幼馴染 episode 0

「本日より、牧野もこの邸で住み込みでお世話になります。
 坊ちゃま。これが私の家族です。どうぞお見知りおきを…」

そう言って使用人の牧野が家族をオレに紹介してきたのは
オレが5歳の時だった。



『幼馴染』   ~episode 0~



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幼なじみ 1

幼稚舎を卒園して、初等部になったら
今までよりは邸に帰る時間が遅くなった。

それでもオレは学校が終われば急いで邸に帰る。


『幼なじみ』   第1話


「ただいま」
エントランスに入って牧野に鞄を渡す。
「おかえりなさいませ。
 学校はどうでございましたか?」
鞄を受け取りながらニコッと笑う牧野。

「別に。……つくしはどこにいる?」
「先ほど保育園から帰ってきましたので
 今はお庭で遊んでいるのではないかと…」
そんな牧野の声を背中で聞いてオレは庭に向かう。

牧野は代々道明寺家に仕える使用人で
使用人頭のタマの右腕のような存在だ。

遠くの家から通っていた牧野に
2人目の子供が産まれたのをきっかけに
家族と過ごす時間を少しでも作れるようにと
父さんと母さんは住込みで働くようにした。
つくしはその牧野の1人目の子供で、
あいつがここに引っ越してきたのが2年前。

あいつは英徳に入らずに普通の保育園に通っていて
『おともだち』もやたらと多い。

『おともだちのあくしゅ』をしたら
誰とでも友達になれるすげー奴で
この邸にいる人間全員がこいつの『おともだち』で

オレも例外じゃなくその『おともだち』の1人だ。


庭に出て見渡してみても
いつもならその辺を走り回ってるつくしの姿がない。

「…どこ行った」
そう呟きながらも庭を探し回っていると
木の影で倒れてるつくしの姿を見つける。

「つくし!どうした?おい!」
慌てて駆け寄って体を揺らす。

すると

「んー。あれぇ?つかさ?」
とあふ…と大あくびをしながら目をこするこいつ。
「なんだよ。寝てただけか。
 どうやったらこんな所で寝れるんだ。危ねーだろ」
ため息をつけば
「えー?草もふかふかできもちーよ?」
とにっこり笑うこいつは
草まみれになってたっていちいち可愛い。

だから軽く草をはらってやってから
そのまま ちゅー をしようとすると
「ダメだよ!」
と口を押えるつくし。

「なんだよ。ただいまのちゅーだろ?」

少し前までは
おはようも、いってきますも、ただいまも、おやすみも、
あいさつのちゅーなんてたくさん平気でしてたくせに
最近になって急にダメだと言うようになった。

その理由にオレは納得してない。

「ちゅーはね。王子様とお姫様がするんだよ?
 えほんでよんだもん。つかさとあたしは王子様とお姫様じゃないでしょ」
と何をいばってんのかわかんねーが
腰に手を当てて頬を膨らませるつくし。

最近保育園で絵本を読んでるらしいつくしは
王子様とお姫様が幸せになるおとぎ話に夢中で

ちゅーは2人が幸せになるための
大事な儀式だと思っているらしい…。

だから…オレは仕方なく
「…だったらお姫様ごっこすればいいのか?」
そう聞いてやると
ぱぁっと表情を明るくして
「うんっ!!」
とニコニコ笑う。

はっきり言ってお姫様ごっこなんてうぜぇしやりたくねぇ。
だけどそうしないとつくしとちゅーできねーからな。

その後しつこいくらいにお姫様ごっこにつき合わされて
王子様とお姫様のちゅーもしてお互い満足して邸に入る。

「楽しかったね!」
とつくしはニコニコしてる
「…あぁ」
別に、なんて言ったらすげー怒るから
ここはつくしに頷いておく。

「明日、保育園でケンちゃんともしよー!」
と聞こえたごきげんな声に
「バカ!ダメに決まってんだろ!」
慌てて振り向いて怒鳴れば

「…なんで?楽しいよ?」
ときょとんと首をかしげるつくし。

なんでって…。
そんなのちゅーするからに決まってんじゃねぇか!

