私を嫌いになって 1

「お前なしでは生きていけない」
アイツは口癖のように言っていた。

アイツはあたしに嘘はつかない。
アイツが言うならこの言葉は本当なんだろう。

だからあたしはアイツの前から姿を消す事にした。
あたしがいなくなってもアイツが生きて行けるように…。

『私を嫌いになって』  第1話


あたしが大学を卒業して3年目の春。
私たちは結婚した。

「お前がいない人生なんて考えられない。だからオレと結婚しろ」
これがアイツのプロポーズの言葉だった。
結婚してくださいじゃなくて結婚しろだなんて傲慢なプロポーズだったけど
本当に嬉しかった。
本当に幸せだった。
あたしだってアイツのいない人生なんて考えられなかったから。

結婚生活は順調だった。
付き合ってた頃が嘘のようにお義母さまとも仲良くやっていて
アイツとお義母様との確執もなくなりつつあった。

「今日ババァがオフィスに来たぜ」
そう言って小包を渡してくるアイツ。

「俺にそんなモン寄越した事もねぇのに、お前に土産だってよ」
小包の中身は普段使いに良さそうなシンプルなショルダーバッグ。
聞かないけど…きっと、ううん。絶対目が飛び出す値段なんだろうな。
と、苦笑いしてるとアイツが腰に手をまわしてきて抱きしめられた。

「お前がオレら家族をホントの家族にしてくれたんだな。
 今ならオレもわかる。家族の温かみってヤツが」
そう言いながらキスを落としくてくるアイツ。

こんな何気ない毎日がずっと続くと思ってた。


結婚して1年目の春。
私たちは顔を合わせれば喧嘩ばかり。
もともと喧嘩の多い2人ではあったと思うけど
この頃の喧嘩はかつての2人の喧嘩とは違う。
お互いを思っての言い合いなんかじゃない。
相手を傷つけるだけの罵り合い。

それを仕掛けるのはいつもあたし。
そう。わざと喧嘩をふっかけるような言葉ばかり
選んでアイツに投げつけていた。

そんなある日の喧嘩の後、
アイツが聞こえるか聞こえないかくらいの小さな声で呟いた。
「オレはお前さえいればいいと思ってたが…お前はそうじゃねぇんだな」
その顔はとても苦しそうで切なそうで
あたしの心に今でも張り付いて消えてくれない。

あの時、「ごめんね」とか「本当はすごく愛してる」とか
言って楽になってしまいたかった。
でもそれは絶対に言えない。

そんな気持ちとは裏腹の言葉の刃を向け続けて1年。
結婚して2年目の春、アイツが言った。
「別れよう…」
こうしてアイツと私は離婚した。


離婚して1年。
あたしは病院のベッドの上で桜を見ている。
アイツが今さら私の動向を探ってるとは思えないケド
万が一でも知られないようにと
東京から遠く離れた田舎の病院に入院して半年。

何もしようとしない私を心配した看護士さんが
「ヒマつぶし位にはなるんじゃない?」と置いて行った雑誌には
アイツと…新恋人の記事。
「あたしがいなくても大丈夫そうじゃん」
誰に言うでもなく呟いてみたただけだったのにな…。
その記事の内容はぼやけて読めなかった。

この涙はどっちの涙なんだろう…。
あたしの思い通りに私ナシで生きて行っているアイツが嬉しいのか
それともそれが寂しくて辛いのか…。

答えを出すのが怖くてこれ以上は考えなかった。



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私を嫌いになって 2

「アイツなしでは生きていけない…」
これはオレにとっては揺るぎない事実だ。

でもアイツはオレがいない所でだって
幸せになれるヤツなんだろうな…。

「私を嫌いになって」 第2話

いつからだったか。きっかけは何だったか…。
今となっては思い出せない。
何が不満なのかはわかんねぇが
アイツがやたらとオレに突っかかってくるようになった。

売り言葉に買い言葉…
アイツもアイツだが、オレもひでぇ言葉をアイツに投げつけていた。
その度に下唇をギュッと噛むアイツの顔がこびりついて離れねぇ。
何度謝らなければと思ったかわからねぇが
そもそもアイツが何に対して怒ってんのかすらわかんねぇのに
どう謝ったらいいのか何をすればいいのか途方に暮れた。

