Rainy Day 1

雨の夜は嫌いだ。

今でも去っていくあいつの後姿を鮮明に覚えてる。
もうあれから何年経ってんだと自分で嘲笑ってみても
窓に映る自分の顔はいつだってひどく情けない顔をしてんだ。


『Rainy Day』  第1話


あいつが誰かの犠牲の上に立てるような女じゃねぇって事くらいは
あの頃のオレにだってわかってた。

だけど、それでもオレを選んで欲しかった。

何もかもを捨ててでもオレを選ぶだけの
お前の覚悟が欲しかった。


あいつと別れてすぐ、
オレは逃げるようにNYに飛んで
親の敷いたレールの上を
ただ人形のように進んで行く毎日を過ごしていた。

本当に人形になっちまえれば楽になれるのに。

ガキの時のように気に入らねぇ奴をぶっ飛ばそうと思っても
お前の怒った顔が頭をよぎって出来ねぇし
それをしなかったオレをお前が褒めてくれるワケでもねぇ。

そうやって叱りも褒めもしねぇくせに
ずっと奥深くに居座り続けてオレを縛りつけるお前。
さっさと出て行けと思う気持ちは嘘じゃねぇのに
いざお前がいなくなったらオレはお前を必死に探すんだろうな…。

いっそお前の事だけ記憶から消えたらいいのによ…。





「司さん。あなたもいい歳なんですから
 そろそろ結婚を見据えて、相応しい方とお付き合いくらいしてみては?」
ババァがそんな事を言いだしたのはオレが29の時だった。

「結婚して欲しいなら、適当な相手でも連れてこいよ。
 てめぇにとってオレの結婚だってビジネスの内なんだろ?
 業務命令だっつーなら、オレは逆らったりしねぇからよ…。
 そんなくだらねぇ話するために無駄な時間使ってんじゃねぇよ」
それだけ言ってオレはババァのオフィスを後にする。

元々親子らしい会話なんてなかったオレとババァは
今となってはビジネスの関係でしか関わる事はなかった。

社長室を出たオレに
「社長はわかりにくい方ですが、あれでも
 司様のプライベートを心配していらっしゃるんですよ」
なんて言ってくる西田に

「あぁ?ババァが心配してんのは跡継ぎの事だろ?」
悪態をついてこれ以上話はしないとばかりに
エレベーターに乗り込んですぐに書類に目を通す。


その日の深夜、ふと目が覚めたオレは
窓の外を見てため息をつく。

「降るなんて言ってなかったじゃねぇかよ…」

いい歳した男が情けねぇとは思うが
あの日以来、雨が降ってると眠れねぇ。

だから雨が降りそうな日は
せめてその気配を感じないように
決まって地下の防音のきいた部屋で寝ていたのに
今夜は急に降ってきたのか、外はどしゃ降りだ。

その耳障りな音で目を覚ましてしまった。


結婚、か…。
相手があいつじゃないなら誰としたって一緒だ。

でも…もしも。
もしもお前と結婚したとしたら、こんな夜も辛くねぇんだろうな。

お前を抱きしめて眠る事さえできたら
きっと雨が降ってる事さえ気づかねぇ。

お前が今ここにいればな…。

そう思って目を閉じればすぐそこにお前はいるのに
目を開けるとスッと消えちまう。

「…クソッ!」
ベッドサイドにあったグラスを壁に投げつける。

グラスが割れる音を聞いて部屋に入ってきたのは
数年前、オレの世話係としてNYにやってきたタマだった。

「やっぱり起きてらっしゃいましたか。」
そう言ってタマは割れたグラスを片づける。

「タマ…今何時だ?」
「まだ5時ですよ。もう少し眠られては?」
「……雨がうるさくて眠れねぇんだよ」
そう言って頭をグシャグシャと掻くオレにタマはクスッと笑う。

「最近の若いモンは、そういうのが多いのかねぇ?
 タマの知り合いにも1人、雨の日は眠れないって子供がいるんでね」
「ガキと一緒にしてんじゃねぇぞ」
オレが睨んでみても
「タマから見れば坊っちゃんはまだまだ子供です
 せいぜい毛が生えそろったって所でしょうかねぇ?」
と相変わらずこいつはオレに怯んだりしねぇ。

