SPECIAL THANKS 13
「…いてぇ。
姉ちゃんの奴、思いっきりやりやがった」
ジェットの中で
姉ちゃんに殴られた頬をさすった。
『SPECIAL THANKS』 第13話
セレモニーでの挨拶を済ませ
コテージに戻り扉を開けた途端に
「つ~か~さ~っ!!」
待ってたとばかりに飛びつかれ
馬乗りになった姉ちゃんにボコボコにされた。
あいつらもいたが
姉ちゃんを止められる奴なんていねぇし
そもそも止める気もねぇのか
苦笑いを浮かべて見てるだけで
フォローに入る気もなさそうな感じだ。
おかげで姉ちゃんは怒鳴りながら容赦なく殴ってくる。
「何涼しい顔してセレモニーなんかに出てるのよっ!」
「仕方ねぇだろっ。仕事なんだからよ」
「仕事とつくしちゃん、どっちが大事なのよっ」
「……っ」
「つくしちゃんって即答しなさいよ、このクズッ!!」
「…んな事言う権利が
オレにあんのかわかんねぇんだよ」
そう言うと殴り続けてた手が止まる。
そしてしばらくの沈黙のあと
胸倉をグイッと引き上げられる。
「い~い?よぉくお聞きなさい?
あんたの自己嫌悪なんてどうでもいいのよ。
一番傷ついてるのはあんたじゃなくてつくしちゃん!
あんたが感傷に浸った所で誰の利益にもならないわ。
わかったら、とっとと謝りに行ってらっしゃいっっ!!」
そう言いながらオレの体を引きずるように
ずんずんと進んで行き、ジェットに放り込まれた。
「あんた、つくしちゃんを
取り戻したいの?それともこのまま諦めるの?」
静かに聞いてくる姉ちゃん。
「……。
…取り戻してぇに決まってんだろ」
それこそどの口が言うのかと
自分でもわかってるが、本音はやっぱりこれしかねぇ。
勝手だと言われようが
そんな権利なんてなかろうが
オレにはあいつしかいねぇし…今でもたまらなく好きだ。
「そう…。それを聞いて安心したわ。
もし諦めるなんてふざけた事を言うなら
この場で殺してやろうかと思ったけど。
つくしちゃんを取り戻せたらそれで許してあげる」
ニッコリと笑うと姉ちゃんはジェットを降りて
すぐに大阪へと向けて動き始めた。
空港から乗り替えた車は
姉ちゃんが調べたのか、あいつらなのかは知らねぇが
何も言わなくてもボロいアパートの前で停まり
「牧野様のお部屋は2階の角だそうです」
と告げられた。
車を降りて、とりあえず悪目立ちしてる車は一旦帰す。
時計を見れば18時を過ぎた所だった。
言われた部屋を見上げてみれば電気は点いてねぇ。
まだ帰ってねぇのか。
「……」
改めてアパートを見てため息を漏らす。
久我の社長秘書なら
それなりに貰ってんだろ?
