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たとえ、何度でも。 6

勝手に漏らしている愚痴を聞いてるうちに
こいつは今日健ちゃんにフラれたらしい事がわかった。

なんだよ。余計な手間は省けたが
別れさせる前に勝手に玉砕してんじゃねぇよ。


『たとえ、何度でも。』   第6話



オレが隣に座ってる事に気付いているのかいねぇのか。
マスターが出した酒に口をつけて
「ん~っ。美味しぃ~」
なんて満足そうに笑ってやがる。

「そんなに美味ぇのか?」
横からグラスを取り上げて一口飲んでみれば…

信じらんねぇほどにクソ甘い。
これマジで酒か?
あのマスターが気を利かせてジュースを出したのか?

思わず眉をしかめるオレに

「人のお酒勝手に飲んでおいてその顔はないんじゃない?」
ムッとした表情を浮かべて睨みつけてくるこいつ。
「うっせぇ。一口飲んだくらいでケチケチしてんじゃねぇよ」
そう言いながら改めてこいつを見てみれば

黒くて艶のある髪は記憶よりは少し伸びて
一応化粧だってしてるようだが
ハッキリ言ってすっぴんだって言ってもよさそうな程度だ。

それでも臆することなくオレをまっすぐに見据える
大きな瞳は昔と何も変わってなくて
あの頃のお前がダブって見えるような気がした。


あの頃…
オレはお前とさえいられれば
道明寺がどうなろうが、そんな事気にならなかった。

お前さえいれば他に何も欲しい物なんてなかった。


だけど…お前は違った。
ダチを守るためにあっさりとオレを切り捨てた。

お前がそういう女だって事はわかってる。
誰にでも平等で、人一倍情にもろくて損ばかりする女。

オレに対してもそれは変わらない。
そういう所に惹かれたと言われればそうだ。

それでもオレたち2人の事を何の相談もしねぇで
勝手に決めた事がどうしても受け入れられねぇんだ。

どうしてお前の中に2人で解決するって選択肢はなかった?
そんなにオレは頼りにならなかったのかよ…。
それともそんなに好きじゃなかったって事なのか?

どっちにしても
色も音も何もねぇ世界に
オレを突き落として逃げた事に変わりはねぇ。

それでも
好きで、好きで…惚れてた。

学園にもこの邸にも
お前がいた風景は残像のように頭から消えねぇのに

どんなに会いたいと願い
その姿を探したってどこにもいない。

お前の事を忘れられない自分が惨めで
憎む事でなんとか自分を保ってみたところで
結局はお前の事しか考えてねぇ事に気付いて絶望するんだ。


オレがどれほど苦しんだかお前にわかるか?
記憶のねぇお前には到底わかんねぇだろうな。

だから思い知らせてやる。

どうせやるなら
嫌って、嫌って、憎んで。
オレの事しか考えられなくなればいい。


__オレという存在が、お前の中で一生消えない傷になればいいんだ。



 
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たとえ、何度でも。 5

翌日には上がってきていた牧野のデータ。

都内のマンションに独り暮らししてる事とか
あいつの勤めてる会社は意外にうちのビルと近い事とか
そんなあいつの今が事細かに書いてあった。


『たとえ、何度でも』   第5話


その報告書の中にはあいつの今の彼氏の写真もある。

「……」
どっからどう見てもただの普通の男。

『オレを1人の男として見た事があるか?』
あの時そう聞いたオレに

『どうだろ…でも
 もし、あんたを少しでも好きだったらこんな風に出て行かない』
あいつはそう答えたよな。


なぁ、牧野。
オレのどこがこの男に劣ってるって言うんだ?

そのオレの事も
綺麗さっぱり記憶から消え去って
こんな男と付き合い始めて幸せだって?

