE2』   第1話

牧野が刺された。

暴漢が狙っていたのは、確かにオレだった。
刺される寸前、牧野はオレをかばおうと前に出て
オレの目の前で倒れた。

牧野の目が覚めたのは
事件から2日後の事だった。

「…!牧野!?気が付いたか!?」
「つくし~!よかった…よかったよぉ」

病室でアイツの目覚めを待っていたオレらと滋、桜子は
安堵の声をあげる。

まだ焦点が合ってねぇらしい牧野を覗き込むように
ベッドの上に乗り出すオレら。

「……F4?」

…は?何言ってんだこいつ。
いや間違ってはねぇんだけどよ。
どうやらまだ意識がハッキリしてねぇみてーだ。

「つくし?痛い所はない?大丈夫?
 あんた刺されて2日も意識がなかったのよ?
 みなさん心配してずっと付いててくれたんだから~」
と牧野の母ちゃんが、アイツをそっと抱き起す。

いてて…と傷をさすりながらゆっくりと座る牧野。
「そういえばなんか知らないけど刺された気がする…」

「お前な、あの状況で前に出るとか無謀すぎるだろうが。
 無茶すんじゃねぇよ。2日間も眠ったままだしよ…。
 でも目が覚めて、マジでよかった…」
そう言いながら牧野の頭にポンと手を置くと
ビクッと震えるあいつの体。

傷に響いたのかと思って、すぐにその手をどける。
「わりぃ。痛むか?」
「司、お前はバカ力なんだから気ぃつけろよ?」とあきら。
「そうそう。抱きついたりもしばらくはできねーぞ?」と総二郎。
「そうだよー!絶対安静なんだからね?」と滋。
「うるせぇっ」とあきらと総二郎に蹴りを入れようとすると
「大声だって、傷に響くんだよ、司」と類の冷たい視線。
「道明寺さんは黙って座ってて下さいます?」と桜子が締めて笑う。