なんて言ったらオレもしてもらえなくなるかもしれねぇ。

「そ、それはだな…」
困って答えにつまってると

「つくしの絵本のお姫様は
 あちこちの王子様とちゅーしてるのかい?」
と後ろから聞こえた声に振り向くと、そこにはタマの姿。

「ううん。えほんはいっぱいあるけど
 どのお姫様にも王子様は1人ずつだよ?」
とタマに得意気に答えるつくし。
「そうだろう?だから坊っちゃんとお姫様ごっこしたのに
 ケンちゃんともして王子様が2人になっちまったら
 つくしはどっちの王子様と幸せになるつもりなんだい?」
と笑うタマ。

「…どうしよぉっ!王子様は1人じゃないと しあわせになれないっ!」
と絶望だと言わんばかりに
真っ青な顔して両手を頭に当てて首を振っているつくしに
「まだ王子様は1人だから大丈夫だよ。
 お姫様ごっこはこれからも坊っちゃんにやってもらいな?」
と優しく言ったタマにうん!と頷いたつくしに

1人、ホッと息をついたオレ。




いつも応援ありがとうございます♡

★坊っちゃん、ちゃっかりつくしの初ちゅーGETしてました★

幼なじみ 2

ある日。学校から帰ったオレに
つくしが首をかしげながら言う。

「つかさって、がっこーにおともだちいないの?
 ちゃんと“おともだちのあくしゅ”みんなとしてる?」


『幼なじみ』   第2話


はっきり言って
オレは『おともだち』なんて別にいらない。

みんなオレの家の事ばかり見てて
オレ自身を見てるわけじゃない事くらいとっくに気付いてるからな。

でも『おともだち』がいない事は悲しい事だと信じているつくしは
オレを心配そうに、可哀そうな目で見る。

「バカ言うな!友達くらいいるっつーの!」
そう言うと
「ほんとに?がっこー終わったらすぐ帰ってくるでしょ?
 おともだちと遊んだりしないじゃん」
「だったら今度ここに連れてきてやる!」
そう言ったオレに
「うんっ!やくそく だよ?
 あたしもおともだちになれるかなー?」
と楽しそうに笑っていた。


数日後。
オレは幼稚舎の頃からいつの間にか
一緒にいる事が多くなっていた
総二郎とあきらと類を連れて邸に帰ってきた。

「つくし!学校のともだち連れてきたぞ!」
と大声で呼べば
「ほんとっ!?」
と絵本を抱えながら
嬉しそうに奥からパタパタと走ってくる。

「つくし?」
「誰だそれ」
総二郎とあきらが首をかしげる。

「オレの幼なじみだ」
と答える横で
「あたしつくし。はいっ」
とニコッと笑いながら右手を出すつくしに

「「……?」」
2人はまた顔を見合わせて首をかしげる。

「“おともだちのあくしゅ”だよ。
 つくしはお前らとも友達になりたいんだってよ」
とこいつのルールを教えてやれば

納得したようにつくしと握手をして『おともだち』になった。
そして2人の後ろに隠れるように立っていた類とも
つくしは握手をしようと覗き込んだ。

だけど。
「………」
いつもならすぐに握手をしようとするつくしが
驚いたような顔をしたまま固まっている。

類は他人を寄せ付けない所があるから
すげぇ睨またりしてんじゃねぇかと思って心配していると

突然、類の周りをぐるぐると周って
観察するように類の全身をチェックするように見る。

「……何コイツ」
そんなつくしの態度に類は今にもキレそうだ。

「つくし?何してんだ」
そう言って腕を引っ張って止めると
やたらとキラキラした顔でオレを見て

「すごいっ!王子様だよ!
 サラサラの髪の毛もビー玉みたいな瞳も!えほんといっしょ!
 本物の王子様とおともだちってつかさスゴイねっ!」
抱えていたお気に入りの絵本を
オレに見せながら大興奮して話すつくしに
類は連れてくるんじゃなかったとちょっと後悔した。

だけどそう思った時にはもう遅くて
「…変なやつ」
と普段笑わない類がクスッと笑って
「変なやつじゃなくてつくしだよ!」
と類ともあくしゅをして『おともだち』になっていた。

