First love 1

玉の輿を狙って入れられた英徳学園。
でもそんなに世の中甘くはない。

だけどママは諦めなかった。
大学は国立に進もうとしていたあたしを
また強引に英徳へと進めさせる…。


『First love』   第1話

 
「英徳学園」ここは超お金持ちばかりが通う事で有名だけど
将来のエリートが揃うと言うだけあって実は学力レベルもトップクラス。

英徳ブランドと学力レベルの高さは絶大な信用となる。
あたしはその武器を使って家庭教師のアルバイトをしていた。
英徳の1回生と言うだけで授業料も
普通の大学生よりは多く貰える。
おかげで高校生の時より楽に稼げるようになっていた。

そんなある日の事だった。
塾も兼ねている事務所に顔を出したあたしは
廊下の角で人とぶつかってしまった。

-ドンッ!-

「わわっ!」
「「きゃっ!」」

同時に上がった声…。下を見るとまるでお人形さんかと思うほど
可愛い女の子が2人尻もちをついていた。

「あ!ごめんね!怪我はなかった?」
そう言って1人ずつ、手を取って起こしてあげる。

「大丈夫です。こちらこそごめんなさい」
「だから言ったじゃない。絵夢が走るからいけないのよ?」
「芽夢だって走ってたくせに…」
そう言い合う2人の女の子は
顔はもちろん、髪型から服装までそっくりだった。
「…もしかして双子ちゃん?」
そう聞くあたしに2人はうなずく。

「ぶつかってごめんなさい。私は絵夢って言うの」
「お姉さんも怪我してない?私は芽夢って言うの」

「あたしは頑丈だから大丈夫。絵夢ちゃんに芽夢ちゃん
 見た目もお人形さんみたいに可愛いけど名前も可愛いね。
 あたしはつくし。牧野つくしよ」

「「つくしお姉さん。つくしお姉さんの名前もかわいいね」」

双子ちゃんってほんとに声が揃ったりするんだと思いながら
「ありがとう」とつくしはクスクス笑う。

そこでそのまま別れたあたしと双子ちゃん。
あたしは事務所で家庭教師の時間割などを提出して
それに必要な教材を準備して1時間くらいで事務所を出る。

すると塾の小学生の個別指導のクラスから、生徒たちが出てきていた。

「あ!つくしお姉さん!!」
聞き覚えのある声に振り向くと
「絵夢ちゃん、ここのクラスの子だったのね。芽夢ちゃんは?」
あたしは頭をポンポンと撫でながら
何気なくそう言っただけなのにすごく驚いた顔をする絵夢ちゃん。

「あれ…?ごめんなさい。もしかして芽夢ちゃんだった?」
すごくそっくりな2人だったけど、なんとなく自信あったんだけど。
もしかして間違ってしまったのかと思って謝る。

「つくしお姉さん…私が絵夢ってどうしてわかったの?」
そう言って首をかしげる仕草でさえ可愛い。
「え?なんでって…なんとなく?」そう答えると
「絵夢~!先に行くなんてひどいよ!」と
教室から芽夢ちゃんが遅れて出てくる。

「つくしお姉さん、ちょっと目をつむってて?」
絵夢ちゃんのお願いに素直に目を閉じる。
パタパタと2人の足音が自分の前で響いている。
「いいわ。目を開けて」そう言って目を開けると
2人が横に並んでいた。
「はい!私はどっち?」そのうちの1人が手を上げて言う。
「芽夢ちゃん」
「「す、すごーい!じゃあもう1回ね?」」
そういってまた目を瞑れと言う2人。
そのあとも、
「芽夢ちゃん」「正解!」
「絵夢ちゃん」「正解!」
「絵夢ちゃん」「正解!」 と何度も私はどっちクイズを出される。

何度もぐるぐるとまわっていた2人は息があがっている。
「「す、すごい…ママやお兄ちゃまでさえ間違うのに…」」

“お兄ちゃま”…ここの塾もお金持ちの家の子ばかりだけど
やっぱり絵夢ちゃんと芽夢ちゃんも相当なお家柄なんだろうな…。
こんな可愛い双子ちゃんのお兄さんってやっぱりイケメンなのかな…?
そんなどうでもいい事を考えていると