そんなオレらのやり取りを黙って見ていた牧野だったが、

「…ていうかあんたたちF4…でしょ?なんでこんな所にいるの?」

牧野のこの一言に全員の笑顔が固まった。


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TAKE2  2

確かこいつは目が覚めた時も
オレらを見て「F4」と言った。

そして今、牧野はまるで
他人を見るような顔でオレらを見ている…。
なんだ、この違和感…。


『TAKE2』    第2話


「ママ、どういう事?なんでF4なんかがいるの?」
固まるオレらから視線を外したこいつは
母ちゃんに尋ねる。

「つくし?何言ってんの?
 みなさんはあんたを心配して…」
母ちゃんもオレらをチラチラ見ながら
申し訳なさそうに答えるが

「だから、なんでF4があたしの心配なんてするのよ
 関係ないでしょ?」
そんな牧野の言葉を聞いて

「関係なくなんかないよ!つくし!
 私たち友達だもん!心配するよ!」
「そうですよ、先輩。さっきから何の冗談のおつもりですか?」
滋と桜子が牧野に詰め寄る。

その迫力にちょっと驚きながらも
「ありゃ…。このお人形さんみたいに綺麗な人たちは…F4の友達?」
と真顔で答える。

どうやら冗談のつもりじゃねぇらしい事を悟ったオレら。
牧野に何が起きてんだ…。

「……牧野。オレ達の事は知ってるんだよね?」と類が口を開く。

「え…だって、英徳であんた達を知らない人なんて…」

「じゃあオレたちとあんたの関係は?」

「関係って…。強いて言うなら同じ学校に通ってる…くらい?」と
考え込みながら答える牧野。

「ばっ!ふざんじゃねぇ!少なくともオレはそんなんじゃねぇだろうが!!」
オレが怒鳴ると牧野は怯えたようにビクッと体を揺らす。


「ちょっと司は黙っててよ。総二郎、司のこと押さえてて」と類が言うと
総二郎がオレを羽交い絞めにしてきた。

なんだよ…。

『あんたが好きだって言ってるじゃない!このぼけなすっ』
『NYに行かないで!…行っちゃやだ!もう離れるのは嫌なの』

お前、そう言ったじゃねぇかよ…。
なんでそんな知らねー奴見るような目してんだよ…。

類はオレが黙った事を確認すると牧野に向き直って
「あんたオレらに赤札貼られた事覚えてる?」

「え!?なんで!…次のターゲットあたしなの!?
 ちょっと!あたしが何したって言うのよ!」

「……これでちょっとハッキリしてきたかもね」類がため息をついた。







病院を後にしてオレの家にみんなで集まる。

「「「「「記憶喪失~?」」」」」

「そ。どうやら牧野の記憶は赤札を貼られる前で止まってるみたい。
 だからオレらは学園を牛耳ってるF4ってだけの認識で、
 その後に知り合う三条や大河原の事がわからない。」

「…って事は今のあいつにとってオレらって…」
「自分で稼いだこともねぇくせに、
 親の権力振りかざして調子乗って威張ってるバカ坊ちゃんズ、だな」
あきらと総二郎が苦笑いしている。

「あきら君たちはまだいいよ!私なんて忘れられてるんだから!」と滋は涙目だ。
「いつかは思い出してくれるんでしょうか?」と桜子の質問に

「それは医者もわかんないってさ。
 一時的な混乱かもしれないし、一生忘れたままかもしれない。
 とりあえず、今の牧野に近づくためには
 もう1回、友達になるしかないんじゃない?」
類は軽く息をついて、ソファに横になった。



TAKE2  3

「もう1回友達になる」
オレの場合、友達じゃ困んだよっ…!

でも確かにいつ戻るかわからねぇアイツの記憶を
ただ待ってるワケにはいかねぇよな…。


『TAKE2』   第3話



あれからオレ達は毎日のようにアイツの所へ通っている。
その間に記憶が戻る事も期待したが
今のところそれもなさそうだった。


滋と桜子はすぐに仲良くなれたようで
すっかり記憶を失う以前と同じような関係だ。

「つくし~!今日はシュークリーム持ってきたよ♪」
「わぁ!ありがとう!滋さん
 でもいつも悪いよ。手ぶらでいいって言ってるのに」
「そうですよ。毎日こんなに食べさせて
 滋さん、もしかして先輩をブタにするおつもりですか?」
桜子の辛辣なツッコミにひど~い!とか言いながら笑い合ってる。

一方、オレらF4はと言うと…

類が最初に「赤札貼られた事覚えてる?」なんて言った事もあって
滋にオレ達が牧野に赤札を貼った過去をチクられた。
撤回もしたしそれ以来やってねー事を説明はしたが
あいつの元に行くたびに嫌な顔をされる毎日だ。

しかも三条は自分のした事は話してねぇらしい。
…ちょっとズルすぎんじゃねーの?それ。

「あんた達なんで毎日現れるのよ?
 そんなに暇なの?たまには授業くらい受けてなさいよ」
「ばーか。オレらは衛星教育受けてんだから
 授業なんて必要ねーんだよ。」
「司…英才教育な?」
「あ?」

一応自分に欠けた記憶があると言う事を
医者から説明を受けて認識はしてる牧野。

その記憶がオレらと関係あるのもなんとか受け入れはしたが
「でもあんた達みたいなのと関わってたなんて
 どうにも信じられないんだよね~…騙されてる気がする」
これが最近のアイツの口癖だ。

ある日、我慢できずに
『オレとは関わってるどころか両想いだったんだぞ!』
そう言おうとしたら、総二郎に口をふさがれた。

「なにすんだよ!」と総二郎の手をどけながら言うと
「いいからいいから司クン、ちょっと付き合えよ」
と病室の外へ出ろとあきらも合図をしてくる。

「…なんだよ?」
不機嫌に尋ねるオレに
「お前、これチャンスだってわかってるか?」と総二郎。

意味がわかんねぇ。
あいつとの関係がチャラになって
1からやり直しなんだぞ。何がチャンスだ。

ここまでくるのにどんだけ苦労したと思ってんだっつーの。
やっとアイツを手に入れたと思った途端この状況。
絶望の間違いだろうが。

「そうだ、ピンチはチャンスって言うだろ?」とあきら。
「…どうチャンスなんだよ?」
どう考えてもチャンスには思えねぇが一応聞いてみる。

あきらと総二郎がオレの両サイドから肩を組んでくる。
「よく聞けよ?今の牧野の記憶は赤札を貼られる前…という事は、だ。」
それがなんだっつーんだ。

「牧野はまだ類にも惚れてないって事だろ?」
お、おう。そうか、そうだよな。

「牧野の初恋…今ならお前に変えられるかもしれねーんだぞ?」
…マジかよ。
すげぇじゃねぇかっ!

