I miss… 1

オレには欠けた記憶がある。

それが自分にとってどれほど大事だったか。
それだけは感覚的にわかっていても
どうしても思い出すことができねぇ。


『I miss…』   第1話


「早く思い出せ」
総二郎たちがオレのためにそう言ってんのはわかってる。

だけど。
オレだってそうしたいのにそれが出来なくてイラついてんだ。

そのうちあいつらに会うのも億劫になって来て
ババァの提案にのってしばらくNYで静養する事にした。

「いい若いモンが昼間っから邸でダラダラと。
 体は元気なんですからその辺を散歩でもして来たらどうです」
そう言ってオレを邸から追い出すのはNYについてきたタマ。

ま、確かに一日中邸に籠っててもする事があるわけでもねぇし。
エントランスを出ると目の前に止まる車に乗り込もうとすると

『すぐそこなんだから歩きなさいよ。これだからお坊ちゃんは…』

そんな声が聞こえた気がして
辺りを見渡してみても、見えるのは
少し離れたところを歩くSPの奴らだけ。

日本じゃなんとか振り切れたが
事件からまだそう日が経ってない事もあって
NYでは警護も厳しくてしつこくついてきやがる。

まぁ、オレがキレるから離れてついて来るようになったけどな。
それでも気配までは消えねーから鬱陶しいったらありゃしねぇ。

結局、車に乗る気がしなくなって
「歩いて行くからいい…」
そう言って車に乗らずそのまま歩き出した。

そのまま近くの公園まで来たオレ。

…そういえば前はほんの少し歩くのも面倒がって車を呼んでた。
そもそも公園に来るなんてしなかったように思う。


しばらく歩いた所でベンチが目にとまって
休憩がてら腰を落とした。

さっき聞こえた声は誰のものだったのか…。
思い出そうと考えると同時に頭痛がしてくる。

いつもそうだ。
思い出そうとすれば頭痛がする。

「クソッ…いてぇ」
俯いてこめかみを押さえていると

「…頭痛いの?」
そんな声が聞こえて顔を上げると
そこにはちっこい女が立っていた。

「……えっと……ま、ま…」
顔は何とか覚えていても
名前までは思い出せなくて眉間にしわを寄せると
「牧野よ!いい加減覚えないさいよね!」
と相変わらずオレ様に向かって偉そうな口をきくこいつ。

…類の女だか何だか知らねぇが
オレが病室で目を覚ました時からあいつらと一緒にいて
やたらとオレに絡んでくる生意気な女。

「類の女だからって調子乗ってるとぶっ飛ばすぞ」
こんな所まで何の用だと睨みつければ

「あたしは花沢類の女じゃないってのも何度も言ってるでしょ!
 ほんとにバカなんだから。…ったく。いつになったら覚えられるの?」
とため息をついて
「隣座るよ?」
そう聞きながらオレが答える前に勝手に座る。

どうしてだかこいつには勝てない気がする。
まぁ、オレもどうせ暇だったし、相手してやってもいいか…。

「なんでこんなトコにいんだよ?」
「ん?観光かな?」
「類…とかも一緒なのか?」
「なんでまた花沢類が出てくるかな?…1人だよ」
と笑って答えるこいつ。

その時、さっきまでの頭痛が無くなってる事に気付く。
偶然か…それともこいつが何か関係あんのか…。

「お前どれくらいこっちにいるんだ?」
「う~ん…決めてないけど1週間くらいかな?」
「どこに泊まってる?」
そう聞くとキョロキョロと辺りを見て
「あっちの方?」
と適当っぽく指をさす。

「あ?」
ふざけてんのかと言おうと思ったところで
その方向に類のマンションがあるのを思い出す。

こいつが類の女じゃないにしても
類がこいつに何かとかまってるのは事実だ。
部屋くらい貸してやるだろうと、勝手に結論付けて
深く追求すんのはやめた。

「…お前は、オレの欠けた記憶が何か知ってんのか?」
オレが聞くと
しばらく黙ってたこいつは
「…知ってるよ。でも自分で思い出さなきゃ意味ないし
 あたしが言って聞かせてもあんたはどうせ信じないから」
とまた笑って答えた。