「そんな子供が人生諦めたみたいに不貞腐れて。
 苦しいくせに我慢ばかりして、いつか本当に腐っちまうよ…。
 子供は子供らしくもっと素直にやりたい事をやればいいさね…」
そう静かにぼやくとタマは部屋を出て行った。



 
いつも応援ありがとうございます♡
スポンサーサイト

Rainy Day 2

雨の夜は嫌い。

こんな日は決まって夢にあいつが出てくるから眠れない。
夢の中のあいつは今もあの場所で雨に打たれてて。
あいつをどれほど傷つけたのかと、胸が締め付けられる。


『Rainy Day』   第2話


あの時の決断を後悔してるわけじゃない。
自分の幸せの裏で大切な誰かが苦しむなんて耐えられない。
その気持ちに嘘は1つもない。

だけど…それと引き換えに
自分にとって1番大切な人を
これ以上ない程傷つけたあたしは…

果たして、正しかったと言えるんだろうか?


『オレを1人の男としてみた事があるか?』
あいつの問いかけにあたしは嘘を答えた。

悲しまれるくらいなら憎まれたらいいと思った。
あたしを憎んで嫌って
いつか誰かと幸せになって欲しかった。

それに本当の事を言ったら、何もかも捨てて
あいつの胸に飛び込んでしまいそうで怖かった。


だけどあの時。
せめて、ちゃんと好きだったと言えていたら
あいつをあんなに傷つける事もなかったんじゃないかと
今になって思う。

あたしが弱かったばっかりに…深く、深く傷つけた。


あの時、不器用にしか生きられないあたしを
バカだと言って一緒に泣いてくれたタマさんとは
あれからもお茶したりもしていたけれど

あいつの世話係を言いつかったとかで
NYに行ってしまってからは
時々電話で話すくらいだった。


あいつはすぐNYに行ってしまったし
道明寺のお母さんとの約束もあって
1度も連絡を取る事も、まして会う事もなかったけど
マスコミに騒がれる事も多いあいつが
立派に跡取りとしての道を
歩んで行っている事は知っている。

そんなあんたを見て良かったと思う反面、
あの時の別れが正しかったと言われてるようで
胸がどこかが少し痛くなったりもする…。







「ひゃ~…いきなり降ってくるんだから。まいったまいった」
ハンカチで滴を拭きながらオフィスに入ってきたあたしに
「傘持ってなかったの?ドジねぇ…」
と同僚の由美がタオルを差し出してくれる。

「牧野、あんた水浴びでもしてきたの?」
と後ろから聞こえた声に
「そんなワケないでしょ!類!いい加減に…っと。
 …じゃなかった、 専務、ふざけないでくださいっ」
慌てて言葉を正してみても、もう遅くて。
目の前の類こと、花沢専務はクスクスと笑っていて

「別に今さらあんたが専務を名前で呼ぼうが
 タメ口きこうがこっちは驚かないわよ。
 でもお客様の前では気を付けないさいよ?」
と由美にまで笑われる。


あいつと別れてから余計な事を考える暇を作らないように
大学では役に立ちそうな資格を見つけては猛勉強して取得していた。
そんなあたしが就職した会社は類の会社の子会社だった。

もちろん、口利きなんてしてもらってないし、
知り合いだって事がバレないようにしていたあたし。
その会社でいくつかの部署を経験してから
結局落ち着いたのが秘書課で所属されて2年が経った頃、

視察で類のお父様が会社を訪れた。

その頃社長秘書の1人だったあたしが
応接室にお茶を出しに行くと、

「おぉ。牧野君。今呼ぼうと思ってたんだよ」
と社長が慌ててあたしを座らせた。

「君が牧野君だね?」
と類のお父様。

「は、はい…。あたしもしかして何か失礼な事を…?」
と社長に小声で聞くあたしをハハっと笑った類のお父様。

「実はね。君に本社の秘書をやってもらいたいんだよ。
 まぁ簡単に言うとヘッドハンティングってやつかな?」
と、とんでもない事を言いだす。
あたしの驚愕など気にも留めずに話を進める類のお父様。