「今の牧野に司が好きだったって言ったって信じねーし逆効果だ」
…確かに。今言ったら
ふざんけんなって怒るあいつが容易に想像できる…。

「だからあんまり牧野を刺激して怒らちゃダメって事だ。わかったか?」
あぁ。そうする。

「女の子にやさし~く、だよ♪つ・か・さ・ク・ン!」
バカか。オレが優しくすんのは牧野にだけだ。

総二郎とあきらの話を聞いて
さっきまでの絶望的な気分に光が射した。

オレの初恋は牧野だってのに
牧野の初恋が類だったのはオレにとって最大の屈辱だ。

こうなったら…何が何でもオレをあいつの初恋の相手にして
お互い初恋同士の相思相愛のカップルになるっつーのもいいよな。



TAKE2  4

牧野の初恋をオレに…。

そういえば…
あいつはオレの一体どこに惚れたんだ…?


『TAKE2』   第4話


「…それって俺にとってもチャンスって事?」
突然話に入ってきたのはいつの間に来てたのか類だった。

「…は?何言ってんだ類」
「そうだぞ。お前余計な事言うんじゃねーぞ?」
あきらと総二郎が若干顔を青くしながら類を宥める。

「だって牧野がまた俺を初恋にしてくれたら
 俺と牧野、付き合えちゃうって事でしょ?」
しれっと悪びれもなく言う類。

「ばっ!!っんなワケねぇだろ!」
「なんで?本当なら俺が初恋なんだから
 俺にだって牧野の初恋をもう1回もらう権利あるでしょ?」
「アイツが今好きなのはオレなんだ!
 類!お前しばらく牧野に会うんじゃねぇぞ!?」
「…やだ。」
「お前…マジで…ふざんけんじゃねーぞ!!!
思わずそう叫んだ時、牧野の病室のドアが勢いよく開いた。

そこには…

「うるさいッ!ここは病院なんだから!
 あんた達みたいなのは他の人の迷惑よ!
 さっさと帰れ!2度とここには来ないで!!」

ブチ切れた牧野が
怪我人とは思えぬほどたくましく仁王立ちしていた。

オレをあいつの初恋にする、と決めて5分もしねーうちに逆鱗に触れた。
あぁなったらもう誰も手はつけられねぇ。
今日はとりあえず退散するしかなさそうだ…。




「もう…司のせいで俺まで怒られたじゃん…」
子供のように拗ねる類。

「「お前が原因だろう!!」」
総二郎とあきらが類に軽く蹴りを入れる。

「…類、お前。マジなのかよ?」
オレが言うと類はオレを振りかえる。


『お前の守り方はそれか?だとしたら見損なった』

NYであいつに殴られて言われた言葉。
少なくともあの時の類は本気だったと思う。

それに…

類の言うとおり結局オレはあいつを守れてねぇ…。
今回だってオレがもっとしっかりしてれば
牧野をこんな目にあわさずに済んだかもしれない。

類は本気でオレには牧野を任せられねぇと思ってんのか?


『あんたが好きだって言ってるじゃない!このぼけなすっ』
『NYに行かないで!…行っちゃやだ!もう離れるのは嫌なの』


でもあいつがああやってオレを求めてきたからには
たとえその記憶がなくたって
オレが諦めるワケにはいかねぇんだ…。

類がその気なら……。
そう覚悟を決めて類を正面から見てやる。

それなのに類のヤツは深くため息をついて
「あんなの冗談に決まってるでしょ?
 そんな事して途中で牧野の記憶が戻ったりしたらどーするのさ。
 後になって牧野が困るのわかっててするワケないでしょ」
そう言って手をヒラヒラさせて帰って行く。

おいっ。なんか類が勝つっつー前提で話してねぇか?
…でも否定はできねぇ気がするのがすっげぇムカつく。

類がどうしようと関係ねぇ。
あいつは絶対オレを好きになる…はずだぞ!