「…ふざけんじゃねぇぞ」

書類を握りしめれば男の顔がグシャっと歪んだのを見ながら
意図せずそんな言葉を吐きだした。

お前の幸せなんて全部ぶっ壊してやるからな。



それから一ヶ月。
あいつの行動は全て把握していた。

週に1、2回のペースであの男とは会っていて
3日前にはあいつのマンションに泊まったらしい。

そして今日。
オレはあの日以来あいつに会いに行く。


基本的に会社を出ると帰りに買い物をする事があるくらいで
誰かと会う日以外はほとんどが真っ直ぐに帰路につくあいつ。

だからマンションの前に車をつけて
帰って来るのを待っていたっつーのに…。

どうしてだか、あいつは最寄の駅を降りると
家とは反対の道へ進み、バーに入ったと報告が入る。

その店はあいつが気に入って
時々寄るらしい小さなバーだった。

「チッ…。そっちに車回せ」
運転手にそれだけ言うと、車は音もなく走り出す。

まぁいい。
あいつの記憶がねぇなら
待ち伏せよりもバーで偶然を装う方が近づきやすいか。


SPを下がらせ小せぇその店の扉を開けば
カウンターに牧野が座っていて
マスターとも顔見知りなのか親しげに話していた。

「つくしちゃん、あんた飲み過ぎじゃなぁい?」
「えぇ~?大丈夫だよぅ。
 ちゃんと帰れるから。ね、ね。それよりもう一杯~」

「んー…ダ~メ。
 アタシが健ちゃんに怒られるんだからね」
「……怒んないから大丈夫だもーん」
そう言いながらカウンターに突っ伏した。

それを見たマスターはカウンターから
腕を伸ばして牧野の頭をツンツンと突いて笑う。
「あ~、なるほど。珍しくケンカしたんだ。
 どうせ意地張ってお迎えも頼まないつもりでしょ?
 いくら近いったってお迎えナシならこれ以上はダメよ」

「本人が飲みてぇって言ってんだ。飲ませてやれよ」
そう言って牧野の隣に腰掛ければ

「あらやだ、いい男。
 あんたつくしちゃんの知り合い?
 ナンパならお断りよ?この子彼氏持ちだから」
とマスターはにっこりと笑う。
「ん?あぁ。帰りは送ってくから
 心配すんなって健ちゃんにも伝えておけよ」
「健ちゃんも知ってるのね。
 だったら安心だわ。で?あんたは何にする?」
彼氏とも知り合いだと思ったらしいマスターは
酒を出すと牧野はオレにまかせて他の客の相手にまわった。

健ちゃんなんて奴は書類でしか知らねぇが
あとで浮気だなんだと揉めるならそれもいい。

とにかくオレに惚れさせるためには邪魔だからな。
とっとと消えてもらう必要がある。

そんな事を考えながら酒を煽った。



 
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たとえ、何度でも。 4

「遅ぇよ、司」
「うっせ。これでも空港から直行してんだよっ」

いつもの店に行けば
総二郎とあきら、そして珍しく類の姿まであった。


『たとえ、何度でも』   第4話


ガキん時のようにしょっちゅう顔を合わす事はなくとも
時々総二郎かあきらに声をかけられ集まるこの時間は
目の前の相手と腹の探り合いをしなくていい唯一の時間。

「そういや、総二郎。
 お前今日見合いだとか言ってなかったか?」
あきらにそんな事を言われて総二郎はうんざり顔を返す。

「あぁ。いちいち断るのも
 面倒くせぇっつーのによくやるよ…あきらも先週だっけか?」
「あー…そうそう、やったわ。
 でも今回は向こうから断ってくれるだろうから心配してねぇけど」
そんな事を言ってニヤリと笑うあきらに首をかしげる。

「…なんだよ。
 悪い顔してんぞ。何した?」
「ククッ…。何もしてねーよ
 ただ…相手の母親を知ってるだけ?」
他言するなとばかりに口に人差し指をそっと当てる。

「はぁっ!?あきら、いくら年上っつったって
 そんなババァにまで手ぇ出してたのかよっ」
「違ぇよっ。オレと別れた後に
 前の旦那と離婚して今の旦那と再婚したみてーだな」
面白そうに話す2人にオレはため息をもらす。

「そういや司は見合いで暴れて以来、話来てねぇのか?」
「あぁ…。ババァも後始末するの面倒なんじゃね?」

総二郎がそう言うのは

2年ほど前に一度だけ
騙し討ちみてぇな形で見合いをさせられた事があったが
オレはその場でブチ切れて、もちろん見合いもせずに帰った。

その直後にババァからも
「もっと自覚を持て」だの何だの言ってきたが
「次からも同じ事をする」と断言してやったから
見合いの話はババァが断ってんだろう。

「ねぇ、司」
それまでソファに寝ころんだまま
オレたちの話を聞いていた類が話しかけてくる。

「じゃあ司は、結局今も牧野なわけ?」

「お、おいおい…」
あきらが気まずそうな表情を浮かべる。

そりゃそうだろう。
こいつらなりに気を使ってたのかどうか知らねぇが
オレの前でその名を出さなくなってもう何年だ?

「ハッ…!あんな女、もう何とも思ってねぇよ」
そう言いながらも
久しぶりに聞いた名に感情が揺れる。
こんな感覚も久しぶりだった。

「まぁ…そりゃそうだよな」
「あれから何年経ってるって話だし?」
オレがキレなかった事にホッと息をつきながら
あきらと総二郎は肩を竦める。

…そうだ。
あの頃のオレとは違う。
オレはあいつの事なんて…

そう心の中で呟いたオレに

「ふぅん…?
 じゃあいいよね?俺が牧野口説いちゃっても」
類はニコッと笑って首をかしげる。
「……」
無視するように何も答えなかったオレの代わりに

「…まさか牧野に会ったのか?どこでだ?」
総二郎たちの反応を見る限り、
こいつらもあれ以来あいつには会ってねぇんだろう。

「ん。この間、偶然見かけてさ
 就職でこっち戻ってきたみたい
 …でも俺たちの事は何も覚えてなかったけどね」
「はっ!?覚えてねぇってなんだよ。
 おい類っ。わかるように説明しろっつ―の」
そう促され類が話したのは

あの当時、たまたまテレビに映った漁村の屋台に
あいつの姿を見つけて、時々会いに行っていたとか

それもなくなって類も何年も会ってなかったうちに
頭打って、英徳にいた頃の記憶がねぇって気付いたとか

「あの頃さー…牧野は隠してるつもりみたいだったけど
 俺の顔見る度に司思い出しちゃうのが辛そうだったんだよね。
 だから会いに行くのやめたんだけど…。
 今はそんな心配ないし、司も未練ないならいいよね?
 あー…でも今彼氏いるとか言ってたかな…」
ペラペラと聞いてもねぇ話を続ける類。

…あの雨の夜に
オレを裏切っておきながらその記憶ごとねぇってなんだよ。

今さらお前の事なんて何とも思ってねぇ。
だけどあの頃のオレにとってお前は全てだった。

それなのに
全部なかった事にして自分は彼氏も作って幸せだと?


__許せねぇ。


「あの女…どこまでも人をバカにしやがって。
 あいつにも同じ苦しみを味あわせてやらねぇと気が済まねぇ。
 オレに惚れさせてから今度はこっちからゴミみてぇに捨ててやる」
ギリッと拳を握りしめながらポツリと呟いた言葉に

「お、おいおい…滅多な事言うなよ…」
オレを止めようとした総二郎の言葉に被せるように
「んー…
 あの頃は牧野も司が好きなのかなって思わなくもなかったけど
 記憶もない今の牧野が今さら司に惚れるとは思えないんだけど?」
そんな事を言い出したのは類。

「類~…頼むからちょっと黙ってろ。
 司もいちいち挑発に乗ったりするなよ?
 そんな事して何になるってんだ。バカな真似はよせ」
あきらが頭を抱えながらそう言ったような気もするが

オレはその場で牧野の今を調べろと西田にメールを打っていた。



 
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たとえ、何度でも。 3

「…つまり。今の牧野には
 英徳に通っていた約2年間の記憶がないって事?」

あの後も2人から質問攻めに遭った結果
どうやらあたしは高校2年間の記憶がないらしい。


『たとえ、何度でも。』   第3話


曖昧に頷いてはみたものの
聞かれたところで
記憶がないんだからピンとはこないんだけど。

「でも…記憶喪失なんて……」
あまりに現実味のない状況になんとなく落ち着かない。

「…あっ!あん時じゃね?
 ほら、今井さんとこのちーちゃんが
 堤防から落ちそうになったのかばって
 姉ちゃん一緒に砂浜に落っこちちゃったじゃん?」
進がポンッと手を叩いて言う。
「あぁ…そんな事もあったね」

確かにあの時なら頭は打ってたかも。
ちーちゃんを抱っこしたまま落ちて
全身あちこち痛かったんだけど
幸い特に怪我もなかったから病院にも行かなかった。

「それ、俺知らない」
「そうでしたっけ?姉ちゃんが落ちたのは、
 花沢さんが来なくなってからだったっけなぁ…?」

「え…?」
今の言い方だと
それまでは村にも来てたって事?

あの何もない村にこんなキラキラな人が??

「…じゃあ、
 欠けた記憶に関わる人物に今日まで会わなかったから
 牧野自身も記憶がない事に自覚がなかったって事か…」
「俺も姉ちゃんが花沢さんの事聞いたりしてなかったし…」
納得したようにうんうんと2人で頷いている。
 
「あの…花沢さん」
「それやだ」

「へ?」
「あんたにさん付けで呼ばれるのやだ」

「…じゃあなんて呼べば?」
「前みたいに花沢類でもいいし、類でもいい」
その言葉を聞く限りあたしは
この人を花沢類とフルネーム?で呼んでいたんだろうか。

「えと…じゃあ、類?」
「うん」
ニコッと満足そうに笑う顔にドキッと心臓が跳ねる。
進の言うように初恋っていうのも、あながち嘘じゃないのかも?

最初に会った時からそうだけど
どうしてだかこの笑顔に逆らえる気がしない…。

「あたし達って仲良かったの?」
「んー、牧野はどう思ってたかわかんないけど
 俺は牧野に会いたいから会いに行ってたよ?」
「へ?」

何かさっきからこの人
どこかつかみどころのない言い方ばかりじゃない?

「…プッ。
 牧野のそういう顔久しぶりに見た」
「…?」

「困った小動物みたいな顔」
「~っ!!」

人の事をからかって!
文句を言おうとしたあたしを無視するみたいに
お腹を抱えて笑っていたくせに今度は
さっとケータイを取り出して

「牧野の番号教えて?」
なんて言うと
まるで悪気なんてなさそうな顔でニコッと笑う。

ため息をつきながらも番号を伝えると
すぐにあたしのケータイを鳴らして
「それ、俺の番号ね」
そう言うと今度は進に近況を聞いたりしてる。

「類って、もしかしなくてもすっごくマイペース?」
「そう?」
「自覚がない所がまた…」
ガクッと頭を垂れながらもなんとなく
この掛け合いが心地いいような…そんな気がした。





「へぇ…記憶喪失?漫画みてぇ」
「でしょ?あたしもいまだにピンとはこないんだけど
 進も類も嘘言ってるようには見えなかったなぁ…」

数日後。
同僚の沙紀の紹介で知り合った健ちゃんは
あたしより3つ年上で、とても穏やかで優しい人。

何度か会ってるうちに気が合って
付き合い始めて3ヶ月になる。

初めは会うとなったら外食ばかりだったけど
健ちゃんがいつも払っちゃうから時々は
スーパーで買い物してあたしがご飯を作る。

「うーん…」
「何?どうしたの?美味しくない?」

「いや、美味いよ。そうじゃなくて
 その2年間に彼氏とかいたのかなって。
 俺が初めての彼氏だって思ってたのに…やきもち?」
「あははっ!まさかぁっ!
 だって英徳だよ?あたしなんて見向きもしないよ」
あんなお金持ちしかいないような学校で
あたしと付き合うような人なんていないと思う。

ケラケラと笑うあたしに
突然キスをしてくるから顔が熱くなる。

「そんなのわかんないだろ…?
 まぁ、キスだけでテンパるくらいだし信じるけど。
 でも、俺的にはそろそろもっと色々したいんだけどな…?」
そう言ってあたしを覗き込むみたい首をかしげる仕草に
なんて返せばいいのかわからなくて視線は合わせたまま黙ると

「…ふはっ。
 ゆっくりでいいよ。
 したいのは本当だけど焦ってるわけじゃないから」
しょうがなさそうに笑うとあたしの髪をクシャりと撫でてくれる。
 
…わかってる。
大人なんだし、付き合うって事はそういう関係にもなる事だって。
いい加減そろそろ覚悟決めなきゃダメだよね…。



 
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