「君の優秀さは前からこちらの社長に伺っててね。
 ウチの愚息にも君みたいな秘書が欲しいと思ってたんだよ。
 で、たった今社長から異動のお許しを貰ってね
 あとは君の気持ち次第なんだが…どうかな?引き受けてくれないかい?」

愚息って。それってもしかしなくても類の事なんじゃ…。

その後、どうにか断ろうと色々と必死に言い訳をしたあたしだったが
相手はあの策士の親だ。
あたしが思いつく逃げ道なんて簡単に塞がれるワケで…。
結局あたしが類の秘書になったのは1年前の事。

3年寝太郎の類を叱咤して動かすあたしを
秘書課の同僚たちはサーカスの象使いだと言う。

「猛獣の次は象だって。やっぱあんたすごいね」
と笑う類に思わず怒鳴ってしまった事がきっかけで
高校時代からの友人だとバレてからは
もうすっかりこんな感じの毎日で…。

久しぶりに
タマさんから電話がかかってきたのはそんな時だった。




いつも応援ありがとうございます♡

Rainy Day 3

ババァが突然、結婚話を持ちかけてきてから1ヶ月。

またオレを呼び出したババァに
今度は何を言われるのかと、ため息がでる。


『Rainy Day』   第3話


「あなたがお相手を自分で探せないと言うのであれば
 この中から好きな方をお選びなさい」
そう言ってババァはオレの前に写真付きの書類を数枚出す。

「どうでもいいっつってんだろ。
 自分が気に入った奴にすればいいじゃねぇか。
 無駄な時間取らせんなって前にも言ったよな?」
そう言って見ようともしないオレに

「本当にそれでいいのかしら?
 私は提示された書類の確認もしないような
 杜撰な教育をした覚えはありませんよ?」
といつになく厳しい顔をするババァにため息をついて
しぶしぶその書類をパラパラとめくる。

ババァが用意した嫁候補とやらはオレの予想通り
どこかのそれなりに名の通った会社の令嬢ばかりで。
写真を見ても全員同じ顔にしか見えねぇ。

だけど、最後の候補を見て手が止まる。

「……どういうつもりだよ」
思わず声が低くなるオレ。

「何か問題でも?司さんの嫁として相応しい方を
 ピックアップしただけの事であって、他意はありません」

「他意はない?見え透いた嘘ついてんじゃねぇよ!
 だったらどうしててめぇが昔に切り捨てた牧野が候補に上がるんだっ」
最後の書類には嫁候補として牧野のデータがあった。

「あの頃は道明寺にとって何の価値もなかったからです。
 あの頃のあなた達は社会と言うものを理解してなさすぎた。
 あのままではあなたが後継者としてダメになるのは明らかでしたから」
呆然とするオレにババァは続ける。

「ですが、社会に出て経験を積み自分の立場も理解した今なら
 お互いを高め合う事で道明寺のためになります。
 もちろん、愛だの何だのそんなくだらない物に溺れてダメになると
 今のあなたが思うのであれば、その他のお嬢さんを選びなさい?」
そう言って珈琲を一口飲むババァ。

「…本当にいいんだな?
 何か企んでんじゃねぇだろうな?」
ババァを睨みつけて言うオレに

「他意はないと言ったはずです。
 ただし。牧野さんを選ぶのであれば1つ条件があります」
と一言付け加えるババァ。

「…なんだよ?」
「牧野さんを今いる花沢物産からうちに引き抜くこと」
その言葉に慌てて、書類に目を通すと
あいつが小さな会社から花沢の本社に引き抜かれて
今は類の秘書をやってる事が記されていた。