とにかく、だ。

今日はちょっと失敗しちまったが
あいつが他の男にキョトキョトする前に
さっさと牧野を振り向かせねーとな。




TAKE2  5

翌日。
牧野の所に行くと類が来ていた。

なんだか病室と非常階段がダブって見える…。
類お前、本当に初恋をオレに譲る気あるんだろうな!?



『TAKE2』    第5話


「や。司」オレを見てのん気に挨拶する類の横で
「なんであんた達って…。
 昨日2度と来るなって言ったよね?
 それともバカ坊っちゃんだから日本語通じないの?」
と牧野が頭を抱えながら言う。

「そのバカ坊ちゃんつーの、やめろよ」
「じゃあなんて呼べばいいのよ?クルクルパーとか?」

…青筋浮かべて引きつる笑顔のオレ。
記憶がなくてもやっぱりこいつはF4に怯んだりしねぇんだな。

「つ、…司って呼べばいいんじゃね?」
どさくさに紛れて名前で呼ばせるのもいいよな。

なんて思って答えたら
「は?なんでよ。そんなに親しくないし。
 じゃあ…道明寺でいい?あんたもあたしのこと牧野だし。」
あっさりと却下して、結局前と同じ苗字の呼び捨て。

「あ、ああ…別にいいけどよ」
ちょっとガッカリするオレにクスッと笑って
「じゃあ俺は?花沢って呼ぶんだ?」と類。
「う~ん…なんかね、花沢類は花沢類って感じなんだよね。
 でもフルネームってやっぱり変だよね?」首をひねりながら考える牧野。

「クククッ!あんたやっぱり記憶なくても変わらないんだ。
 いいよ、花沢類で。あんたにそう呼ばれるの好きだし」

しばらくすると類は「眠いから」って帰って行った。
さっきまではなんだかんだとしゃべってたくせに
オレと2人きりになったら急に黙る牧野。

「あ、あんたは帰んないの…?」
チラチラと上目使いでオレを見る牧野。

ふと抱きしめたくなる衝動をぐっと堪える。
今抱きしめたりしたら追い返されるのは目に見えてるしな。
それどころか変態だの何だの罵られたあげく
今度こそ出入り禁止にされかねねぇ…。


そんな心の葛藤を隠しながら
「…帰らねーよ」とぶっきらぼうに答える。

ふーん、とか答えてまた黙った牧野だったが
沈黙に耐えられねぇのか、

「ねぇ…」
「あ?」
何を言いだすのかと、オレはあいつのそばに腰かける。

「なんであんた毎日会いに来るの?
 あたし何したのかは覚えてないしわかんないけど
 とりあえずは赤札貼るほどあたしの事嫌いだったんでしょ…?」

「…確かに生意気だし、素直じゃねーし、色気もねー
 このオレ様にも怯まねぇような女だけどな」
オレが話しはじめると、不安そうに瞳を揺らす牧野。

…てかお前、なんつー顔してんだよ。
もしかしてあの頃も1人でそんな顔してたりしたのか?

オレはお前にそんな顔させてたのか…?

そう思うと急激に指先が冷たくなっていくのを感じる。
あの頃のオレは本当にどうしようもなくて、
お前が好きだって事にも気づかねーくせに
毎日お前を追いかけずにはいられなかった…。

赤札を貼った過去だって今さら変えられねぇけど、
今思えば、あんなの
好きな奴の気を引きたくて意地悪してるガキそのものだった。
あいつを困らせて気を引こうとするオレなんかより
助けてくれる類を好きになるのは当たり前だったと思う。

だから今度は間違わねぇ…。

「オレは牧野を嫌いだと思った事は1度もねぇ。
 むしろその逆だ…好きだ。心底惚れてる。
 オレはお前を手に入れるために毎日会いに来てんだよ」
まっすぐこいつを見据えて言ってやる。

これがオレの本心だ。
お前に伝わるまで何度だって言ってやる。

2度とお前にあんな顔させたりしねぇ。
だから牧野…今度は最初からオレを好きになれ。




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