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I miss… 2

次の日。

なんとなく気になって
昨日の公園のあのベンチに行ってみると
そこには牧野が座って本を読んでいた。


『I miss…』   第2話


「お前…また来てたのかよ」
ため息をつきながら言うと
「来ると思ったから」
とクスッと笑って読んでいた本を閉じた。

牧野はオレの記憶の事を知ってると言いながら
「思い出せ」とは何故か言わない。

それがどこか心地よくて
気を許せる気がして他愛のない話をする。



その次の日。約束なんかしてねぇが
どうせ今日もいるんだろうと途中で珈琲も2つ買ってきた。

オレが近寄って行くと、顔を上げたこいつは

「やっぱり来た」と笑う。
「お前が待ってると思ったから来てやったんだ」
そんなオレの言葉には
「はいはい。あんたを待ってました。ありがとうございます」
とケラケラ笑いながら答える。

オレが珈琲を1つ差し出すと
鞄の中を探り出して何かを探す牧野。

差し出したままの珈琲を2人の間に置いてベンチに座る。
「何探してんだ?」
そう聞くと
「財布。珈琲いくらだった?
 って今、円しか持ってないんだった。だから円で答えて?」
鞄をゴソゴソしながら言う。
「そんなのいらねぇよ。 っつーか、ドルに替えとけよな」
NYで円しか入ってねぇ財布持ち歩くなんて
相当なバカなのか、こいつは。とため息をつくと
「へへっ…。お金なくても大丈夫だったから忘れてた」
と照れ臭そうに頭を掻く。
まぁ、そういうオレもほとんどカードで事足りるから
現金なんてそんなに持ち歩いてねぇ事も多いけどな。

カードだって止められる事だってあるんだから
そういう時のためにも現金は持ち歩くべきだろ…。

そこまで考えて疑問が浮かぶ。

ん?オレのカードは使用限度なんてねぇし
盗難にでも遭わない限り
道明寺家のカードが使えないなんて事はあり得なくねぇか?

実際、カードが使えなかった事なんてなかったはずだ。
それなのに、オレはどうしてカードが止められるなんて思ったんだ?

「……っ」
そこまで考えるとまた頭痛がする。

「ちょっ…。大丈夫?」
牧野が心配そうに覗き込んでくる顔を見てるうちに
また頭痛が治まってくる気がする。

…やっぱりお前はオレの欠けた記憶に関係があんのか?

「…大丈夫だ」
オレが顔を上げるとホッとしたように息をつく。
「頭痛、よくあるの?」
心配そうに聞いてくる牧野。
「欠けた記憶を思い出そうとすると頭痛がする…。
 でもそんなに長くは続かねぇし、別に大した事はねぇよ」
珈琲を口にしながら答えると
「そう…。思い出そうとはしてるんだ?」
と牧野は意外そうにしていた。

「…自分にとってその記憶がどれだけ大事だったか
 それだけは感覚的にわかってんだ。
 毎日イラつきと怒りを
 暴力と権力で晴らすしかなかった世界から
 オレを連れ出してくれたのはその記憶のはずなんだ…」

オレの記憶に残ってるのは
オレを恨む奴らの顔。
ぶっ飛ばして苦痛に歪む顔に助けを乞う顔。

毎日がそんな光景しかなかった。

「オレはあの世界にもう戻りたくねぇ。
 そのためには記憶を取り戻すしかねぇんだよ。
 記憶を失う前の自分は
 幸せだったように思えてならねぇ…。
 オレはそっちに進みてぇんだ…。いや行かなきゃならねぇ」
そこにオレを待ってる奴がいる気がする。

隣を見てみれば黙ってオレの話を聞いてるこいつ。
「…ってお前に話しても仕方ねぇよな」

どうして誰にも言わなかった話をこいつにしてるんだと
急に恥ずかしいような気がして頭を掻く。

それでも…

「ううん。そんな事ない。ありがとう、話してくれて」
嬉しそうに笑うこいつの顔が
少しだけオレの世界の闇を照らしてくれた気がした。





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I miss… 3

同じことが3日続けば
その次の日にも同じ事が起きるのは
もはや当然の出来事のようにすら感じて

「よぅ」
気軽に声をかけて、牧野の隣に腰を落とすオレ。


『I miss…』   第3話



「そう言えば類たちは元気にしてんのか?」
オレが言うと
「やっぱり連絡取ってないんだ?」
と首をかしげる。

「…最近はな。
 電話しても、早く思い出せって
 バカの1つ覚えみてぇに言いやがって…うぜぇ」
小さく舌打ちをしながら答えると
「またそんな事言って…。
 あんなにあんたの事思ってくれる人たちいないんだからね?」
と困ったように言う。