「決めたわ!」と芽夢ちゃん。
「そうね。私も賛成!」と絵夢ちゃんは納得しているようだが
あたしには何を決めたのかさっぱりわからない。

「??」
がっちりと手を握り合って、見つめ合っていた2人が
同時にくるりとこちらを向く。

「「つくしお姉さん、私たちの先生になって!」」





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First love 2

「私たちの先生になって!」

それは
絵夢ちゃん芽夢ちゃんの突然すぎるのお願いだった。


『First love』   第2話


「「つくしお姉さん、いいでしょ?お願い!!」」
4つのつぶらな瞳があたしを見つめている…。
うっかりしてると首を縦に振って頷いてしまいそうになる。

…って!
あ、危ない危ないっ!

「う~ん…気持ちは嬉しいんだけどね?
 あたしここでクラス持ってるワケじゃなくて家庭教師専門なの。
 一応高校生クラスだし…今は枠もいっぱいなの」

絵夢ちゃん、芽夢ちゃんはまだ小学生で
塾の個別授業の生徒だ。
あたしも限界ギリギリまで家庭教師の授業を入れているし
あたしが2人を受け持つには無理がありすぎる。

「「小学生じゃ無理なの……?」」
そう言ってすごく悲しそうな顔を並べられると
罪悪感も半端じゃない。

「ご、ごめんね…?」
とりあえずあたしにはこれしか言えない。

「「わかった…」」しょぼーんとする2人に申し訳なくなる。
でもあたしにだってどうしようもないから仕方ない。

「「でも私諦めない…またね!つくしお姉さん!」」
急に顔を上げたかと思うとそう言ってパタパタと走って行った。

ま、小さな子供の思いつきなんてすぐに心変わりするものだろう、と
この時のあたしはまたあの双子ちゃんたちに会えるかなぁ?
…なんて事をのんきに考えていた。



数日後。
あたしは塾長に「とにかくすぐ来てくれ」と呼び出しを受ける。
授業で何か不手際があってクレームでも受けたのかと
あたしは急いで事務所に向かった。

「すみません!遅くなりました」そう言って入った塾長室には
塾長と…綺麗な女の人。

…こんな綺麗な人、担当のお家にいたっけ…?
と、頭をフル回転させていると

「あなたが牧野つくしさんね?」と綺麗な女の人。
「あ…はい。あたし何かやらかしましたか?」と
塾長の方に目線をやると、なぜかニコニコしている。

「牧野君、君には急で悪いんだがこちらの美作さんのお譲さんたちの
 家庭教師をお願いしたんだよ。なんでも君をご指名らしくてね。」

…家庭教師で指名…?
聞いた事なくはないけど、あたしはまだ始めたばかりだ。
英徳の1回生というだけであって
指名を受けるほどの実績があるハズがない。

「家の双子がね、どうしてもあなたじゃないと嫌だって言うのよ」

あたしは双子と聞いて漸く合点がいった。
「もしかして絵夢ちゃんと芽夢ちゃんのお姉さんですか?」
言われてみれば服装の好みが2人にそっくりだった。
お兄さんはいるって聞いてたけどお姉さんもいたのか…。
謎が解けてスッキリしていると
「あら嫌だわ。私は2人の母親よ。でも嬉しいッ
私は美作夢子。よろしくね」とにっこり。

……う、嘘だ。
あたしのママと比べちゃ悪いかも知れないけど
どう考えたって、子供を産んだようには見えない…。
あまりの衝撃に言葉が出ない。

「牧野君は今家庭教師の授業がたくさん入っているようだが
 こちらとこちらのお家の方には教師の変更もご了承を頂いている。
 なのでこちらの美作さんのお譲さんを受け持ってくれんかね?」
そう言いながらあたしのシフトを見せる塾長…。