「あなたの婚約者になるなら、うちに入るのは当然でしょ?
 それに私は牧野さん個人の能力にも興味がありますから。
 何でもあの気難しい類さんを操るとても優秀な秘書らしいわね?
 西田でさえ手を焼く司さんも操って頂けるならこんな有難い事はないわ」
そう言って笑うババァ。

オレが冷や汗をかいていたは
あいつが類の元にいるっていう焦りなのか、
初めて見たんじゃねぇかと思うババァの笑う姿にだったのか。


牧野はもちろんこんな話は知らない事、
類やあいつらには協力を頼まないこと、
道明寺の力を使ったりはしないことなど
あくまでもオレ自身の力だけで
牧野を道明寺に転職させて
オレの嫁になると言わせろと念を押した後、

「で?あなたは牧野さんを選ぶのかしら?」
と聞いてきたババァに
「当たり前だ!」
そう答えると、
さらに書類を出してきた。

「でしたら、来月からあなたに日本支社を任せるわ。
 西田と共に東京に戻りなさい。
 わかってるとは思うけど業務に支障は出さないように。
 こっちの引き継ぎは…そうね…」
そう言っていつもの鉄仮面に戻って
これからの話を進めるババァ。

オレはその話を聞きながら
体の隅々まで血が通うような感覚を
久々に感じていた…。



邸に帰ると
「おかえりなさいまし。おや、何か良い事でもありましたか?」
とタマは何もかも知ってそうな顔をして出迎える。

「あぁ…来月日本に戻る」
それだけ答えるオレに
「おやまぁ。奇遇ですね。あたしもついさっき奥様から
 世田谷の邸に戻るよう命じられたばかりで…」
と頭を下げる。

「タマの言ったとおりだった。
 まだどうなるかはわかんねぇが、
 このまま腐っちまうにはまだ早いみてぇだ…」
そう言うオレに
「そうでしょう?
 年寄りの言う事は聞いておくもんですよ」
とタマはニヤりと笑った。




いつも応援ありがとうございます♡

Rainy Day 4

NYからかかってきた
久々のタマさんの電話は

日本に帰ってくるという嬉しい知らせだった。


『Rainy Day』   第4話


♪~…♪~…
『つくしかい?近々日本に戻る事になってね…』
「そうなんですか?うわぁ、会いたいなぁ…」
あたしが答えると
『あぁ、あたしもだよ。
 帰って落ち着いたらまた、お茶にでも付き合っとくれ』
そんなタマさんの声の向こうで
『おい、タマ!…って電話中かよ。じゃあ後でいい』
とあいつの声が聞こえた。

その声にあたしの心臓は
自分でも驚くほどドクンと高鳴った。

『……じゃあまた連絡するよ』
そう言ってタマさんは電話を切ったけど、
それまでどんな話をしていたかは覚えていない。


あいつを傷つけたあの日は今でも昨日の事のようで。
あの日からあたしの心は一歩も動いていないのかもしれない。

あいつを傷つけて、別れを告げた自分に
声を聞いて胸を高鳴らせる権利などあるはずもないのに…。





あいつが道明寺HDの日本支社長として
帰国することを知ったのは
それから数日経って
類宛に就任パーティーの招待状が届いた時だった。

「ねぇ…どうしても俺も行かないとダメなの?
 司なんて見ても面白くないし、面倒くさい。どうにかなんない?」
あたしの目の前には駄々っ子のように頬を膨らませる類。

怒鳴ってしまいそうになる自分を
必死に抑えて、あくまでも冷静にと自分に言い聞かせる。
「どうにもなりません。訳のわからない事言わないで下さい。
 会社としても付き合いが多いのに欠席なんてあり得ません!
 それ以前に個人的にも親友でしょ?
 お祝いくらい言ってあげるべきです!」

「じゃあ牧野がパートナーやってよ?だったら行ってもいいかも」
「パートナーは高木にお願いしてあります。
 彼女の方が道明寺HDの方とも面識がありますから」
「……じゃあ行かない」
「専務っ!」