そんな罵り合いを続けるようになって半年。
ただオレにわかった事は
アイツが望んでいるのはオレとの「別れ」
アイツがもうオレの事を愛していないって事だ。

…好きな奴でも出来たのか?
それを調べようと思えば簡単だったが
事実を知るのが怖くて調べる事は出来なかった。

アイツとオレの間に汚ねぇ言葉が飛ぶようになって1年。
オレはアイツをこれ以上傷つけたくなくて別れを告げた。
オレがアイツの為に出来る事はもうそれしかなかった。

「別れよう…」
そう言った時、アイツの顔は
涙こそ出ていないが泣いてるようにも見えた。

その見えない涙はやっと別れられると思ってホッとしたからなのか。
それともほんの少しでも俺と別れたくねぇって気持ちがあったのか…。

後者であってほしいと思うのはオレのただの願望なんだろうな。

「お前なしでは生きていけない」
お前は何度となく言ったこの言葉を覚えているか?

オレの気持ちはあの頃と少しも違っていない。
そう言ったらお前をまた困らせるんだろうな…。

朝は容赦なくオレの布団をはぎ取って「起きろ!この寝ぼすけ!」
と、でけぇお前の声に大あくび。
昼は俺が電話をかけても「ちゃんと仕事してるの?忙しいから切るよ!」
と、愛想のない声に苦笑い。
夜は遅くに帰っても「おかえりなさい。お疲れ様でした」と笑うお前の声に
オレしか知らねぇベッドの上のカワイイ声。

毎日毎日、朝も昼も夜も。
オレの耳に、心に響くお前の声。

オレの毎日の音はお前の声で溢れてたんだな。
お前がいないと静かすぎてつまんねぇよ…。


やっぱりオレはお前がいい。
お前以外は考えられねぇ。

言っただろ。地獄の果てまでだって追いかけるって。
お前の気持ちなんか関係ねぇよ。
俺がお前といたいんだ。これ以上重要な事なんかあるか?

…ねえよな?

オレ様としたことが
ずいぶんと腑抜けになってたようだ。
こんな単純な事に気付くのにこんなに時間がかかっちまった。


オレはしつこいんだ。
お前が嫌だって言おうがどうしようが
欲しいもんは何だって力ずくでも奪い取ってやる。

覚悟しやがれ。
オレはお前を絶対捕まえる。



私を嫌いになって 3

アイツの居場所。
そんなの簡単に見つかると思っていたのに
道明寺の名をもってしても一向に見つからねぇ…。

一体どういう事だ…。


『私を嫌いになって』  第3話

道明寺の名を使っても見つからないなんて事は普通ならあり得ねぇ。
って事は道明寺以外の大きな力がアイツを守ってるって事だ。
アイツの為に動きそうな力と言えば…やっぱり類だよな。


とりあえず電話してみるか?

『…司?』
「…おぅ」

しまった。勢いでかけたはいいが、なんて切り出そう…。
仮に類がアイツを隠してるとすればそのまま聞いても答えるとは思わねぇし…。

『どしたの?珍しいね』
「あぁ…その…だな」
オレが口ごもっていると
『どうせ牧野の事でしょ?どしたの?何かあった?』
とオレの心の中なんてお見通しだとばかりに聞いてきた。
考えんのはヤメだ。直球で聞かせてもらう。

「ああ…。類、お前今牧野がどこで何してるか知ってるか?」
『あれ?情報操作してるのって司じゃなかったの?
 俺も2人が離婚してからしばらくして探してみたんだけど見つからないんだよね。
 明らかに誰かが邪魔してる感じだったからてっきり司なんだと思ってた』
類の口調は嘘を言ってるようには思えねぇ…。

だったら誰だ?
その後総二郎、あきら、滋、桜子…と思いつく限りあたってみたが
誰もかれもアイツの行方を知らなかった。

どこ、行ったんだお前。
誰の力を借りて隠れてやがる。
そこまでしてオレから逃げたかったのかよ…。
アイツのそばにいる誰かにオレは嫉妬を覚えた。
くそッ・・・・!絶対探し出して捕まえてやるからな。