それからというもの、
何かとオレの邸で遊ぶ事が多くなって
つくしとあいつらも幼なじみと呼ばれる関係になった。





いつも応援ありがとうございます♡

★たくさんの拍手にコメントまで♪ありがとうございました(*^^*)
       おかげさまでkoma、俄然やる気アップ中でございます(笑)★

幼なじみ 3

「あ。そろそろつくしちゃんと進君が来る時間だわ」

ある日の夜。
宿題をしていた姉ちゃんが
時計を見て、ノートを片づけ始めた。


『幼なじみ』   第3話


姉ちゃんにつられて時計を見たら19時だった。
こんな時間につくしが
オレたちの所に来るなんてそうそうない。

「…?」
不思議そうにしているオレに気付いた姉ちゃんは
「今日ね、牧野と奥さんが用事で遅くなるらしくてね。
 お母様につくしちゃんと進君と
 お風呂入ってあげてって頼まれてるの。司も一緒に入る?」
とそんな説明をしてくる。

少し前まではオレも一緒に風呂に入ってた事もあるが
学校で姉ちゃんと入ったと言って
バカにされてからオレは1人で入るようになった。

「は…入らねぇよ、カッコ悪ぃっ」
「そう?好きにすればいいけど…」
とその時ドアを小さくノックする音が聞こえて
姉ちゃんが扉を開ける。

「いらっしゃい。みんなで入るんだし
 お部屋のじゃなくて今日は大きい方のお風呂に行こっか」
と姉ちゃんがニコッと笑うと
「うんっ!!」
と元気よく答えたのは進だけで
つくしはその声の影でビクッと小さく肩を揺らした。

オレはその理由を知っているが
姉ちゃんはつくしがビビってる様子に
気付く事もなく進の手を取って
「じゃ、行こう」
とスタスタと歩いて行く。

その2人の後を小さくため息をついて
とぼとぼと歩いて行くつくしを見てオレは
仕方ねぇな…と心の中で呟いてから
つくしを追いかけて行くと後ろから手を握った。

「特別にオレが一緒に入ってやる。
 ちゃんと守ってやるから。それなら怖くねぇだろ?」
オレがそう言うとつくしは
ぱぁっと表情を明るくして
「うんっ!ありがと、つかさ」
と安心したように笑う。

__つくしが怖い物。

それは大浴場のお湯が出てくるライオンの像。

あんなのどこが怖ぇのか全然わかんねぇが
つくしは初めてアレを見た時は
泣いて逃げて行ったくらいあのライオンが苦手だ。

だから前に父さんに
「子猫に変えてくれ」って頼んでみたけど
笑われただけであっさりと却下された。

先に入っていた姉ちゃんと進に遅れて
2人で手を繋いで入って行けば

「あら。あんたも結局来たの?」
「つくしに一緒がいいって頼まれたんだよっ」
「ふーん?相変わらずつくしちゃんには弱いのね」
とクスクスと笑う。

つくしが怖がらないように
出来るだけライオンから離れた湯船の隅っこに浸かって
ライオンから守るようにつくしとライオンの間にオレが入る。

それでもつくしはオレの腕にしがみつきながら
ライオンをコソコソと覗いて
「動いたりしないかな…?」
とビクビクしている。

「動くわけねぇだろ。
 それに動いてもオレがいるから平気だろ」
「うんっ!
 なんだかつかさ、本物の王子様みたいだね」
と嬉しそうに笑うつくし。

“本物の王子様”
 
それはこの間、類に言った言葉と同じだった。
あれ以来つくしはあいつらが遊びに来るたびに
類にやたらとべったりで
絵本を見せては王子様だと喜んでいる。

類は類で普通ならそんなの無視するくせに
いつの間にかつくしに気を許していて
2人で仲良くその絵本を読んでいたりしていて…。

その光景はオレをイライラさせていた。

「類とどっちが王子様みてーだ?」
つくしにそう聞けば
う~ん…とか言いながらしばらく考えてから

「どっちも!」
と答えになってねぇ。
はぁぁ…とため息をついたオレの横で

「だってねぇ。
 えほんの王子様はるいだけど
 あたしの王子様はつかさだもん。
 だからどっちも本物の王子様!」
とニコニコしながら話すつくし。

「…つくしの王子様はオレなのか?」
「うんっ。だってお姫様ごっこするのはつかさだけでしょ?」
そう言ってオレの頬にちゅーをしてきたつくし。


つくしの王子様。

だけどオレがその王子様でいられたのは
つくしが絵本に飽きるまでの数か月だけで
それ以来、オレはつくしとちゅーもできなくなった。





いつも応援ありがとうございます♡

幼なじみ 4

つくしはオレたちとは違って
近所にある公立の小学校に通っていた。

学校が一緒じゃない事が
こんなにオレを悩ませるなんて思いもしなかった。


『幼なじみ』   第4話



オレらが6年生でつくしが5年生の秋。
この頃にはもうオレはつくしへのこの気持ちが
恋という物だって事にもしっかり自覚していて
男友達の多いこいつにヤキモキさせられていた。

