嘘のようなホントの話

オレだって最初は何の冗談かと思った。

でも…信じらんねぇが
嘘のような本当の話だった…。


『嘘のようなホントの話』   第1話


4年の約束を守り、NYから帰ってきたオレ。

オレとしては
ちゃんといい男になって帰って来たんだから
すぐにでも結婚してぇとプロポーズだってした。

その返事は当然『YES』だと思ってた。

「あんたの気持ちは嬉しいよ?すごく嬉しい。
 でもまだ学生だし…それにあたしもちゃんと社会経験は積みたい」
そう申し訳なさそうに答える牧野。

信じられるか?

このオレ様がプロポーズ断られるなんてよ。
こんなのマスコミにバレたら大スクープだっつーの。

こんな事が出来んのは全世界探したってお前くらいなモンだ。
まぁその前にオレはお前にしかプロポーズなんてしねぇけどよ。

「別に学生で結婚したって問題ねぇだろ。
 それに結婚したら家庭に入れなんて言う気はねぇよ。
 お前がしたいなら仕事だってすりゃいいだろ?」
「苗字が牧野か道明寺じゃ全然違ってきちゃうの!」

そっから話合いは平行線のままで
帰国して半年が経った頃、
結局はオレが折れる形で落ち着いた。

あいつらには
「よく我慢したな、司」
「さすがは牧野」
なんてからかわれたが

オレだってもう
あいつの言い分がわかんねぇ程ガキでもねぇ。

それに…

『…夫婦になるが嫌なワケじゃないけどさ。
 ……せっかく遠距離じゃなくなったんだから
 もっと恋人っぽい思い出だって作りたいじゃん…』
なんて拗ねたような顔で言われたら折れるしかねぇだろうよ。

確かに最初はババァの妨害やら何やらで
コソコソと隠れるように付き合って
やっと堂々と付き合えるようになったと思ったら
親父が倒れて4年もの間ろくに会えずに寂しい思いをさせた。

「ったく。…しょうがねぇな。
 オレも4年待たせたからな。同じだけは待ってやる」
そう言うしかなかった。

でもこの時、我慢なんかせずに
強引にでも結婚しておけばよかったと
オレは激しく後悔することになる。


ある日、
執務室にノックもなしに西田が入ってくる。

「坊っちゃん!」
「なんだよ、ノックもしねぇで…」
書類から視線を上げて西田に文句を言いかけてたオレは
その顔と西田がオレを坊っちゃんなんて懐かしい呼び方した事に
嫌な予感しかしなかった。

「牧野様が…階段から落ちられて病院に運ばれたと…」





車に乗り込み牧野が運ばれた病院に向かう。
西田がすでに特別室などの手配は済ませたと言う。

遠距離の時にもあいつ1回階段から落ちたよな…。
あん時はパニくった電話に慌ててジェット飛ばして
12時間もかけて駆けつけてみれば
オレが着く頃にはあいつはピンピンしてて…

今回だって大した事ねぇんだろ?
オレの心配なんて全然わかってなさそうな顔して
「さっさと会社戻りなさいよね!」
とか言って怒るんだろ?


「牧野っ!」
病室のドアを勢いよく開けると

「あ、司ー!早かったねぇ」
「先輩が関わってるわりには遅いくらいじゃないですか?」
と滋と三条がクスクス笑う横のベッドには
牧野も目を覚ましたのか座っていた。

その姿にホッとしながらもベッドの脇にあったイスに腰かける。
「ったく。お前もう清掃バイト禁止だからな?
 階段から落ちる度にこっちの寿命が縮むんだよ」
ネクタイを緩めてため息をつきながら言った言葉に

「今回ばかりはつくしも言う事聞くしかないかなー」
「じゃないとすぐにでも婚姻届出すって言いだしますわよ」
と滋と三条が笑う。

「で?どうもねぇのか?」
そう言いながら頬に触れようとすると
牧野はビックリしたみてぇに身を引く。

「…なんだよ」
別にキスしようとしたわけじゃねぇだろうが。
そう思ってムッとするオレに牧野は

「えっと……この人、誰?
 滋さんと桜子の知り合い?」
と訝しげな顔つきで言い放った。





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★私のお話でつくしは何回階段から落ちるのか…(;´д`)★
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嘘のようなホントの話 2

