still love you 27
牧野と一緒にババァにアポを取り付けて
2人揃ってババァのオフィスに顔を出せば
繋がれた手を見て、盛大なため息をついた。
『still love you』 第27話
やっぱり反対してんじゃねぇかよ…
なんて身構えたオレを無視するように牧野の前に立って
「お元気そうで安心したわ」
なんて挨拶してやがる。
「色々とご心配おかけしました。…それで…そのぉ…」
ペコッと頭を下げて気まずそうにする牧野に
「いいのよ。全ては不甲斐ない息子のせい。
あなたが頭を下げる必要はどこにもないわ」
そう言いながらオレを睨みつける。
オレの知らねぇ所で繋がっていた2人は
NYに行く前の関係が嘘みてぇに打ち解けあっていて
牧野との再会を喜んでいるようだった。
オレを無視したまま2人で近況なんかを話し込んでいた
ババァがやっとこっちを見たかと思えば
「…で?あなたからは何も言う事はないのかしら?」
とため息をつく。
隣に立っていた牧野も肘でツンツンと突いて
「ほらっ!」
と小声でせかす。
…チッ。仕方ねぇ。
「…ご心配おかけして申し訳ありませんでした。
今、改めて牧野と真剣に交際してます。
近いうちに婚約も発表したいと思ってますので
その報告に参りました」
仕事でもババァに頭を下げた事なんてなかったっつーのに。
でもババァもオレらのために
動いてくれてた事を考えれば当然か。
頭をあげたオレをじっと見つめたあと、
「つくしさんはあなたに守られないといけない程弱くないわ。
呆れられて逃げられないようにしっかりなさい?」
なんて言うババァは面白そうに笑っていた。
そんなある日。
あきらに誘われたついでに牧野を連れて行った。
「ったく。結局お前らは元サヤに戻んのかよっ」
牧野を放さねぇオレと離れろと暴れる牧野に
そう言いながら呆れ顔を向ける総二郎。
「せめてオレらにくらい報告しろっつーの。
今日オレが誘わなかったらいつまで黙ってるつもりだったんだ」
とあきらが拗ねた口調で言う隣で
「司らしくていいんじゃない?」
と類はクスッと笑う。
そして……。
「このパワーは俺にはもうねぇなぁ。…こりゃ負けるワケだ」
と苦笑いしてるのは
何故かこの場にいるパーティの男。
「なんでてめぇがいるんだっ!!」
そう怒鳴れば、すかさず腕の中の牧野から拳が飛んでくる。
「ちょっと!颯太先輩に失礼でしょうがっ!!
…って言うかいい加減放しなさいよねっ!」
そう言うとするりと腕の中から逃げてしまった。
「颯太先輩…スミマセン」
と牧野が類とあいつの近くに走りよって頭を下げる。
「いや。気にすんな。
もしお前と付き合ってたら俺もああやって殴られてたのか」
ケラケラ笑っている。
「気を付けないと付き合ってなくても殴られるよ。ね。つくし?」
そう言って類まで腹を抱えて笑っていて
「もうっ!類っ!!颯太先輩も!!」
牧野は顔を真っ赤にさせてやがる。
「おいコラ!他の男に迂闊に近づいてんじゃねぇよ!
特に類はダメだっ!!半径2m以上離れろっ!」
そう怒鳴ったオレを見て
「…類君何かしたんだ?」
「ん。ちょっとした嫌がらせ?」
と2人でクスッと笑う姿が余裕に見えてムカつく。
「っつーか、お前らつくしとか気安く呼んでんじゃねぇぞ!」
オレは未だに牧野と呼んでるし
こいつも道明寺とオレを呼んでるっつーのに……
この場にいるこいつらはつくしと呼んでやがる事に
今さらながらムカついてくる。
「あれ?お前聞いてねぇの?」
と総二郎。
「あ?」
「あ~…そう言えばパーティで会った時
タイミング逃して名乗ってなかった気がするな」
とあいつがポケットから名刺を取り出してオレに渡してくる。
「改めまして。牧野 颯太って言います」
「まきの…?」
貰った名刺を見つめながら呟く。
「そう。たまたま苗字が一緒でね。
事務所でも呼ぶ度に2人で反応しちゃって
ややこしいからって下の名前で呼ぶようになったの」
「で、つくしとご飯行こうと思って迎えに行った時に
そんな事情なんて知らなくて
つくし呼んでもらったつもりが颯太さんが来ちゃったんだよね」
と類。
「そうそう。まだ新人のあたしを呼ぶお客様なんていないから
てっきり颯太先輩の顧客だと思われちゃったんだよねぇ」
と牧野はケラケラ笑う。
それがきっかけで類とこいつは仲良くなり
いつの間にか総二郎たちとも顔見知りになって
やっぱりややこしいと「つくし」と「颯太さん」に呼び名を統一したらしい。
事情はわかったが、
やっぱり牧野の事を気安く名前で呼ぶのは気に入らねぇと愚痴るオレに
「そんなに気に入らないならあんたも名前で呼べばいいじゃないっ」
といつまでもうるさいとキレてくる。
そして結局は
「…それにいつかは牧野じゃなくなるんだからいいでしょ?」
と小せぇ声で耳打ちしてくるこいつの言葉で許してやる事にした。
牧野をつくしと呼ぶようになって
あいつの事は颯太と呼ぼうとしたら
「年上の人なんだからさん付け!!」
と怒られて仕方なく颯太さんと呼ぶオレに
「司…もうつくしには頭上がんないね?」
と類が面白そうに笑う。
うるせぇな。
ハッキリ言って頭上がった事なんか1度もねぇよ。
だが、それでもいい。
こいつさえいれば何だっていいんだからよ。
いつも応援ありがとうございます♡