そんなある日。

「…でもこんなのやっぱり先生怒るかなぁ?」
とキッチンからつくしの声が聞こえる。

「どうでございましょうかね?
 材料費が500円になるようにすれば
 ルール違反じゃないし先生も怒らないかもしれませんね」
「そっか!それならちゃんと500円以下だよね!」
「はい。では500円になるように
 材料を取り分けて差し上げますね」

シェフとそんな会話をするつくしに近寄って
「何やってんだよ」
と声をかけると

「ん?明日から修学旅行でしょ?
 それに持って行くお菓子が500円までなんだけどさ。
 お店で買うと高くて少なくなるからクッキー作って行こうと思って」
と得意気に腕まくりをしてシェフにもらった材料を混ぜていく。

「クッキーばかり持って行っても飽きるだろ」
いくら量があってもそれじゃ意味がないと呆れていると
チッチッチ、と指を振って
「甘いっ!みんなが持ってきたお菓子と
 このクッキーを少しずつ交換すれば
 色んなお菓子がたくさん食べれるでしょ~」
と嬉しそうに笑うつくし。

「ほんと食い意地だけは立派……」
そう大きくため息をつきかけてハッとする。

「お前…そのクッキー誰と交換するつもりだ?」
「え?みんなだよ」
「みんなって男子とも交換するのか?」
「あったりまえ!」

……はぁ!?
何考えてんだよ、こいつは!!

毎年オレの誕生日にクッキーを焼いてくれるつくし。
それはオレにとって何にも変えられない特別な贈り物だ。

そんなお前の手作りのクッキーを
たかが菓子と交換して男にやるだと??
ふざけんじゃねぇよ!
それ食っていいのはオレだけだっつーの!!

そう思ってクッキーを作ろうとしてる
つくしを慌てて止めようとするオレに

「坊ちゃん」
とシェフが小さく手招きをして耳打ちをしようとするから
「なんだよっ」
そう言いながらも耳を傾けると

「夜中の間に私が作ったクッキーと交換して
 つくしが作ったクッキーは坊っちゃんにお渡し致します」
とにっこり笑う。
「…あぁ、頼む」


こうしてつくしの手作りクッキーを死守したはいいが
つくしが修学旅行でいない夜。
オレはあいつが男の部屋に遊びに行ってねーか、とか
誰かに告白されたりしてねーか、とか
(あいつが告白するなんて事は考えたくない)
心配で心配で一睡もできなかった。

オレがこんなに心配症になったのは全部あいつのせいだ。

あいつはこんなに近くにいるオレを無視するかのように
クラスの○○君がカッコいいだの
△△君はクラスで一番足が速くて素敵だのと
有り得ねぇ程次から次へとキョトキョトと男に惚れやがる。

カッコいいのも素敵なのも
そんなの全部オレの方が上に決まってんだろ!

お前は英徳にいねぇから
オレの凄さがわかんねぇんだ。

オレは学校じゃあいつらとまとめて
「花の4人組、通称F4」って呼ばれてんだぞ。
オレはそのF4のリーダーなんだぞ!


こうなったら何が何でも中学は英徳に通わせて
オレの凄さをあいつに気付かせてやるっ!

そう決意したオレは父さんと母さんに
あいつを英徳に進学させるように頼んだ。

「それは別に構わないが…
 つくしちゃん自身が嫌なら無理強いはできないぞ」
と父さん。
「そもそも英徳に通う理由は何なの?
 まさか司のわがままじゃないでしょうね?」
と母さんの瞳が鋭く光る。

「そ、そんなワケねぇだろ!
 つくしの夢が弁護士だって言うから
 それだったら中等部から英徳に通って、
 いずれは大学の法学部に進むのがいいと思ったんだよ」
眠れなかった夜に必死に考えた口実。

嘘はついてねぇ。
あいつの夢は弁護士だ。

「弁護士か…つくしちゃんらしいな」
「えぇ。正義感が強いあの子ならきっとなれるわね」
と父さんたちも納得して頷いた。

「使用人の立場で滅相もない」
と遠慮する牧野を
何とか説き伏せた父さんたちのおかげで

オレが中等部2年になった春。

つくしが英徳中等部に入学してきた。





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