こちらとこちらって…それあたしが受け持ってる家全部なんですけど。
あたしは大学に入ると同時に独り暮らしも始めて
生活もかかっているのでそれでは困る…。
それに小学生と高校生のクラスじゃ料金だって全然違うしなぁ…。

「でも塾長…あたし独り暮らしだし収入が減るのはちょっと…」
と小声で塾長に耳打ちをすると、
何故か夢子さんまで一緒に耳を当ててあたしの言葉を聞いていた。

「あら!その事なら大丈夫ですわ!こちらの我儘で来てもらうんですもの。
 つくしさんの不都合のないように、今までと同じお給料をお支払しますわ。」
「え…でもそれは、いくらなんでも…」
小学生2人を見るだけで今までと同じお給料をもらうのは気が引ける。
やっぱり断ろうと思った瞬間、
涙目になった夢子さんに手をガッチリと握られる。

「あの子たちもうあなた以外の授業は絶対に受けないって
 ストライキまで始めてしまったの!お願い!あたしを助けると思って!
 そうだわ!独り暮らしなら授業の日はディナーもご一緒しましょ!ね?ね?」

あたしの手を握ったままブンブンと揺すりながら懇願する
夢子さんのあまりの気迫に押されるまま…

あたしはついつい頷いてしまった…。

「キャー!受けてくれるのね?嬉しい!!ありがとうつくしさんっ」

そう言って子供のようにあたしに抱き着く夢子さんはやっぱり母親とは思えなかった。



 


★あきらのお母さんって私の記憶では名前が出てきてないような気がするんですよね。
 ファンブックとかは読んでないので、そこになら書いてたりするのかな…?
 前にどなたかの二次を読んだ時に「夢子」と言っていたのを
 ふと思い出して拝借させて頂きました(^^;)
 絵夢ちゃんと芽夢ちゃんのお母さんの名前にピッタリですよね。
 

First love 3

夢子さんの迫力に負けて
結局双子ちゃんの家庭教師になったあたし。

今日はその初日だった。


『First love』   第3話


「う…うそでしょ…?」
教えられた住所に行ってみたあたしは
そこに建っている建物を見て絶句する。

これが家?何か公共の建物とかじゃなくて??
でも門には確かに「美作」の文字。

しっかりした家柄の子だとは思っていたけど…
まさかこんなにすごい所だったなんて…。

ま、ここまで来て引き返すわけにもいかないと、呼び鈴を鳴らす。
すると奥の母屋から双子ちゃんが走り出してきた。

「「つくしお姉ちゃま~」」
げげっ。いつの間にかあたしまで“お姉ちゃま”になってる、と苦笑い。

両サイドに双子ちゃんがくっついたまま案内されるあたし。
外から見ても立派だけど、中はもっとすごい。
どこもかしこもお花で溢れていていい匂いが漂っていた。

「つくしさん、いらっしゃい。今日から宜しくね」
そう言って出てきたのは夢子さん。

とりあえず週3日のペースで国語と算数を重点的に教える事となった。
授業が終わって、2人に引っ張られるようにダイニングに向かう。

そこには夢子さんともう1人男の人がいた。

「「お兄ちゃま!」」
そう言って双子ちゃんはその男の人に飛びつく。

「おぅただいま…ちゃんと勉強したのか?」
その男の人は双子ちゃんをしっかり受け止めてにっこりと笑う。
そしてあたしの方に視線を向けると、

「あんたが新しい家庭教師?英徳の1回生なんだってな。
 オレはあきら。オレも英徳の2回生だから先輩だな。
 双子の相手大変だろうけど頼むよ」
と握手を求められ、あたしもそれに応じる。

「……どこかで会った事あります?」
どこかで見た事があるような気がしてそのまま聞いてみると、

「ん?誘ってくれてんの?」と甘い顔をする“お兄ちゃま”
「…え?まさか!」
予想外の返しに手をブンブン振って否定する。
「ククッ!そんな全力否定されるとちょっと傷つくな」とクスクス笑う。
「たぶん学園で見たんじゃねーの?
 あんたも英徳なら“F4”くらい当然知ってるかと思ったぜ」
あたしはその言葉で漸く思い出した。