だったらもう少しマシな所に住めよ。
そんな事を考えながらも
どこかホッとしてるのは
いかにもあいつが選びそうな
ボロアパートに懐かしさみてぇなモンを感じた他に
もし牧野が今あのおっさんの女なら
こんな所に住んでねぇような気がして少しだけ期待したから。
牧野がどっちから帰って来るのかはわかんねぇが
とりあえずボロい階段を上がり
教えられた部屋の扉に背を預けて座り込んだ。
謝らなきゃいけねぇ事は山ほどある。
今回ばかりは許してもらえねぇかもしれねぇ。
それでも。
ここで待ってれば
あいつに会えると思うだけで胸が熱くなってくる。
姉ちゃんが許そうがどうしようが
どっちみちあいつを取り戻せなかったら
この先、生きてる意味なんてねぇんだ。
だったら何が待ち構えていようが
進む道は1つしかねぇ。
そう腹をくくった、その時。
カンカン、と音を立てて階段を上がってくる影が見えた。
いつも応援ありがとうございます♡
姉ちゃんの奴、思いっきりやりやがった」
ジェットの中で
姉ちゃんに殴られた頬をさすった。
『SPECIAL THANKS』 第13話
セレモニーでの挨拶を済ませ
コテージに戻り扉を開けた途端に
「つ~か~さ~っ!!」
待ってたとばかりに飛びつかれ
馬乗りになった姉ちゃんにボコボコにされた。
あいつらもいたが
姉ちゃんを止められる奴なんていねぇし
そもそも止める気もねぇのか
苦笑いを浮かべて見てるだけで
フォローに入る気もなさそうな感じだ。
おかげで姉ちゃんは怒鳴りながら容赦なく殴ってくる。
「何涼しい顔してセレモニーなんかに出てるのよっ!」
「仕方ねぇだろっ。仕事なんだからよ」
「仕事とつくしちゃん、どっちが大事なのよっ」
「……っ」
「つくしちゃんって即答しなさいよ、このクズッ!!」
「…んな事言う権利が
オレにあんのかわかんねぇんだよ」
そう言うと殴り続けてた手が止まる。
そしてしばらくの沈黙のあと
胸倉をグイッと引き上げられる。
「い~い?よぉくお聞きなさい?
あんたの自己嫌悪なんてどうでもいいのよ。
一番傷ついてるのはあんたじゃなくてつくしちゃん!
あんたが感傷に浸った所で誰の利益にもならないわ。
わかったら、とっとと謝りに行ってらっしゃいっっ!!」
そう言いながらオレの体を引きずるように
ずんずんと進んで行き、ジェットに放り込まれた。
「あんた、つくしちゃんを
取り戻したいの?それともこのまま諦めるの?」
静かに聞いてくる姉ちゃん。
「……。
…取り戻してぇに決まってんだろ」
それこそどの口が言うのかと
自分でもわかってるが、本音はやっぱりこれしかねぇ。
勝手だと言われようが
そんな権利なんてなかろうが
オレにはあいつしかいねぇし…今でもたまらなく好きだ。
「そう…。それを聞いて安心したわ。
もし諦めるなんてふざけた事を言うなら
この場で殺してやろうかと思ったけど。
つくしちゃんを取り戻せたらそれで許してあげる」
ニッコリと笑うと姉ちゃんはジェットを降りて
すぐに大阪へと向けて動き始めた。
空港から乗り替えた車は
姉ちゃんが調べたのか、あいつらなのかは知らねぇが
何も言わなくてもボロいアパートの前で停まり
「牧野様のお部屋は2階の角だそうです」
と告げられた。
車を降りて、とりあえず悪目立ちしてる車は一旦帰す。
時計を見れば18時を過ぎた所だった。
言われた部屋を見上げてみれば電気は点いてねぇ。
まだ帰ってねぇのか。
「……」
改めてアパートを見てため息を漏らす。
久我の社長秘書なら
それなりに貰ってんだろ?
だったらもう少しマシな所に住めよ。
そんな事を考えながらも
どこかホッとしてるのは
いかにもあいつが選びそうな
ボロアパートに懐かしさみてぇなモンを感じた他に
もし牧野が今あのおっさんの女なら
こんな所に住んでねぇような気がして少しだけ期待したから。
牧野がどっちから帰って来るのかはわかんねぇが
とりあえずボロい階段を上がり
教えられた部屋の扉に背を預けて座り込んだ。
謝らなきゃいけねぇ事は山ほどある。
今回ばかりは許してもらえねぇかもしれねぇ。
それでも。
ここで待ってれば
あいつに会えると思うだけで胸が熱くなってくる。
姉ちゃんが許そうがどうしようが
どっちみちあいつを取り戻せなかったら
この先、生きてる意味なんてねぇんだ。
だったら何が待ち構えていようが
進む道は1つしかねぇ。
そう腹をくくった、その時。
カンカン、と音を立てて階段を上がってくる影が見えた。
いつも応援ありがとうございます♡
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