気がついたら病院のベッドの上にいて

「あ、気が付きました?」
「よかったよ、つくしぃ~」
なんて言いながら桜子と滋さんが抱き着いて来た。


『嘘のようなホントの話』   第2話


どうやらあたしは
バイト中に階段から落ちて頭を打ったらしい。

言われてみればさっきまでビル清掃のバイト中だった気がする。


滋さんたちが連絡していたのか、
しばらくすると類たちもみんな
心配して来てくれたのは本当に有難いんだけど……。

「ねぇ…。あたしの顔に何かついてる?
 もしかしてどっか打ち付けてヒドイ顔してるとか??」
そう聞きたくなるほど
信じられない物を見るような目でみんながあたしを見る。

すると滋さんが1歩前に出てきて
「あたしの名前わかるんだよね?」
とそんな事を聞いてくるから

「滋さんでしょ。大河原滋。なによ今さら…」
意味がわからないと首をかしげるあたしにかまうことなく
「じゃあ、この人は?」
「桜子」
「じゃあ、この人は?」
「類」
と次々と部屋に集まったみんなを指さして答えさせる。

そして…最後に不機嫌な顔をしてあたしを見る
長身の男の人を指さす滋さん。
「じゃあ…この人は?誰?」

「…はじめまして、だよね?」
あたしの言葉にその人はひどく傷ついたような顔をして

「おいおい。マジかよ…」
「司の時のまったく逆パターンか…」
西門さんと美作さんがうんざり顔で頭を抱え、

「土星人って記憶失くしやすいの?」
と類は訳のわからない事を言いながら首をかしげ、

「司の時みたいにボールぶつけてみる??」
「滋さんっ!それじゃ先輩が死んじゃいますよっ!」
と滋さんと桜子までそんな事を言っている。

「ね…ねぇ。
 そろそろ説明してよ。何なのさっきから…」
ベッドの上で逃げ場もないまま
みんなの視線が刺さるこの状況は非常に居心地が悪い。


「どうする、司」
「とりあえず説明してみっか?」
西門さん達の言葉に
しばらく考えて込んでいたその人は

「…いや。いい」
と一言。
「なんでよー!」
「そうですよ。
 説明くらいしておいた方が…」
滋さんと桜子は反対するが

「…今言ってもどうせ信じねぇだろうし
 下手すりゃ混乱させるだけだ。
 折りを見て自分で説明すっから
 お前ら余計な事言うんじゃねぇぞ?」
そう言うと2人は黙ってしまった。

なんとなく不穏な空気が流れる中で
「さすが経験者、説得力が違うね」
と類だけがクスクス笑っている。

そんな類をひと睨みしてから
小さく息をつくとあたしのすぐ横まで来て

「オレは道明寺司だ。
 とりあえず今日はこれだけ覚えろ」
そんな事を言うから

「へ?あ…はい。道明寺さん」
「お前にさん付けで呼ばれると気持ち悪ぃ。
 道明寺でいいし、敬語も使うな。わかったか?」
「え…でも…」
「わかったか!?」
そう言って顔をつき出してくる。

「牧野、司が暴れ出す前に言う事聞いとけ」
「そうそう。オレらにだって敬語じゃねぇんだから問題ねぇだろ」

「う、うん。まぁ、そうだけどさ…。
 じ、じゃあ…道明寺?よろしくね?」
そう言ってみるとさっきまでの不機嫌な顔をひっこめて
「おぅ」
少し寂しそうに笑いながら言った。





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嘘のようなホントの話 2.5

★本日2話目です★



「じゃあな、牧野。
 とりあえず今日はゆっくり休め」

牧野の病室を後にして
スタスタと歩きながらこれからどうしたものかと考える。


『嘘のようなホントの話』   第2.5話



「司、意外と冷静だったな」
「あぁ…もっと暴れるかと思った」

あいつらがそんな事を話してるのを背中で聞いていた。

…うるせぇな。
冷静なんかじゃねぇよ。

焦ってるに決まってんだろ。
どうしたらいいかわかんねぇよ。

あんな知らねぇ奴見るみたいな顔して
あいつの世界からオレだけが消えてんだぞ。

忘れられるって想像以上にキツいな……。


すると突然、
後ろからバシッと背中を叩かれる。


「…いてぇ」
振り向くと叩いたのは類だった。
「うん?情けない背中してたから…つい。ね?」
と悪びれる事もなくクスっと笑う。

「なぁ…あいつもこんな気持ちだったと思うか?」

オレが記憶喪失になった時は
お前も…こんな気持ちだったのか?