この人…F4の1人だ。
じゃあ美作って、美作商事の美作なわけ?
そりゃ家もこんなに立派なはずだよねぇ…。

「とりあえず飯にしようぜ」

美作さんがそう言うと使用人の方たちが手際よく準備する。

「遠慮しないでたくさん食べてね」と夢子さん。
あたしは素直に出された料理を頂く。

「お…おいしぃ~♪」
「そんなにおいしそうに食べてもらえると作り手としては嬉しいわ」
とにっこり笑う夢子さん。
「え?もしかしてこれ作ったの夢子さんなんですか?」
どう見ても一流ホテルで出てきそうな料理の数々…。
当然お抱えのシェフが作ったものだと思っていた。

「おふくろは料理と花が趣味なんだよ」と美作さん。
「趣味…?いやいや!プロ顔負けなくらい美味しいですよ!」
「ほんと?嬉しい~!授業の日じゃなくてもいつでも食べに来てね」
「そんな!あたしはただの家庭教師なのに…」
そんな厚かましい事ができるわけがないと遠慮するあたしに、
「牧野が食べてくれたらオレも助かるよ。
 たまに外食しただけで、ヒドイ!って泣くんだからよ…」
美作さんは心底うんざりしたように話す。

その後デザートまでお腹いっぱいご馳走になったあたし。

「あきらくん、すっかり遅くなっちゃったからつくしさん送ってあげて」
と夢子さん。
「あ!いえいえ!お構いなく!そんなに遠くないですから」
どこの家庭教師がご飯まで食べさせてもらって送ってもらうと言うのだ。
夢子さんの心遣いは嬉しいけど丁重にお断りする。

そんなあたしに構うことなく美作さんはあたしの鞄を持って
「オレも外に出られる口実になるから、気にすんな」と耳打ちして
玄関へと向かってしまった。
鞄まで持って行かれては仕方ない、と
あたしは夢子さんにお礼と双子ちゃんにまた2日後にね、と
挨拶をして美作さんを追いかけた。




First love 4

「お前ん家、ほんとにココなのか?」
アパートの前まで送ってくれた美作さんは不思議そうに聞いてくる。

そりゃそうだよね。
英徳に通っておきながらこんなアパートに住んでるのは
あたしくらいなものだろう…。


『First love』   第4話


アパートをまじまじ見ている美作さん
「そうだよ。あたしん家貧乏なんだよねぇ。
 これでも1人で住むにしては贅沢なんだからっ」
「でも…牧野も英徳だろ?」
「あ~…親がどうしてもって言ってて仕方なくね。
 あたしとしては学費も安いし国立狙ってたんだけどねぇ…」
あたしがため息をつきながら答えると、
「お互い親には苦労させられてるって事か?」
美作さんは面白そうに笑う。
あたしにはあの家の何が苦労なのか、と思うけど。

「じゃあ…送ってくれてありがとうございました」
そう言ってぺこっと頭を下げると、
「オレの方こそ夜遊びに出かけるきっかけになって助かったよ」
とウィンクをして帰って行った美作さん。


数日後。

講義の空き時間にカフェテリアにやってくると
「牧野!」
どこからか聞こえた声にキョロキョロしていると、
「上だよ、上」
その声のまま上を向いてみると…
F4専用エリアのテラスから美作さんが手を振っていた。

「ちょっと…あの子何なの?」
「美作さんに声をかけてもらうなんて…」

周りから聞こえる声に慌てて、知らぬふりをして
カフェから逃げ出そうと、静かに後ずさりする。

「牧野?」
今度は後ろから聞こえた声に恐る恐る振り返る。
「ちゃんと前見て歩かなきゃコケるんじゃない?」
爽やかな顔して声をかけてきたのは…花沢類だった。

結局、花沢類に捕まってカフェテリア中から痛すぎる視線を浴びて
F4のテラスに引きずって来られたあたし。

「まさか類と知り合いだったとはなぁ」と美作さん。
「非常階段仲間なんだよね?」と花沢類。
…それじゃ絶対伝わらないよ。
「は?なんだそりゃ」
ほらね。
「説明するとなるとすごく面倒くさいんだけど、
 要は非常階段が共通のサボり場所だったってとこかな?
 そこで時々顔合わせてたってだけよ」
とあいまい過ぎる花沢類の言葉を補う。
美作さんはへぇ~とか言ってるけど納得したのか…?
まぁどうでもいいんだろうけど。