アイツを探して3か月。別れてから2回目の夏が来ようとしていた頃、
別れて以来仕事以外では会ってなかったあいつらと集まる事になった。

「牧野は相変わらずかくれんぼしてんのかぁ?」とあきら。
「道明寺の力でも探し出せないなんて
 どんな大物を捕まえたんだろうねぇ?つくしチャンは」とニヤニヤ顔の総二郎。
もちろん総二郎には思いっきり蹴りを喰らわせておいた。
「探すのはかまわないけどさ。滋ちゃんも会いたいし!
 でも次泣かせたりしたら絶対許さないよ!司!!」と滋の言葉に思わず
「泣きてぇのはオレの方だろうが…」と呟いてしまった…。
オレのついこぼれ出た本音にみんなが黙る…。
「でも…先輩は自分のためだけに消えたりしないと思います。
 先輩はそんな人じゃありませんもの」と三条。

あぁ、オレもそう思う。アイツはいつでも自分の事なんて二の次だ。
でもよ。オレの為にオレから離れる理由ってなんなんだよ?
オレの為っていうならそばにいるのが当たり前だろうーが。

みんなも同じ考えなのか沈黙が続いていた。

しばらくすると寝てると思ってた類が起き上がり、
「そうか…案外近くにいるのかもね。牧野の守り神」
そう言ってオレと目を合わせた。

こういう時の類の言葉は核心をついている。
近くにいる…?でもオレら以外でアイツの周りに
情報を操作できるような人間なんて…


………1人いるじゃねぇか。


ババァだ。


ババァならオレらが探ってもわからねぇようにあいつを隠す事なんて簡単だろう。
昔なら考えられねぇが、今ならアイツに力を貸す事も惜しまねぇハズだ。

仮にアイツが消えた理由がオレの為だったとしたらなおさら間違いねぇ。

わかんねぇハズだよな。身内にいたなんてよ。

そうとなれば迷ってる暇はねぇ。









ババァのオフィスを訪れたオレ。

「どういったご用件かしら?」相変わらずの鉄仮面。
「つくしはどこだ?」
そう言ったオレの言葉にババァの眉がピクリと動く。

「あなたに教える必要はありません」
「知らねーとは言わないんだな?
 知る必要があるかどうかはオレが決めるんだよ」
ふぅーっと軽く息を吐いたババァ。

「それをつくしさんが望んでないとしても?」
「あぁ関係ねーな。オレが必要としてんだ。
 アイツがどう思ってようと関係ねぇ。
 アイツなしでは生きてる意味なんてねぇんだよ」
得意気に言いきってやる。
コレはオレの本音であり、真実だ。

そんなオレの言葉を聞いたババァは大きなため息をついた。
「あなたがそんなだから…いいえなんでもないわ。
 とにかく今はあなたに教えるわけにはいきません」
話は以上だとばかりに書類を読み始めるババァ。

チッ…。やっぱりすんなりとは教えねぇか。
ま、ババァが黒幕だったって事がわかっただけでも良しとしておくか。

オレに協力しないとしても、敵じゃねぇと今は思えるから。

ただこれだけは聞いておきたい。

「じゃあこれだけは教えろ。つくしは…元気にやってるのか?」
どこにいるかはわかんねぇが、どこかでアイツが笑ってると思えば
オレのこの暗く沈んだ気持ちも少しは晴れる気がしていた。

それなのに…

「…えぇ。元気にしているわ」

そう言ったババァの表情が一瞬沈んだ気がした。


私を嫌いになって 4

アイツと別れて2回目の夏が来た。
あたしは相変わらず病室から空を見ている。

そんな時は…やっぱりアイツの事を考えてしまう。


『私を嫌いになって』   第4話


アイツには何も言わないまま道明寺家を出たあたし。
だけど…たった1人真実を知る人がいる。
それはお義母様だ。


あたしがわざとあいつに喧嘩をふっかけるようになったある日。

喧嘩ばかりしている事を使用人からでも聞いたのだろう。
あたしはお義母様に呼び出しを受けた。
道明寺家の嫁としてあるまじき行為であるのは百も承知。
あたしは叱られる覚悟をしてお義母様の私室のドアをノックした。

「失礼します…お義母様」
「そこにおかけになって」

あたしの予想通り、お義母様は厳しい表情で迎えた。

「最近、司さんと喧嘩が絶えないんですって?」
いきなり核心。
「は…はい。申し訳ありません」
あたしが頭を下げると…

「ホントに不器用な方…」
とお義母様はため息をつきながら一言。
あたしはその言葉の真意がつかめずにお義母様を見ていた。

「あなたって人はまったく。本当にそれで後悔しなくて?」

えっと…何の話をしてたんだっけ?
最近アイツと喧嘩が多いって叱られてるんだよね?
あ。そんな事ばかりしてて追い出されてもいいのかって事か!