いや…もっとキツかったよな。

オレはあいつを忘れただけでなく
それでも毎日会いに来てくれてたあいつに
ひでぇ態度とって拒絶して追い返して傷つけた。


「…だろうね。お前の場合は
 変な女までそばに置いたりしてタチ悪かったしね?」
わかってた事だが
やっぱり類はフォローなんてしねぇよな。

傷口に塩塗り込むようなマネしてくれんじゃねぇよ。

「あの時さー
 マジで牧野をお前から奪ってやろうって
 ……ちょっとだけ思わなくもなかったんだよね」
独り言のように呟いた言葉に
思わず類の顔を見れば、不敵にニヤッと笑っていて

「今回ももしかしたら、俺チャンスなのかな?」
「あぁ?ふざけてんじゃねぇぞ!」
思わず怒鳴りつけた所で
やっぱり気にする様子もない類は

「…だったら、堂々と胸張ってろよ。
 どうせ牧野を諦めるなんて出来ないんでしょ?」
「…当たり前だろーが。
 忘れたっつーなら、オレがどんだけいい男か
 もう一度教えてやればいいだけの話じゃねぇか。
 …それに記憶がなくたってあいつは今さら類なんかに惚れねぇよ」
フンと鼻を鳴らしたオレを
しばらく無言で見ていた類。

「…せっかく励ましてあげたのに。
 最後の一言は余計じゃない?ほんとムカつく」
そう言いながらも
類は言葉とは裏腹にクスッと笑っていて
ひらひらと手を振りながら車に乗り込んで行った。


それを見送ってから
オレも自分の車に乗り込んで
どうやってあいつをもう一度振り向かせるか思案する。

待ってろよ。牧野。
オレはお前を何度だって捕まえてやるからな。


…逃がしはしねぇよ。




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嘘のようなホントの話 3

ただちょっと階段から落ちただけなのに
どうしてだかいくつもの検査を受けさせられて

1週間後、
ようやくアパートに戻る事が出来た。


『嘘のようなホントの話』   第3話


とりあえず窓を開けて空気を入れ替えながら
簡単に掃除を済ませた。

その後、珈琲を淹れてひと息つきながら
溜まっていた郵便物を整理していると
その中の1通に目が止まり、あたしは首を捻る。

「……これって、新手の詐欺か何か?」



その数日後。
あたしは類を呼び出していた。

「…車で来たの?」
「うん。ダメだった?」
「ダメって言うか…なんて言うか…」
もう入院はこりごりって言うか…。
なんてさすがに言えないか。とガクッと肩を落とす。

「とりあえず乗って?
 おなかすいてるからご飯付き合ってよ」
普段だったら丁重にお断りする所なんだけど
今日はあたしから会いたいって言ったワケだし、仕方ないよね。

結局、生きた心地のしないドライブで
連れて来られたお店でおいしいディナーをご馳走になった。
「で?どうしたの?
 牧野から誘ってくれるなんて珍しいよね」

「あ、うん。あのさ…。
 こんなのが家に届いてたんだけど
 これってやっぱり詐欺とかだと思う?」
そう言いながら鞄から例の封筒を取り出すと類に渡す。

受け取った類は
しばらくその中身を黙って読んでいる。

その中身とは…
天下の道明寺HD日本支社から届いた内定通知書。

面接を受けた覚えもないのに
日本を代表する一流企業からの
突然の内定通知書なんて明らかに怪しすぎる。

「やっぱりおかしいよね?
 道明寺HDで働けると思ってのこのこ行ったら
 研修費に何十万かかります。とか言われるやつじゃない?」
あたしの言葉にプッと吹き出すように笑った類は

「…なるほどね。
 まぁ、これくらいは仕方ないかな?」
なんてボソッと呟いて

「あんた、ここが第一志望だって言って
 張り切って面接受けてたよ。
 その辺も事故でちょっと記憶が曖昧になってるのかもね」
と事もなげに言う。

頭を打ったせいなのか
あたしの記憶は一部欠けてしまってるらしい。

ただ、どういう事を忘れてしまってるのかは
いくら聞いてもみんなは
自分で思い出せ、とそればかりで教えてくれなかった。

確かに自分でも
正確に思い出せない事がいくつかあるのは自覚してる…。

例えば自分が英徳大学に通ってる事はわかっていても
どうして高校だけでなく大学まで英徳になったのか、とか。

その学費は問い合わせたらもう支払われていたけど
あたしどうやってあんな高額な学費なんて払ったって言うのか…。


それにあたしは弁護士を目指してたはずなのに
どうして急に希望が変わったんだろ?