「…他の奴はともかく、司と面識あるのは牧野だけでしょ。
 司の就任パーティなんだから牧野が適任じゃないの?
 俺がそうなら、あんただってお祝いしてあげるべきでしょ?」
「……」
「高木なんて連れて司の前に出て
 女嫌いの司とトラブルになっても知らないよ?」
「……」
「あいつん所と揉め事なんてあんた後で大変だよ~?」
「……」

しばらく無言の睨み合いを続けるあたしと類。

「もうっ!つくしが行けば丸く収まるんだから
 あんたが行けばいいじゃないっ!」
と由美がため息をつきながらあたしの背中を叩いて
「不機嫌な専務のお相手なんてあたしには無理だから。任せた!」
と小声であたしに向かって舌をペロっと出す。


さっき言ったように面識のある由美の方が
挨拶もしやすいと思ってるのも本当だけど…

できればあたしがあいつに会いたくないのが本音。

でもあたしが類の秘書である以上、
類にちゃんと仕事をこなしてもらうのがあたしの仕事なわけで…。

「はぁぁぁぁ…。わかりましたよ…行けばいいんでしょ」
ガクッと肩を落としてため息をつくあたしに

「うん。楽しみだね」
とのん気に笑っているのは類だけ。



パーティ当日。


「よぉ牧野!噂は聞いてるぜ?」
「あの類を馬車馬のごとく働かせる敏腕秘書だってな」
とお祭りコンビがゲラゲラ笑っている。

「ほんとだよ。牧野が来てから
 俺ほとんど休みもらえなくなったんだから」と類は愚痴る。

「ちゃんと週休2日は守ってるでしょ!
 類が隙あらば寝てばっかりでサボるからじゃない!
 ちゃんと起きてたらもっとスケジュールも緩くなるのに…」

小声で抗議しながらわき腹めがけてパンチするあたしの拳は
さらりと避けられてその反動でグラりとよろめく。
そんなあたしを転ばさないようにさりげなく肩を抱いて受け止める類。

「おーおー。すっかり息ピッタリで妬けるねぇ」
「結婚も秒読みって噂、あれ本当だったりすんのか?」
そんな2人の問いかけに
「ん~。どうなんだろうね?」
と類は優しく笑ってあたしを見る。


その時、照明が落とされて司会が挨拶を始めて会話は途切れた。

そして紹介されて壇上に上がった道明寺…。

雑誌なんかでは見た事もあったんだけど
生で見るオーラはまた全然違っていて…。
うっかり見惚れてしまいそうになるほど
幼さが抜けてスーツが似合う男に成長していた。


その後、類と挨拶に行ったあいつの隣には
綺麗な女の人がパートナーとして寄り添っていて
類や西門さん達と話してる間も
あたしとあいつの目が合うことは1度もなかった。

やっぱり…あの日のまま動けないのはあたしだけで、
あいつはとっくに自分の足で歩いて行ってるんだ…。

そりゃそうだよね。
プライドの高いこの男が
自分をフッた女をいつまでも
女々しく引きずってるなんてあり得ないよね…。

良かった…。
そう思う心の片隅でチクリと感じた痛みを
あたしは気づかないフリをした。




いつも応援ありがとうございます♡

Rainy Day 5

あいつがオレじゃなくて類のパートナーだという事に
嫉妬しそうになる気持ちを必死にごまかす。

それくらいすげぇ綺麗になったあいつ。
目か合ったら抱きしめちまいそうで
オレはビビって直視する事が出来なかった…。


『Rainy Day』   第5話


久々に会った総二郎たちと話したい事もそれなりにあるが
「支社長…そろそろご挨拶の方に…」と
パートナーとして連れて来たオレの秘書に耳打ちされて
また集まろうと約束だけして、あいつらと別れる。

離れながらも、あいつらをチラリと振り返ると
類と牧野が寄り添っていて、
類はあいつの腰に手を回している。


パートナーだからそばにいて当然なんだけどよ…。
ちょっと近すぎんじゃねぇの?