「あきらは?何で牧野と知り合いなの?」と今度は花沢類。
「双子の家庭教師なんだよ。ご指名なんだぜ?な?」
美作さんの言葉に一応頷く。
「へぇ~…俺もやってもらおうかな?ご指名で?」
「花沢類は1つ上なんだからあたしが教えられるワケないでしょ!」

会話がひと段落したところで
「はぁぁ…」あたしは盛大なため息をついた。

「なんだよ。色男2人も目の前にして。」と美作さん。
「あんた達と関わり合いがあるなんて周りにバレたくなかったのに…」
とあたしは頭を抱える。
「最初から思ってたけど、牧野ってオレらに興味ねーの?」
「ない」
ここはきっぱりと答えておかないと後々面倒な事になる。

「ひでーな、おい」と美作さんは苦笑い。
「俺だって非常階段以外で声かけたら怒られるんだよ?
 でも今日のは牧野が悪いからね?後ろ向きで歩いてくるんだもん」
そう言うと花沢類は思い出したのかケラケラと笑いだす。
こうなってしまってはこの人はしばらく何を言っても無駄だ。

「類が笑ってるなんて珍しいな…」
聞こえてきた声に振り返ると、
「よぉ総二郎。今出勤かぁ?」と美作さんが声をかけられ
答えるように手を上げたのはF4の西門総二郎だった。
「で?あんた誰?」
美作さんから視線をあたしに視線を移した西門総二郎。
「英徳の1回生で双子の家庭教師やってんだよ」と
美作さんが答える。
「…牧野つくしです」とあたしも一応頭を下げておく。

そんなあたしをじーっと見たかと思うと、
「…それだけ?」
と西門総二郎が首をかしげる。
「他に…何か?」
求められている事がわからない。

「いや。普通の女なら、よろしくお願いします♪
 とか言いながら握手くらいはしようとしたりするじゃん?」
西門総二郎のその言葉に小さくため息をつく。
どうしてこの人たちって…。

「やめとけやめとけ。牧野はそんな女じゃねーよ。
 オレもさっき興味ねぇってフラれたとこ」
美作さんはゲラゲラ笑いながら西門総二郎の肩に腕をまわす。
「へぇ~?そんな女いるんだ?」
と西門総二郎は心底不思議そうにあたしを見ていた。


「おい…何騒いでやがんだ?
 で、その女誰だよ。誰に断ってここに入ってきやがった」

一際低い声であたしを威嚇するようにテラスの入口に立っていたのは

F4リーダー 道明寺司だった…。




★おまたせしました。やっと司も登場でF4勢揃いです(^^;)★

First love 5

「誰に断ってここに入ってきやがった」

そんなの知らないっつーの!
あたしだって来たくてここに来たわけじゃないっ!


『First love』   第5話


「悪ぃ、悪ぃ。俺と類が強引に連れて来たんだよ。」
と美作さんが道明寺司の肩をポンとたたく。

「あ?あきら知り合いかよ」と道明寺司。
「あぁ。オレん家の双子の家庭教師で類とは友達だったみたいだな」
美作さんが説明すると一応納得したのか
漸くあたしを睨みつけるのをやめた。

「じゃあ、あたしそろそろ行くね。」そう言って立ち上がると
「…おい」と道明寺司。

「…何?」まだ何か気に入らないのかとつい構えたあたしに
「こいつらの知り合いなら別にかまわねーよ。珈琲でも飲んでけよ」
と意外な事を言う道明寺司。
「ありがと…でも今美作さんにごちそうになったとこだから。
 それにそろそろ行かないと講義も始まっちゃうし」
そう言ってテラスを後にしたあたし。