「…あたし本当に道明寺HDなんて受けてたの?
 いくらなんでも無謀すぎない?」
「実際こうやって内定もらったんだから、無謀じゃないでしょ。
 これも間違いなく正式な物だし。
 詐欺なんかじゃないよ。おめでとう、牧野」
そう言ってにっこり笑う類。

「う~ん…。
 こんな嘘みたいな話がホントにあるのかなぁ?」
類に返された内定通知書を見ながらため息をつく。

「もし詐欺で騙されて無職になったら
 俺の秘書として拾ってあげるから大丈夫だよ?」
と面白そうに笑う声に安心して
「じゃあ、あたしどっちに転んでも一流企業勤めだね」
そうケラケラ笑いながら答えた。





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嘘のようなホントの話 4

牧野が記憶を失ってすぐ
オレはババァに状況を説明して

あいつを道明寺に入れる事を打診した。


『嘘のようなホントの話』   第4話


オレの中ではおそらく反対してくんだろうと思っていた。
だがババァの反応は意外にも

「…わかりました。あなたに任せるわ」
その一言だけ。

「…反対しねぇんだな」
「つくしさんはあなたとの事を別にしても
 大学での成績も優秀だし道明寺として欲しい人材よ。
 それに、この状況で離れて
 あなたにつくしさんを捕まえられるのかも不安ですからね」
「あ?」
「…それに私としては
 記憶がない方が都合がいいかもしれないわね」
そう言ってクスクスと笑うババァ。

あの頃から考えると怖ぇくらいだが、
最近は2人だけで食事に行ってる事もあるくらい関係は良好だった。

溝鼠だの、何だのと罵られた記憶は今の牧野にはねぇ。
確かにババァからすればあの頃の記憶のねぇ牧野の方がいいのか。

「今度連れて来た時はいびんじゃねぇぞ?」
「失礼ね。いびった覚えはないわ」
と軽くオレを睨みつけるババァは

「で?つくしさんの部署はどうするつもり?」
そう続けてくる。
「まだそこまでは決めてねぇが、とりあえず…」
とオレが言いかけると
「秘書課なら私付きにしますからね」
とあわよくば四六時中一緒にいれると企んでいたオレを一蹴する。

「…チッ」
舌打ちを返すオレにクスッと笑うと
「特に決まってないのであれば総務部になさい。
 いずれ嫁になるのですから会社の事を広く知っておいて損はないわ」
そう言って自然と牧野を将来の嫁と認めるババァもまた
牧野が今回の事でオレから離れるのは不本意なんだろう。

あいつをオレの秘書にする事には失敗したが
とりあえずあいつの入社が認められた事に一息つくと
「つくしさんの記憶が戻るのが先か、
 あなたが再びあの子の心を手に入れるのが先か。
 どちらにしても次に会える時を楽しみにしてるわ」
「チッ…。うるせぇよ」





ババァと別れて
西田にあいつに内定通知書を送っておけと指示する。

通知を見た牧野は
覚えのねぇ通知なんかそのまま無視するかもしれねぇが
オレの予想だとあいつらの誰かに相談すんだろうし
あいつらならオレの意思は伝わるハズだ。

そしてその予想通り
一週間くらいしてから類から連絡があって

『一応口裏は合わせておいたから。
 でも記憶が戻ったらお前、キレられる覚悟はしておけよ?』
と電話の向こうでクスクスと笑っていた。


類の言うように
あいつの記憶が今戻ったとしたら
「ふざけんなっ!!」と怒り狂う姿が容易に想像できる。

こんな事になってなけりゃ
あいつは弁護士を目指してたはずだし
結婚して姓が変わると働きづらいからと
道明寺HDにだけは入らないと言っていた。

気に入らないながらも
オレだって一応牧野の意思を尊重するつもりだったけどよ。
今のこの状況であいつを
オレの目の届かない所に置いておけるわけがねぇ。

ただでさえキョトキョトしやがって気が気でねぇのに
オレの記憶もねぇあいつが大人しくしてるとは思えねぇからな。

記憶が戻った時にあいつがキレてこようが何だろうが
そんなのオレ様を忘れるあいつが悪ぃに決まってる。

ま、そんな事言った所で
「あんたにだけは言われたくないっ」
って余計怒るんだろうけどな。

そんなの知るかよ。
オレはお前をもう一度手に入れなきゃなんねぇんだ。

お前の都合なんて考えてやらねぇよ。




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