「違います。出て行こうとしているのはあなたの意思でしょう?」
「え…?」
「思ってる事が口に出る癖、治ってらっしゃらないようね?」
…またやってしまったらしい。
言っちゃったモンはしょうがないと腹をくくって真意を尋ねる。

「では…何についてのお話でしょうか?」
「司さんはごまかせても私の目はごまかせませんよ。
 私が何も知らないとでも思ってるの?…あなたの体の事です」
と、お義母様が初めて表情を崩し心配そうに答えた。

「…ッ!」
誰にも知られていないハズだった。少なくとも私の周りにいる人たちには。

「容態はどうなの?」
質問の答え以外は認めないと言った空気のお義母様。
こうなったらもうこの人相手にごまかせる術をあたしは持っていない。

「このまま治療をしなかったとすれば…5年の命だそうです」
あの日1人でバレないようこっそり受診した小さな病院で
担当医師に告げられた言葉をそのまま伝える。

「何てこと…」
予想より悪かったのだろう…。
お義母様の顔が少し青ざめた。

「でも治療の余地もない訳じゃないのでしょう?
 それ上で何故あなたは治療を選ばず道明寺を出る気になったのかしら?
 あなたに限って簡単に命を諦めるなんて事はしないと思っています。
 私はそこがどうしても解せないのです。」
お義母様の疑問はもっともだ。
もっと施設のしっかりした大きな病院で
ちゃんと治療を受ければ完治する事だって可能なのも事実。
でもその確率は100%じゃない。五分五分だと言われた。

「自惚れかも知れませんが…司さんは私を心底愛してくれていると思います。
それこそ私がいれば他に何もいらないと…いつも伝えてくれていま…す。」
自分で言ってて照れ臭い…。絶対今、顔が真っ赤になってる。
そんな私の顔を見て笑うでもなく真っ直ぐな瞳で
「そうね。司さんにとってあなたは全て。あなたを失ったとしたらあの子が
 自分自身を見失うなんて事は明らか。昔のように荒れるんでしょうね…」
と私の言葉を肯定してくれた。

「でもあなたと離婚するのも……
 死別…するのも、あなたを失う事に変わりはないのではなくて?」
「はい…。ただ離婚するだけならそうです。
 でも司さんが私に嫌気がさして望んだ上での離婚なら意味が違ってきますよね?」
私がそう答えると、お義母様はハッとしたように顔を上げて私を見つめた。

治療して完治する可能性は五分五分。
この数字は決して絶望的なものではないと思う。
半分の確立で生きていける…と考えるか、
半分の確率で死ぬかもしれない…と考えるかだけの2択。
でもあたしは死ぬのが怖いんじゃない。
あいつを残して逝くのが怖いんだ。

「…その為にわざわざ喧嘩を…?」
「そうです。馬鹿げた話だとは自分でも思っています。
 あたしだって病気を治す気がない訳ではありません。いえ、絶対治します。
 でも荒れるとわかっていて司さんを置いて逝くなんて事だけは絶対に避けたい。
 だったらあたしが司さんから突き放されればいい…嫌われればいい。
 そうすればあたしがもしこの病気に勝てなかったとしても
 司さんも……そして道明寺も安泰です」
そう言い切った私をしばらく見つめていたお義母様。

「……本当に馬鹿げたことね」
大きくため息をついて
「わかりました。あなたの事です。どうせ私が何を言ったって聞かないのでしょう?
 司さんとの事はあなたの好きにすれば宜しいわ。
 ただし。あなたの体の事は別。こちらで用意した病院で治療は必ず受けてもらいます。
 司さんにはこの事は話しません。あなたと私だけの秘密。それでよろしくって?」