「…でもお前は言わねぇよな。オレに思い出せって」
オレの欠けた記憶を知ってると言う奴は
揃いも揃ってほぼ全員が“思い出せ”と
オレに言ってくるくせにこいつからは1度も言われてねぇ。

「う~ん…そうだねぇ。
 昨日あんたが思い出したいって
 思ってるの聞いといて何だけどさ。
 あたしは……思い出さなくてもいいと思ってるからかな?」
そう言って小さく笑う。

記憶を失ってから、そんな事を言った奴はいなかった。

「あんたは記憶を取り戻さなきゃ、
 記憶を失う前の世界に行けないと思ってるみたいだけどさ、
 行きたい世界がわかってれば記憶なんてなくてもいいんだよ。
 今のあんただって、ちゃんと
 暴力や権力だけじゃ幸せになれないってわかってるじゃん。大丈夫だよ」
そういう牧野はどこか遠くを見ている気がした。

思い出さなくてもいいと言うより、
むしろ思い出すなと言ってるようで…。

…お前はどうしてそう思う?

そう聞こうとした時、


「やめろっ!放せよっ!!」
後ろの方でそんな声が聞こえて振り返れば
オレのSPが男を取り押さえていた。

その男を見たオレはSPの元に近寄る。

「…知り合いだ。放せ」
オレが睨みつけるとSPは手を放して、
「大変失礼致しました」
と男に深々と頭を下げて謝罪した。

「いや。もういいよ」
そう言ってにこやかに笑うこいつはアレックス。
NYに住んでるオレのダチだった。

「悪かったな…」
オレからも一言謝ると
「ハハッ。いいって。司の立場を考えれば仕方ない。
 ボクも司を見つけて思わず走り寄ってしまったから。
 道明寺家のSPがそれだけ優秀って事だろ?羨ましいよ」
とケラケラと笑う。

「それにしても、司が公園にいるなんて珍しいな。
 さっき邸に行ったらタマさんがこっちだって言うから驚いたよ。
 最近は毎日来てるらしいな?散歩する趣味なんかあったのか?」
と笑うアレックス。

「あ?別に趣味じゃねぇけどよ。
 ちょっと日本での知り合いがこっちに来ててな…」
そう言ってアレックスに牧野を紹介しようと振り向くと
そこに牧野の姿はなくて。

「知り合い?誰かと一緒だったのか?」
と空のベンチを見てアレックスも首をかしげる。

「あぁ…。ちっこくて生意気な女。
 …クソッ!勝手に帰りやがって…」
舌打ちをするオレに
「司が女の子と?ますます意外だな!
 そのシャイな女の子、ぜひ紹介して欲しかったな」
クスクスと笑うアレックス。

その後、牧野も帰っちまったんじゃしょうがねぇと
その日はアレックスと邸に戻る事にした。






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★本日と明日の12時に「Blunt」の番外編を
  前後編でお届けします。よろしければそちらも覗いて下さい★

I miss… 4

次の日。
オレは今日もあの公園へ向かう。

そこにはやっぱりあいつがいて。
いるとは思っててもついホッとしてしまった。


『I miss…』   第4話


「昨日どうして勝手に帰った」
オレの声に顔をあげたこいつは
「友達が来たみたいだったから?」
とあっけらかんと笑う。

「紹介しようと思ったのによ…。
 おかげでオレは妄想でデートしてると思われたんだぞ」
ムッとして言うと
「ごめんごめん。またいつかね」
と全然悪いと思ってなさそうに
ケラケラと笑いながら謝ってくる。

「そう言えば、そもそもNYに何しに来たんだ?
 観光とか言ってたけど毎日ここにいるじゃねぇか」
オレが聞けば
「ん~…あんたに会いに来たって言えば信じる?」
といたずらっぽく笑うから
「……信じねぇな」
と答えた。
「だよね。冗談だよ。
 __自分のね、想いを昇華させに来たの」
と急にそんな事を言う。