その後も隙を見つけては
牧野と類の2人を観察してたオレ。

どうせ類の事だから
挨拶にやってきた親父たちの名前も
ろくに覚えてねぇんだろう。

牧野はそれをフォローしてんのか
事あるごとに類に耳打ちをしている。

あ…。
相手に見えねぇようにしながら類のケツ捻ってやがる。
ククッ…。類がなんか余計な事言ったんだろうな…。


なるほど…?

ババァが言うように、あいつが優秀な秘書として
類を上手に操ってるのは本当みてぇだな。

引き抜きに成功すれば
あの立ち位置にオレがいるのか。

あぁ。……たまんねぇな。

「…支社長?どうかされましたか?」
気が付くと、オレの秘書がオレを見て首をかしげていた。
「いや…何でもない」
慌てて緩んだ口元を引き締める。




パーティから数日。

相変わらず殺人的なスケジュールを組む西田を
ジト目で睨みながらも仕事をこなすオレ。

そこにいんのが西田でなくて牧野だったら
やる気も全然違ってくんのになぁ…。

そんなオレを見透かすように

「1日でも早く優秀な敏腕秘書が
 やってきてくれる事を私としても待ち望んでおります」
なんて嫌味を1つこぼして書類をまとめていく。

だったらこのスケジュールなんとかしろよ!
いつあいつに会えばいいんだよっ。

これじゃあNYにいた時と何も変わらねーじゃねぇか!!

そんなオレの心の声だって
決して口には出してなかったはずなのに

「あと3週間ほど我慢して頂けましたら落ち着きますので…」
とぼそりと呟くこいつもやっぱり敏腕秘書なんだろう。



あれから3週間。
休みなく働いたオレに、西田は言った通り
スケジュールを少し緩めに組むようになった。

「おー司、パーティぶりか?」と総二郎。
「日本にいても結局お前はつかまんねーな」とあきら。
「うるせーよ。今日で少し落ち着いた。
 こっからはちょっとは休みも取れる」
疲れもピークだったオレはソファに身を沈める。

「そういや類遅せーな?」
「まだ牧野に働かされてんじゃねぇの?」
「あいつが秘書だと容赦なさそうだよな」
と2人がゲラゲラ笑っていると

「…うちの可愛い秘書の悪口言わないでくれる?
 ま、容赦ないってのは否定できないのが残念だけど…」
とクスっと笑いながら類が入ってきた。

揃ったところで乾杯をし直すオレら。

「しっかしその若さで支社長とはなぁ…」と総二郎。
「おかげでオレは親父に嫌味言われたよ」とあきら。
「俺は仕事してるだけでも上出来だってさ。
 父さんなんか牧野の顔見る度に礼言ってるよ」
と類がのん気に応えると2人はまた笑う。


「その牧野をうちに引き抜くっつったら類、お前どうする…?」

オレの言葉に3人が固まった。




いつも応援ありがとうございます♡
プロフィール

koma

Author:koma
管理人komaの
くだらない妄想の世界へ
ようこそいらっしゃいました。

基本テイストとしては
ラブコメ風味の
ゆる~いつかつく道を
突っ走っております。

ご覧頂きありがとうございます♪
*カウンター*
 
*現在の閲覧者数*
komaの呟き。
毎日、毎日
あっついですねぇ(>_<)
 
皆さまも
体調崩されませんように…
 
ご自愛くださいませm(_ _)m
 
最新記事
最新コメント
カテゴリ
検索フォーム
リンク
素敵サイト様
*素敵なイラストなど♪* 管理人 まま様

*二次が生んだ二次作家様*
管理人 aoi様

*CP自在のファンタジスタ* 管理人 asuhana様

*イケメンイラスト&二次小説*
管理人 やこ様

*長編大作の巨匠様* 管理人 こ茶子様

*胸きゅん♡つかつく* 管理人 Happyending様

*カッコ可愛いつくしちゃん*
管理人 四葉様

*切なくも甘いつかつく*
管理人 きぃ様

*シビれるッ!つかつく♪*
管理人 lemmmon様

*とにかく司を愛する作家様*
管理人 蘭丸様
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる