ごあいさつ。~はじめにお読みください~

初めての方は必ずお読みください。

※2月25日 「コメントのお返事について」追記あり。

※8月29日 「リンクについて」追記あり。

※11月9日 「ブロとも申請について」リンク追加。

※7月2日 「ブロとも申請について」追記あり。


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2度目の恋の始め方 〜司 side〜


「今日空いてるか?」

電話をかけるのはいつもオレから。
それはあの頃から変わらない。



『2度目の恋の始め方』
         〜司 side〜



別れてから帰国するまでは
あえて連絡をとる事はしてなかった。

でもオレ達は互いに嫌いになって別れたわけじゃねぇ。
ただオレらを取り巻く環境がそれを許さなかっただけだ。

それでも日本にいた頃のオレなら
あいつの手を放す選択だけはしなかっただろうが
悔しいがババァの元で動くようになってから
見えてきた物だってたくさんあった。

そんな状況の中、
別れを切り出したのはあいつだったが
それを受け入れたからと言って
忘れた事も諦めたつもりもねぇし
それくらいあいつもわかってると思っていたが。

帰国してすぐあきら達の招集によって
数年ぶりに再会してみれば
期待していたような甘い展開どころか
完全に一線引いたような牧野の態度に
この鈍感相手にそれを望むのは無謀だったと思い知り
不本意ながら片想いからやり直しってわけだ。


「今日空いてるか?」
『えぇ〜?今日?
 お肉特売日だし、ドラマもいい所だしなぁ』
電話の向こうから聞こえる声に目眩がする。

オレと天秤にかけるのが肉とテレビだと?
こいつマジで信じらんねぇ。

牧野はオレが暇な時に
適当に誘っていると思っているらしいが…。

まず暇があったからと言って
オレはいちいち飲む相手を探して電話なんてしねぇし
そもそもそんな時間がどこにあると思ってんだ?
お前に会うために必死に時間作ってんだよっ。
いい加減それくらい気づけよ、この鈍感っ!

そう電話の向こうへ
怒鳴ってしまいたい衝動は凄まじいが

「結局どうすんだよ」
なんとか飲み込んで牧野の答えを待つ。

『んー、わかった。
 いつものお店でいいの?』
その声にホッとし約束を取り付けると電話を切った。



オレが待ち合わせの場所についた時には
牧野はすでにその場にいたが
ため息なんかついて
何となくその後ろ姿が
いつもより元気がなさそうに見えた。

気になりつつも声をかければ
「出たよ、元凶が」
なんてオレを見上げたこいつと視線がぶつかる。

「それより!いきなり呼び出すのやめてくんない?」

「仕方ねぇだろ。
 こっちもギリギリまでわかんねぇんだよ」
「忙しいのはわかるけどっ。
 こっちにだって予定ってモンが…」

「あったのかよ?」
オレに怒ってるわけじゃねぇと言いつつも
不満をぶつけて来る牧野の言葉を遮りながら聞いてやる。

二つ返事でOKと言う事は少ねぇが
誘いを断られた事も今の所は1度もねぇ。

案の定言い返す言葉を失ったこいつは
グラスに手を伸ばした。

その後は会ってねぇ間に何があったとか
あいつらの話とか他愛もねぇ会話が続いていたが
時々ぼーっとしてるし明日は休みだとは言え
普段に比べれば酒の量は明らかに多くて
やっぱ何かあったんじゃねぇかと気になり始めた頃、

「道明寺はさ、
 結婚…の話とか、ないの?」
こいつの口から出てきた言葉に思考が固まる。

「いや、結婚は急だとしても
 そういう人はいないのかなぁって?」
その真意が掴めねぇにしても
それをお前が言うのかと
こっちを向かねぇこいつについ圧をかけた自覚はある。

「もうっ!ごめんってば!!
 ちょっと気になっちゃっただけじゃんっ」
その圧に耐えかねてか
やっとオレを見たこいつに逆に聞いてみる。

「お前は?」
「…え?」
「そういう奴。いるのかよ」

今牧野に付き合ってる男がいねぇのは知ってるが
心の内までは調べようもねぇし
こうやってグダグダしてるうちに
他の男が現れる可能性を考えなかったわけじゃねぇ。

ただ、オレは信じていた。

「い、たら…
 こうやって会わないよ」
「…ふぅん?」

「なぁ」
「んー?」

「彼氏とか欲しいわけ?」
「そういうわけじゃないけどさ」

「お前さ」
「んー?」

「オレの事好きだろ」

ただ、こいつの心はまだオレにあると信じていた。

「…そっか、そうかも」
満足そうにうんうんと頷くこいつは
持ち前の鈍感さに酒も加わって
きっとまだ自分の発言を頭は理解出来ていない。

頭の中でカウントダウンをしながらじっと待つ。

3、2、1…。

0と同時に面白ぇほど
でっけぇ瞳をこれでもかと見開いたこいつが
テンパって逃げようとするのも
あまりに想定内すぎて笑っちまう。

「好きだ。
 また付き合おうぜ、オレ達」

まだ頭の整理がついてねぇらしい牧野からは
返事は返ってこなかったが
キスをしようと距離を詰めたオレに対して
そっと瞳を閉じたのが
オレ達の恋がまた始まった合図だ。


〜 fin 〜




いつも応援ありがとうございます♡

★更新ペース遅すぎて
 2ヶ月も経っちゃった短編の司視点を
 今さらこっそりアップしてみる、の巻でした(笑)
 リハビリにお付き合い頂きありがとうです♡
 急に寒くなってきましたね。
 コロナはもちろんですが
 風邪やインフルにも気をつけてご自愛下さい★

2度目の恋の始め方

★短編です。
 分岐は細かく決めてませんが
 元恋人同士で社会人になったつかつくです★



「はぁぁ…」

メープルのバーカウンターで
つい漏れたため息は
静かな空間にそっと溶けていく。


『2度目の恋の始め方』


貧乏だったのは昔からだったけれど
中学まではそれを気にした事はあんまりなくて
お金はなくてもあたしは確かに毎日幸せだった。

そんなあたしの運命が
どこで狂ったかと言えば…やっぱり。

「わり。遅くなった。
 …で?ため息なんかついてどうしたよ」
「出たよ、元凶が」
見上げながら軽く睨みつけたこの男。

「あ?…オレに怒ってんのか?」
「別にそういうわけじゃないけどさ。
 それより!いきなり呼び出すのやめてくんない?」

「仕方ねぇだろ。
 こっちもギリギリまでわかんねぇんだよ」
「忙しいのはわかるけどっ。
 こっちにだって予定ってモンが…」

「あったのかよ?」
あたしの言葉を最後まで聞かずに
ニヤニヤとする顔がまたムカつく。

そして言い返す言葉がないのがまた…。


こいつ…道明寺とあたしが
付き合っていたのはもうずっと昔の話。

一時期世間を賑わせたシンデレラストーリーは
12時の鐘の音で魔法が解けるように
あっけなく終わりを告げた。

そんな道明寺と
こうして時々会うようになったのはつい最近。
NYから帰ってきた道明寺を囲って
久しぶりにみんなで集まった時に再会してから。

昔は気軽に集まっていたみんなも
今じゃみんな世界中を飛び回っていてなかなか掴まらない。
その中で暇なのは一般庶民のあたしくらいなもので。

ふと時間が出来た時に
気軽にご飯に誘える飲み友達みたいな?
うん、今のあたし達はそんな関係だ。

「…おいっ!」
「へっ!?」
道明寺の声にハッとして顔を上げる。
どうやら考え込むうちに道明寺をシカトしてたみたい。

「マジでどうした?」
「ううん。ぼーっとしてただけ!」

「何かあったならちゃんと言えよ?
 相手が誰だろうがぶっ殺してやっからよ」
「ねぇ、そういう冗談は
 せめて笑いながら言ってくれないと怖いから」

冗談だとわかるようにしてくれないと
本当に相手が誰であってもやりかねないだけに
笑っていいのか困ってしまう。


個室へと移動してからは
あたしの話に耳を傾けながら
道明寺もお姉さんの話をしてくれたりと
他愛もない話をしながらお酒が進む。

「お前、大丈夫かよ」
「ん?何が?」

「明日起きれんのか?」
「オフだもん」

「にしてもペース早ぇよ。
 飲み過ぎなんじゃねぇ?」
「そ?」
とぼけるように首を傾げたけれど
いつもよりは飲んでいる自覚はあった。

今の生活に不満はないし、
仕事もやりがいがあって充実してると思う。

だから別に普段から恋人が欲しいとか
寂しいとか思ってるわけじゃないけど
去年は優紀が、数ヶ月前には滋さんも。
そんな風に周りがポツリポツリと
結婚し始めるとなんとなく
このまま恋人も出来ないまま
一生独りなのかな…なんて考える時がある。

そうなればついつい
お酒にも手が伸びてしまうというもの。

「道明寺はさ、
 結婚…の話とか、ないの?」
「……は?」
顔を見なくても隣に座る道明寺が
あたしを睨んだのはわかる。

「いや、結婚は急だとしても
 そういう人はいないのかなぁって?」
「…」
道明寺の方は向けずに続ける。

なかなか次に進めないあたしとは違って道明寺なら
その気になればいつだって恋人くらい作れるはずで
いつかはそんな話をされるのかなぁ…
なんてずっと頭の隅では考えていた。

「ほ、ほら!
 もしそういう人がいたら
 貴重な飲み友達がいなくなるなぁ…って?」
「……」
何も言わなくなった道明寺の圧力は半端じゃない。

そりゃそうか。
元カノから振られる話題としては微妙すぎたかも。

「もうっ!ごめんってば!!
 ちょっと気になっちゃっただけじゃんっ」
沈黙に堪えられず思わず顔を上げて謝ると

「お前は?」
「…え?」
「そういう奴。いるのかよ」
思っていた以上に近い距離で
真剣な顔がそこにあってドキリと胸が鳴る。

「い、たら…
 こうやって会わないよ」
「…ふぅん?」

道明寺と別れた後だって
別に出会いがなかったわけじゃない。
だけど結局どの人もピンとこないっていうか
お付き合いするまでにも至らないまま終わってしまった。

何がダメなんだろう…なんて
お酒の入った頭でまたぐるぐると考えてしまう。

「オレと飲めなくなるのがそんなに心配かよ」
「ん、まぁね…」
考え込んだままぼんやりと答える。

急すぎる誘いには困る事もあるけれど
道明寺と飲むのは楽しいし。

「なぁ」
「んー?」

「彼氏とか欲しいわけ?」
「そういうわけじゃないけどさ」

「お前さ」
「んー?」

「オレの事好きだろ」

その言葉が
パズルの最後のピースがはまったみたいに
心の中でストンと落ちて

「…そっか、そうかも」

友達のつもりでいたけれど
他の人にピンとこなかったのは
あたしの中にまだ道明寺がいたからだったんだ。

ぼんやりした頭で答えながら
うんうんと1人で納得する。

「……」
「……?」
再び訪れた沈黙に
頭の中で今の会話をリピートさせて

そして自分が何を言ったか理解した途端
一気に酔いが覚めるほど背中に変な汗をかいた。

「ごめ…っ。
 やっぱ飲みすぎてるみたい」
慌ててその場から逃げように立ち上がったけれど
鞄を持とうと伸ばした腕を掴まれた。

「どこ行くんだよ。
 まだ話終わってねぇぞ?」
「今日は帰る。
 明日早いし、うん」
そう言って振り払おうとした腕は
逆に道明寺の方へと引っ張られて
あっというまに道明寺の腕の中に閉じ込められた。

「うそつけ。
 明日オフだって言ったじゃねぇかよ」
なんて頭の上から聞こえる声はどこか楽しそうで。

おそるおそる顔を上げてみれば
「オレもやっぱお前じゃねぇと嫌だ」
そう言う道明寺の顔は
あたしの好きだった自信に満ちたオレ様な顔で

「好きだ。
 また付き合おうぜ、オレ達」

あたしはまだ何も言ってないのに
勝手に縮められる距離。

それがゼロになる直前、
あたしはそっと瞳を閉じた。


〜 fin 〜




いつも応援ありがとうございます♡

★すっかりご無沙汰しておりました ((*_ _))ペコリ
 今日はある方のアニバーサリーということで
 お祝いとリハビリ兼ねてお話をひとつ。
 もうサボりすぎて書き方も忘れてて焦りましたが(笑)
 少しでも楽しんで頂ければ幸いです♡
 暑い日も続きますので、皆さまどうかご自愛下さい★

already in love 16

★坊ちゃんハッピーバースデーo(>∀<*)o★

誕生日当日の朝。

窓の外を見れば
すでにエントランスを先頭に車列が出来ていて
ババァが降りてきたゲストを笑顔で迎えている。
その光景から視線を逸らしため息をついた。


『already in love』  第16話



毎年毎年繰り返される
心底くだらねぇオレの誕生日パーティ。

いつ戻ったのかは知らねぇが
ババァの意識はすでにゲストへと向き
主役であるはずのオレの前にはまだ現れていない。

別に今さらババァからの祝いなんていらねぇが
誕生日なんてただの口実に過ぎねぇなら
最初から向こうで自分の誕生日パーティでもすりゃいいのに
それでもオレをダシに使い、わざわざ日本で開くのは
あくまでも一族の結束をアピールするためだ。

「…けっ。反吐が出るぜ」
独りごちた所で時計を見れば
もうすぐ10時になろうとしている。

ハッキリ言ってパーティなんざどうでもいいし
オレが招いたわけじゃねぇんだ。
永遠に待たせておけばいいと思っているが
ババァに捕まっちまったら最後。
しばらく身動きが取れねぇ。

あいつは一体いつになったら
オレの所へ来るんだ?
確かにクッキー焼くって言ったよな?

オレは日付が変わったその瞬間から
待ってるっつーのに一体いつになったら来るんだ!


『何か欲しい物とかないですか?』
牧野にそう聞かれて
思い浮かんだのは牧野本人だったが
さすがに口にする事はなかった。

あいつの態度を見てる限り
どこをどう取ろうと、
どれほどポジティブに受け取っても
オレを男として意識してるとは思えねぇし。

まさか忘れてんじゃねぇだろうな?

ふとそう頭に浮かんでしまえば
居ても立っても居られず
足早に牧野の部屋を目指して進んでいけば
廊下の柱に片手をついて項垂れるあいつの姿を見つけた。

その反対の腕にはリボンのついた包みを抱えている。

…用意出来てんならさっさと持って来いよ。
なんて心の中で悪態をつきながらも
無意識にホッと息をついていた。

近づいてみれば
なんだか知らねぇがため息なんかついて
「どうしよ…」
だなんて独り言まで漏らしている。

何かあったのかと耳を傾けてみれば

「誕生日プレゼントに車って…マジ?」
だとか
「坊ちゃんってほんとに坊ちゃんなんだ…」
だとか聞こえてくる。

大方、ゲストの持ってきたプレゼントを見て
尻込みしてるってとこか?

「おいっ!」
「へ?…うわっ!ぼ、坊ちゃん!?」

完全に自分の世界へとトリップしていた牧野は
慌てて手にしていた包みを背中へと隠した。

「お前いつになったらクッキー持ってくる気だ?」
「えーっと、そのぉ…。
 なんか、失敗?しちゃって。
 また作り直してから改めて渡そうかな、なんて?」

わかりやすいにも程があるほどに
忙しく視線を泳がせしどろもどろに話すこいつに
呆れを通り越して思わず笑っちまいそうになるのを
なんとか堪えると後ろに隠した包みを素早く奪う。

「あっ…!」
慌てて取り返そうとするこいつの手を避けながら
包みを開けて中を見る。

するとそこには
なんとなくオレに似てるような気もする
顔のクッキーがいくつも入っていた。

「へぇ?わりとよく出来てんじゃね?」
そのうちの1つを手に取り眺めてから口へと運ぶ。

「そ…そうですか?」
「あぁ。味も悪くはねぇし。
 これのどのあたりが失敗なんだ?」

「えっとぉ…」
「まぁ、オレはもっとカッコいいか」

「…へ?」
「これオレじゃねぇの?」

「そのつもり…っていうか
 結構似てるって思ってたんですけど?」
少し勢いを取り戻し言い返してくるこいつに

「だったら貰っていいんだよな?」
ニヤリと笑いながら言えば
言葉に詰まってから、しぶしぶ頷いた。

「っつか何もったいぶってんだよ」
「別にもったいぶってたわけじゃ…」
困ったような顔をするこいつが言いたい事はわかってるが
オレにしてみればそれは的外れもいい所。

「今日来てる奴らが
 何を持ってきたかなんて知らねぇが
 その中で一番嬉しいプレゼントは間違いなくこれだ」
「…いいですよ、そんな気を使わなくても」

「わかってねぇな。
 オレのために用意されたプレゼントはこれだけなんだよ」
「…?
 何言ってるかちょっとわかんないんですけど」
怪訝そうな顔で首を傾げるこいつが理解出来ねぇのは
こいつだけが他の奴らとは違うから。

「今日届くプレゼントなんて形だけだ。
 オレのために用意した奴なんて1人もいねぇよ。
 誕生日だなんて体のいい口実なだけで
 普段は日本にいねぇババァに会うのが目的なんだよ」
こいつに説明してもきっと全ては理解出来ねぇだろう。

実際、プレゼントを渡してくる本人は
秘書か誰かに適当に用意させただけで
下手すりゃ何を贈ったかさえ知らねぇ奴もいるはずだ。

「だから、これ以外のプレゼントなんか
 オレにとっちゃ全部その辺のゴミと変わんねぇし
 こんなパーティなんてウザってぇだけだ」

「坊ちゃん…」
どうしてだかオレより悲しそうな顔で見上げてくる牧野は
しばらく言葉を失っていたが

「ちょ、ちょっと待って下さいね!」
何かを思いついたようにポケットを探り出すと
メモ帳とボールペンを取り出し、何かを書き始めた。

それからどれくらい待ったか。

「…よしっ。こんなとこかな?」
なんて1人で納得したかと思えば
今の今まで何かを書いていたそのメモをオレに渡してくる。

小さく畳まれたそのメモを開いてみれば
「…何でも言う事聞きます券?」
4つに区切られたスペースにそれぞれそう書かれていて
花や星のイラストが散りばめられていた。

「皆さんが持ってくるような
 高級な物は買えないですけど。
 あたしが出来る事でしてほしい事がある時は
 1枚渡してくれたら何でも聞き入れますっていう券です」
どこか得意気にそう言うこいつに思わずプッと吹き出す。

「何でもいいんだな?」
確認するように聞いてみれば頷きかけてから

「ハッ…!エッチな事はダメですよ?」
なんて人を変態のように睨んでくる。

「バカかっ!んな事わかってんだよっ。
 そういうのは無理やりしたって意味ねぇだろうが」

__正直言えば一瞬頭をよぎったのは確かだが。

それより面白ぇ事を思いついた。

切り取り線に沿って
丁寧に1枚ちぎるとこいつに渡すと
きょとんと首を傾げた牧野に言ってやる。

「今日のパーティ。お前も出席な。
 オレのパートナーとして隣に立ってろ」







いつも応援ありがとうございます♡

★なんとか誕生日に滑り込み〜っ。
 でもパーティが終わるのはいつになる事やら…(o_o ;)★

already in love 15

お正月はてっきり
ご家族が揃うと思っていたんだけど…。

お姉様から電話があっただけで
結局旦那様も奥様も帰国はされなかった。


『already in love』  第15話


今年はパパ達も新しい環境に慣れはしたみたいだけど
まだバタバタしているようだったから
また改めて会いに行くと年末に伝えたから
あたしも家族には会えなくて寂しいと思ったんだけど。

坊ちゃんにとっては毎年の事みたいで
「あ?正月だからって集まる必要がどこにある?
 むしろ新年早々あいつらの顔なんて見たくもねぇよ」
なんて言う。

そりゃあ、高校生にもなれば
両親にべったりってのは珍しいのかもしれないけれど
普段は別々に暮らしているんだから
会いたいと思うくらいは普通だと思うんだけどなぁ。

「お正月に会えないなら
 坊ちゃんはいつご両親に会えるんです?」
何気なく聞いてみれば
「……オレの誕生日くらいじゃね?」
しばらく考えてからそう答える。

「へぇ!
 …って、坊ちゃんの誕生日っていつですか?」
「知らねぇのかよ。今月の31日だ」
不満そうにあたしを睨みながらも答えた声に
思わずカレンダーを見る。

「えぇっ⁉︎
 もうすぐじゃないですか!楽しみですね」
お正月は無理でも誕生日には帰って来て下さる事に
本人以上にはしゃいでいたあたしは

「…別に」
フッと視線を逸らした坊ちゃんは
照れ隠しでそうしたんだと思い込んで
その瞳の奥にある感情に気づく事が出来なかった。


その後
「坊ちゃんの誕生日はね。
 毎年このお邸でパーティを開くのさ」
タマさんから渡された招待客のリストには
100人は軽く超えてそうな勢いで名前が記されていて

「ひえ〜。
 こんなにお客様がいらっしゃるんですか?
 でもたくさんの人にお祝いしてもらえるんですねっ。
 坊ちゃんもきっと楽しみなんだろうなぁ」
見るともなしにリストに視線を落としながら
嬉しくなって笑っていると

「…そうだといいんだけどねぇ」
なんてため息混じりにポツリと呟いた。
その雰囲気に顔をあげたあたしに

「いや…あんたもしっかり祝ってやりなよ」
いつものタマさんの顔で言われ
「はいっ。もちろんです」
と頷いた。



「…とは、言ったものの」
その数日後。
坊ちゃんの誕生日を1週間後に控えたある日。

あたしは掃除の途中、
坊ちゃんのクローゼットで途方に暮れていた。

「何でも持ってるんだもんなぁ…」

ここにはそりゃもうすごい数の洋服やら
小物やら時計やアクセサリーまでもが
まるでお店のように綺麗に並べられているのに
これが季節ごとに
全部入れ替わるって言うんだからついていけない。

あたしの時みたいに
一緒に買い物に出かけてもいいけれど
そもそもこのクローゼットの持ち主が
欲しがる物はあたしのお給料で買える物??


「戻ってこねぇと思ったら…
 んな所で ボーッとして何してんだ?」
後ろから聞こえた声に振り返ってみれば
さっきまでリビングにいたはずの坊ちゃんの姿。

「坊ちゃん…」
「…?なんだよ。
 どっか具合でも悪ぃのか?」

「いえ、そうじゃなくて。
 えーっと…。
 クッキーとか好きだったりします?」
買える物がダメなら手作りで、なんて考えたけれど
編み物なんてありがた迷惑になっちゃいそうだし
そうなるとあたしでも作れるとなればお菓子くらいだ。

だけど
「…は?クッキー?」
怪訝そうに首を傾げた坊ちゃんは
とてもクッキーが好きそうには見えない。

そうだよね。
あの駄菓子は食べるけれど
他の甘い物を口にするのもあんまり見ないし。

かと言って駄菓子をあげるのもなぁ…。
って、それなら手作りのお菓子もそんなに変わらない。

「う〜ん。やっぱり何でもないです」
考え直そうと掃除の続きに戻ったあたしを
しばらく観察するみたいに見ていた坊ちゃん。

「…クッキーでいいぞ」
そんな声に再び手を止めて坊ちゃんを見る。

「オレの誕プレ考えてたんじゃねぇの?」
ニヤリと笑う顔にドキッと肩が揺れる。

「え〜っと。
 何か欲しい物とかないですか?」
バレちゃったならいっそ
直接聞いてみるのもアリかと聞いてみる。

すると
「……」
親指で顎に触れながら少し考えるような仕草をすると
あたしをじっと見るから
てっきり何か思い当たったのかと期待したんだけど。

「やっぱ クッキーでいい。
 その代わりお前が責任もって作れよ?
 誰が作ったかわかんねぇのなんて食わねぇぞ、オレは」
坊ちゃんから返ってきたのはこんな言葉で。

「本当にクッキーなんかでいいです?」
「おぅ。楽しみにしてる」

「先に言っておきますけど
 シェフが作るみたいには出来ないですよ?」
念を押すように聞いてみると
「ゴチャゴチャうるせぇな。
 オレが楽しみにしてるっつってんだからいいだろっ」
なんて大きな声を出したりするから

やっぱり本当は他に欲しい物があるけど
あたしじゃ買えないような物だから
気を使わせてしまったのかと落ち込みそうになったけど

「絶対作ってこいよ。
 絶対だからな?朝1番に持ってこい。いいな?」
逆にあたしに念を押すように言ってから
踵を返しクローゼットから出て行く
坊ちゃんの後ろ姿を見送る。

そして、ふと
坊ちゃんの耳が赤く染まっている事に気付いて
思わずニヤけてしまった。

あれ…?
坊ちゃんってば、もしかして。

クッキー、大好物だった?





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