少なくとも西門総二郎と道明寺司とはもう会う事もないだろうと
この時は思っていた。


数日後。

この日は家庭教師。
少し早めに美作邸についたあたしの目の前には
美作さん…とまさかの道明寺司。

「こんにちは…?」
目が合っちゃったし一応挨拶くらいはしておくべきよね?
「…おぅ」と道明寺司。
「早えーな牧野。ちょっとこっち寄ってくか?」
と美作さんが手招きをしている。
「ううん、遠慮しとく。絵夢ちゃんと芽夢ちゃんも待ってると思うから」
そう言ってあたしは2人の部屋へと向かった。

授業のあと、いつものように双子ちゃんに連れられて
ダイニングに行くと、何故かまだいる道明寺司。

「お疲れ~牧野」と美作さん。
そこに夢子さんが入ってきて、
「今日は司くんもご飯食べてってくれるのよ~、ママ嬉しいッ」
と準備を進めていた。

そういえばF4って幼馴染なんだっけ。
だったらご飯食べるくらい、珍しくもないのかな?

夢子さんのご飯は相変わらずすごく美味しいんだけど…
あたしの隣に座る道明寺司が気になって仕方がない。
なんだか視線を感じて
「…何?」と聞いてみても
「…いや」と目をそらす。

…なんなのよ。こいつ。

その後もチラチラとこっちを見てる道明寺司が気になりつつも
双子ちゃんや夢子さんとのおしゃべりを楽しんでいたあたし。

食後のデザートを食べ終わった時、
横からまだ手を付けてないデザートのお皿が出てくる。

「…食えよ」と道明寺司。
「え…?いいわよ。自分で食べなさいよ」
そう言ってお皿を返そうとすると
「…甘いモン苦手なんだよ。でも残したらあきらの母ちゃん怒るだろ…」
とボソッと呟く。
「……まぁ。そう言う事なら遠慮なく」

「こんなに美味しいのに苦手なんてもったいないね」
あいつの分を食べながら言うと、
「お前は何でも美味そうに食うよな」
そう言いながら頬杖をついてこっちを見ている。
「美味そうじゃなくて、ほんとに美味しいのよ。」
「…そうかよ」そう言って道明寺司が笑った。

へぇ。こいつ…笑ったりもするんだ?

そういえば初めてまともな会話をしてるような気がして、
「それに貧乏人は好き嫌いなんかしてられないからね」
と言葉を続けると
「お前…貧乏人なのか?」
今度はちょっとバカにしたような顔をするこいつ。

いつもムスッとしてる印象だったから色んな表情をするのが
なんだか楽しくなってきて、つい調子に乗って
「まぁね。あんたには関係ないからいいでしょ?別に」
フンッと鼻を鳴らしながらツッコんでしまった。

しまった…と思った時にはもう遅くて
道明寺司は怪訝な顔つきになってしまい、
それ以上会話が続く事はなかったあたし達。

でも別にこいつだってキレてるわけじゃなさそうだし
ま、いっか。

「ごちそうさまでした。じゃ、あたしはそろそろ…」
そう言って立ち上がると
「あ!あきらくん、送ってあげてね?」と夢子さん。
「あぁ、わかってるよ」と美作さんも立ち上がる。
最近はあたしが断ろうとする前に鞄を持ってしまう美作さん。

そうなると、大人しく送られるまで
もう鞄は返してはもらえない。

「じゃあ絵夢ちゃん、芽夢ちゃん、またね」
あたしが言うと
「「つくしお姉ちゃま、おやすみなさい」」
と双子ちゃんは声をそろえる。

「牧野、行くぞ」と美作さんが部屋を出て
あたしがついていく…。

すっかり恒例のこの流れ。
ただ、いつもと違っていたのは

「じゃあオレもそろそろ帰る」
そう言って道明寺司が立ち上がった事だった。




★やっと司が動きはじめたばかりで気になる所ですが…。
明日は「First love」をお休みして、類のBirtday記念の短編をアップします。
 よろしければお付き合いお願いします<(_ _)>ペコリ★
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