2人揃ってババァのオフィスに顔を出せば
繋がれた手を見て、盛大なため息をついた。
『still love you』 第27話
やっぱり反対してんじゃねぇかよ…
なんて身構えたオレを無視するように牧野の前に立って
「お元気そうで安心したわ」
なんて挨拶してやがる。
「色々とご心配おかけしました。…それで…そのぉ…」
ペコッと頭を下げて気まずそうにする牧野に
「いいのよ。全ては不甲斐ない息子のせい。
あなたが頭を下げる必要はどこにもないわ」
そう言いながらオレを睨みつける。
オレの知らねぇ所で繋がっていた2人は
NYに行く前の関係が嘘みてぇに打ち解けあっていて
牧野との再会を喜んでいるようだった。
オレを無視したまま2人で近況なんかを話し込んでいた
ババァがやっとこっちを見たかと思えば
「…で?あなたからは何も言う事はないのかしら?」
とため息をつく。
隣に立っていた牧野も肘でツンツンと突いて
「ほらっ!」
と小声でせかす。
…チッ。仕方ねぇ。
「…ご心配おかけして申し訳ありませんでした。
今、改めて牧野と真剣に交際してます。
近いうちに婚約も発表したいと思ってますので
その報告に参りました」
仕事でもババァに頭を下げた事なんてなかったっつーのに。
でもババァもオレらのために
動いてくれてた事を考えれば当然か。
頭をあげたオレをじっと見つめたあと、
「つくしさんはあなたに守られないといけない程弱くないわ。
呆れられて逃げられないようにしっかりなさい?」
なんて言うババァは面白そうに笑っていた。
そんなある日。
あきらに誘われたついでに牧野を連れて行った。
「ったく。結局お前らは元サヤに戻んのかよっ」
牧野を放さねぇオレと離れろと暴れる牧野に
そう言いながら呆れ顔を向ける総二郎。
「せめてオレらにくらい報告しろっつーの。
今日オレが誘わなかったらいつまで黙ってるつもりだったんだ」
とあきらが拗ねた口調で言う隣で
「司らしくていいんじゃない?」
と類はクスッと笑う。
そして……。
「このパワーは俺にはもうねぇなぁ。…こりゃ負けるワケだ」
と苦笑いしてるのは
何故かこの場にいるパーティの男。
「なんでてめぇがいるんだっ!!」
そう怒鳴れば、すかさず腕の中の牧野から拳が飛んでくる。
「ちょっと!颯太先輩に失礼でしょうがっ!!
…って言うかいい加減放しなさいよねっ!」
そう言うとするりと腕の中から逃げてしまった。
「颯太先輩…スミマセン」
と牧野が類とあいつの近くに走りよって頭を下げる。
「いや。気にすんな。
もしお前と付き合ってたら俺もああやって殴られてたのか」
ケラケラ笑っている。
「気を付けないと付き合ってなくても殴られるよ。ね。つくし?」
そう言って類まで腹を抱えて笑っていて
「もうっ!類っ!!颯太先輩も!!」
牧野は顔を真っ赤にさせてやがる。
「おいコラ!他の男に迂闊に近づいてんじゃねぇよ!
特に類はダメだっ!!半径2m以上離れろっ!」
そう怒鳴ったオレを見て
「…類君何かしたんだ?」
「ん。ちょっとした嫌がらせ?」
と2人でクスッと笑う姿が余裕に見えてムカつく。
「っつーか、お前らつくしとか気安く呼んでんじゃねぇぞ!」
オレは未だに牧野と呼んでるし
こいつも道明寺とオレを呼んでるっつーのに……
この場にいるこいつらはつくしと呼んでやがる事に
今さらながらムカついてくる。
「あれ?お前聞いてねぇの?」
と総二郎。
「あ?」
「あ~…そう言えばパーティで会った時
タイミング逃して名乗ってなかった気がするな」
とあいつがポケットから名刺を取り出してオレに渡してくる。
「改めまして。牧野 颯太って言います」
「まきの…?」
貰った名刺を見つめながら呟く。
「そう。たまたま苗字が一緒でね。
事務所でも呼ぶ度に2人で反応しちゃって
ややこしいからって下の名前で呼ぶようになったの」
「で、つくしとご飯行こうと思って迎えに行った時に
そんな事情なんて知らなくて
つくし呼んでもらったつもりが颯太さんが来ちゃったんだよね」
と類。
「そうそう。まだ新人のあたしを呼ぶお客様なんていないから
てっきり颯太先輩の顧客だと思われちゃったんだよねぇ」
と牧野はケラケラ笑う。
それがきっかけで類とこいつは仲良くなり
いつの間にか総二郎たちとも顔見知りになって
やっぱりややこしいと「つくし」と「颯太さん」に呼び名を統一したらしい。
事情はわかったが、
やっぱり牧野の事を気安く名前で呼ぶのは気に入らねぇと愚痴るオレに
「そんなに気に入らないならあんたも名前で呼べばいいじゃないっ」
といつまでもうるさいとキレてくる。
そして結局は
「…それにいつかは牧野じゃなくなるんだからいいでしょ?」
と小せぇ声で耳打ちしてくるこいつの言葉で許してやる事にした。
牧野をつくしと呼ぶようになって
あいつの事は颯太と呼ぼうとしたら
「年上の人なんだからさん付け!!」
と怒られて仕方なく颯太さんと呼ぶオレに
「司…もうつくしには頭上がんないね?」
と類が面白そうに笑う。
うるせぇな。
ハッキリ言って頭上がった事なんか1度もねぇよ。
だが、それでもいい。
こいつさえいれば何だっていいんだからよ。
いつも応援ありがとうございます♡
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