「…昇華?」
オレが首をかしげると
「うん…。気持ちにケリをつけないとお別れ出来ないでしょ?」
「失恋でもしたのか?あ、とうとう類にフラれたんだろ」
冗談のつもりで言った言葉に
「なんでよ。花沢類とはそんなんじゃないって言ったでしょ」
と返してくる牧野は笑ってるのにどこか元気がなくて
急に落ち着きがなくなしたように心臓が早鐘を打ち始めた。

「…お前を振る男なんてこっちから忘れてやればいいじゃねぇか」
自然とそんな言葉が口から出た。
「え?」
「確かにオレも最初はお前の事、なんだこいつって思ったけどよ。
 …今は嫌いじゃねぇよ。
 お前はいい女だ。このオレ様が言うんだから自信持て」
そう言ってビシッと指さしてやると

しばらくきょとんとしていた牧野が
「…ぷっ。はいはい。ありがと。元気出たよ」
そう言って笑った顔に安堵した。

お前に元気がないと落ち着かないし
お前が笑うとホッとする。

こんな不思議な感覚は初めてで…
オレはもっとお前の事を知りたいと思った。

それなのに…。

「明日…日本に帰ろうと思うの。
 道明寺のおかげであたしも次の世界に歩みだせそうだしさ。
 あした帰る前にもう1度だけここに来るから…道明寺も来てくれる?」
別れ際、牧野が突然そんな事を言いだしてオレは頷いた。




そして次の日。
毎日会ってたのに、初めて約束をした最後の日。

あいつが今日帰るんだと思うと落ち着かなくて
朝早くにあのベンチに向かうと牧野はもうそこにいた。

「早いね」
オレを見つけてにっこりと笑うこいつは眩しく見えた。

その光はオレの闇を照らしているようで…。
オレの細胞が求めているのはこの光じゃねぇかとさえ思う。

でも…別にこれが永遠の別れじゃねぇ。
オレだってそのうち、こいつのいる日本に戻るんだ。

歩みだそうとしてるこいつを引き留める理由もねぇし
会いたくなったらオレもすぐ日本に帰ればいいだけだ。

「今日、見送りに行ってやるよ。何時の便だ?」
そう言ったオレに静かに首を振って
「ううん。ここで別れよ。
 本当にありがと。元気でね…バイバイ道明寺」
まるでもう2度と会わねぇみたいな言い方をする牧野。

「いいから見送らせろよ。
 よくわかんねぇけど、お前と離れるのやなんだよ」
オレの言葉にハッとしたように顔を上げると

「…それが聞けただけで、もう十分かな」
儚く笑うこいつは今にも消えそうで抱きしめようと腕を伸ばすと
それをひょいっと避けて
オレの後ろを覗いたかと思えば

「げ。やば…」
とマズそうな顔をするからつられて振り向けば
そこにはSPの向こうから早足で歩いてくるタマの姿。



タマは本当に老人なのかと思うほどの速さで
杖を突きながらオレの前まで来ると

もう一度ダンッと杖をついて背筋を伸ばすと
「よりによってこんな時に…
 何をこんな所で油売ってんのかね、この子はっ」
息を切らしながらも
珍しく何か怒ってるような雰囲気だった。
 




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I miss… 5

「何をこんな所で油売ってんのかね、この子はっ」
そう言って怒ってるっつーか慌ててるっつーか

どっちにしろその姿は
普段オレの睨みにも動じねぇタマにしては珍しかった。



『I miss…』   第5話



「うるせぇな…
 そんな怒鳴ると血圧上がってポックリ逝っちまうぞ」
面倒クセぇ事になりそうなタマの様子に舌打ちを返す。

「散歩に行けって言いだしたのはタマだろうが。
 それとも何か?
 オレには散歩で知り合いに会っても
 そいつとゆっくり話す自由すらねぇのかよ?」
ムッとしたまま言ったオレの言葉に