いい?と聞きながらもやはり反論は認めないと言った様子のお義母様。
私もこの重すぎる秘密を話して心が少し軽くなったのも事実だ。
アイツにはバレないのであればそれでいっか。

「はい…よろしくお願いします」
そう言ったあたしにお義母様は歩み寄って
「…頑張りなさい」そう言ってそっと抱きしめてくれた。



私を嫌いになって 5

ババァの反応がオレの頭の中でずっと反芻していた。
周りから鉄仮面と言われるババァだが
あの日は少し様子が違っていた…

そこにヒントがあるハズだ。


『私を嫌いになって』   第5話


お義母様が用意してくれた病院は
立地こそ田舎だけど、都会の大病院に引けを取らない立派な病院だった。
昔住んでいたアパートが1棟まるごと入りそうな特別室は
窓でも開けない限り、外に見えてる景色は映像なのかと錯覚しそうなほど
快適な温度が24時間保たれているし、
病院食とは思えない程毎日のご飯もおいしい。
体の調子さえよければ自分が病人だと言う事を忘れそうなほどだった。

お義母様以外には誰にも行方を教えていない。
場所も探られないようにしてくれているらしいから
あいつにもF3たちにも見つからないだろう…。
いくら天下のF4だってお義母様には敵うハズもない。

「なんたって鉄の女だもんね…」と1人でクスクス笑っていると
「義理の娘を見舞いに来たと言うのに、失礼だこと」
そんな声にビックリして振り向くと
そこにはお義母様が立っていた。

「へッ…!!?あ!あの!スイマセン!!」
慌てて頭を下げて謝ると、お義母様はクスっと笑って
「元気そうね。顔色も良いようだし今日は調子がいいのかしら?」
と頬を撫でてくれた。

溝鼠と罵られたあの日、誰がこんな未来を想像できたのだろうか…。
今ではお義母様の愛情もしっかりと感じられる。
離婚した今でも“義理の娘”と言ってくれる。
幸せだと…そう思える。

お義母様は時々こうやって会いにやって来てくれる。
アイツと同じくらい忙しいハズなのに…。
こんな田舎まで来てる時間なんてないはずだ。
無理しないで下さいと言ったあたしに
「あくまでも仕事のついでに寄ってるだけです。
 それに…私以外、お見舞いに行ける人間はいませんから」
そう言ったお義母様。
そうか…誰にも言ってないって事は
誰にも会えないって事なんだ…。
お義母様はそこまで考えて私が寂しくないように
会いに来てくれてるんだ…。

「そうそう…あなたの作戦、どうやら失敗みたいよ?」
突然のお義母様の言葉の意味をつかみ損ねていると
「この間、司さんが私の所にやってきたわ。」
久し振りに聞いたアイツの名前に思わずビクッと反応してしまう。
「つくしはどこだ?って聞いてきたわ。
 あなたと別れてからまるで心をどこかに置いてきたみたいに
 ただただ会社と邸を往復するだけ毎日を送ってたけど
 どうやら吹っ切れちゃったみたいね。 あなたを見つけて捕まえるんですって」
とさも愉快そうに話すお義母様。

「えっ…!」
驚いて何も言えないあたしの頭をポンと撫でて

「大丈夫よ。あなたの場所は教えてないし、
 あの子がどんなに探ってもわからないようにしてあるから。
 あなたは何も心配しないで治療に専念しなさい。」
優しく言ってくれるお義母様。

「 あの子、この間私に言ったわ。“アイツなしでは生きてる意味なんかない”って。
 ふふっ…。これは困ったわね?
 あなたは荒れる司さんを置いては逝けないんでしょう?
 じゃあまだ死ぬわけにはいかないわね?」

「じゃあ私はこの辺で…」と私の返事を聞かないまま
お義母様は帰って行った…。

…アイツがあたしを諦めていないでくれていた。

『地獄の果てまでだって追いかけてやる』
ふとアイツが昔言った言葉を思い出した。

嬉しいのに…嬉しいはずなのに……喜べない。
…まだ会えない、今はまだダメだ。

もし…もしまたいつか会える事があるとすれば
それはちゃんと完治した時だから…。


プロフィール

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Author:koma
管理人komaの
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基本テイストとしては
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ゆる~いつかつく道を
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