「ほぉ~?知り合いねぇ??
 ぜひタマもお会いしたいものですねぇ」
と大げさに辺りをキョロキョロと見渡す素振りを見せる。

「おいタマ。ふざけんなよ。ボケる前に
 目がおかしくなったんじゃねぇのか!?そこにいんだろうがっ!」
そう言って振り向いて指さしたベンチには…

「誰もいませんがねぇ?
 タマの目がおかしくなったんでしょうか?」
そう言って疑いの眼差しをオレに向ける。
「あのやろ…っ!また逃げやがった!
 見送ってやるって言ったのに…ちゃんと挨拶もしねぇで…」
まだ遠くには行ってねぇはずだと
辺りを見渡していると

「…坊っちゃん。タマはSPからも報告を受けてます。
 そんなつまらない嘘が通じると思ってるんですか?」
と呆れたようにため息をつく。
「あ?嘘?オレがいつ嘘なんかついたんだよ?」

「SPから毎日公園のベンチに座ったかと思うと
 1人でブツブツと言いだすだなんて報告されて
 タマは坊っちゃんの頭がおかしくなったのかと心配でなりませんよ」
その言葉にオレはSPの1人の胸元を掴む。

「てめぇっ!何くだらねぇ嘘の報告してやがる!!」
締め上げるように力を込めると他のSPも集まってくる。

「ぐっ…。ですが…。
 この公園で、坊っちゃんと接触したのは…アレックス様だ、けで」
「あぁっ!?いくらあいつが小せぇっつったって
 子供じゃあるまいし見えねぇわけねぇだろうがっ!!」
さらに力を入れるオレをSPが止めに入る。
「おやめください!」
「我々は嘘など申し上げておりません!」
「我々は司様に近寄る人間は
 必ずチェックさせて頂いております。
 司様の言う通り、たとえ子供だとしても
 我々の誰も気づかないなどあり得ないのです!」
その言葉にオレは思わず力が抜ける。

確かにアレックスがオレに近寄った時は
こいつらはオレが言うまで捕らえて放さなかった。

だが牧野はどうだ…?

『…頭痛いの?』
頭痛がしてこめかみを押さえていたオレの前にいきなり立ってた。

オレは…頭痛のせいで幻覚でも見てたって言うのか?

SPを放して、呆然とするオレにタマは何かを感じたんだろう。

「……信じがたいですが、少なくとも坊っちゃんが
 嘘を言ってるつもりじゃないって事だけは信じましょう…。
 …で?どこのどなたと話してたって言うんです?」
とSPを下がらせて
さっきまであいつが座っていたベンチにオレを座らせた。

「…牧野だよ。ほら、
 類たちと仲が良かった小せぇ女がいただろ?
 あいつと毎日ここでなんとなく話してた。
 何か自分の想いを昇華させに来たとか言っててよ。
 で、次に進めそうだとか言って今日帰るって言ってたんだよ」
話していくうちにタマの顔が驚愕に染まっていく。

「昇華…って言ったんですかい?
 次に進めるって…?あの子がそんな事を…?」
オレの瞳を覗き込みながら言うその態度は
嘘は言ってないようだと言いながらも
この話を信じたワケでもねぇんだろう…。

「チッ…。信じねぇなら信じねぇでいい」
不貞腐れて視線を逸らしたオレの腕に
タマは泣きながら縋りついた。

「坊っちゃん…。すぐに…っ
 すぐに日本に戻ってくださいまし!
 でないと…つくしが…つくしが…っ!!」

「つくし…?誰だよそれ」
タマの様子を見ればただ事じゃねぇってことはわかるが
聞き覚えのない名前に首をかしげる。

「…牧野つくし。
 坊っちゃんが話していた女の子の名前です。
 つくしは、あの子は今…
 日本の病院で一週間前から意識が戻らない状態が続いています…」
タマの言葉に今度はオレが驚く番だった。





いつも応援ありがとうございます♡

★このお話、実は。表テーマは「記憶喪失」ですが
  裏テーマとして「幽体離脱」が隠れてました。
  「I'm back」のつくしバージョンってとこでしょうか?★
プロフィール

koma

Author:koma
管理人komaの
くだらない妄想の世界へ
ようこそいらっしゃいました。

基本テイストとしては
ラブコメ風味の
ゆる~いつかつく道を
突っ走っております。

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