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ごあいさつ。~はじめにお読みください~

初めての方は必ずお読みください。

※2月25日 「コメントのお返事について」追記あり。

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※7月2日 「ブロとも申請について」追記あり。


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あまい気持ち 17

「ね、ねぇ!
 道明寺ってばっ!どこ行くの!?」

牧野の手を引いたまま歩き続けて
どれくらい経ったか。
牧野にそう言われてやっと我に返った。


『あまい気持ち』   第17話


どこと言われても
別にどこかを目指して歩いてたわけじゃねぇ。

立ち止まって振り返れば
牧野には歩くペースが早すぎたらしく
息を切らしていた。

「あ…わり」
「わ、悪いじゃないわよ。
 足の長さの差を考えなさいっての…はぁ」
肩で息をしながらも睨みつけてくるこいつを
こんなに近くで見るのも2週間ぶりで

睨まれてんのに
オレの心臓はバカみてぇに強く脈打って
つい握ってた手に力が入って
今度はその手が痛いとまた睨まれた。


近くのカフェに入ったオレたち。
「はぁ〜…生き返る」
オーダーした飲み物が来る前に
ただの水を美味そうに飲み干して息をつく牧野。

そんなこいつを見ながら
頭の中で状況を整理して行く。

付き合ってねぇって言ったよな。
類をフったってマジかよ。

だが類はまだ諦めたわけじゃねぇんだよな?
この場合…オレは言ってもいいのか。
それともやっぱ先に類と1度話すべきか…?

すると、
「…ねぇ。そう言えばさ
 何も言わずに帰っちゃって良かったの?」
「な、何がだよ…」
不意にそんな事を聞いてくるから
まさか言うも何もバレてんのかとドキッとした。

「え?その…合コン、だったんでしょ?」
「…は?」

「だから、合コン。
 奥にいた綺麗な女の子、道明寺の事見てたよ?
 もしかして約束とかしてたんじゃないの?」
一瞬何の事を言ってんのかわからなかったが
仕方なく付き合っただけのアレを
牧野にとんでもねぇ勘違いをさせている事に気づく。

「バッ…違ぇよっ!
 あれはそんなんじゃなくて…
 あいつらが勝手にやっただけだ!」
「…そう、なんだ?」

「つーか、
 合コンなんて興味ねぇぞ!」
「いや、でも…、うん。
 別にあたしに弁解する必要もないんだけどね?」

思わず声がデカくなったオレに
牧野は困ったように笑ってるが
オレとしては合コンに行くような男だなんて
こいつにだけは思われたくねぇ。

「マジで違ぇからな?」
念を押すように言えば
「わかったってば」
なんて軽い返事が返ってきて
ほんとにわかってんのか疑問だが
今はそんな事より…。

「お前こそどうなってんだよ」
「ん?何が」

「類と付き合ってねぇってマジ?」
「あ〜…うん」
気まずそうに視線を泳がせて小さく頷いた。

「考えるんじゃなかったのかよ?」
「もちろんちゃんと考えたよ?
 花沢類と付き合ったら楽しいんだろうなって思うし
 別に花沢類のどこがダメってわけじゃない。
 でも頭で考えたからって誰かを好きになったり、
 嫌いになれるほど気持ちって簡単じゃないでしょ?」
そう言ってまた水を飲もうとグラスを持ったが
さっき飲み干してんだから空だ。

「ほらよ」
仕方なくオレのを牧野の方へ滑らせれば
「ありがと…」
と受け取って一口飲んだ。

少し前のオレなら
類と付き合わねぇこいつを理解なんて出来なかった。
付き合うメリットならいくらでもあるが
デメリットなんてハッキリ言って1つもねぇ。

でも今ならわかる。
頭で考えてどうにかなるなら
オレだってこいつをとっくに諦められたはずだ。

相手が類で。
その類を推したのもオレで。
勘違いだったとは言えすでに付き合っていて
勝負以前の問題だと頭でいくら理解していても
やっぱすげぇ好きで。諦めるなんて無理だった。

類と付き合ってねぇと聞いて
確かに驚いたが
それ以上に嬉しさが上回った。

ただ…
喜んでばかりいられねぇのは
そんな相手がこいつの中にもいるっつー事。

「類でも敵わねぇ程好きな奴がいんのか?」
オレの質問にポッと赤く染まる頬も
照れくさそうに頷く仕草も気に入らねぇ。

「…えっと。だから、さ?
 道明寺が良かれと思って
 花沢類を勧めてくれたのも
 わかってるんだけど…もういいから。ね?
 そういうのナシで普通に友達でいたいっていうか…」
申し訳なさそうにそう言うこいつに
そんな気はねぇのはわかってても
告る前にフラれたような気分になる。

「ふざけんじゃねぇよ。
 んなモン、認められるわけねぇ」
ポツリと漏れたのは素直な不満。

オレは類だから諦めたんだ。
あいつなら…牧野を必ず幸せにすると信じられるから。
諦められねぇ気持ちを何とか抑え込んでやったんだ。

そうじゃねぇならもう遠慮する理由もねぇ。

「…は?
 勝手な事ばっか言わないでよ。
 あたしが誰を好きになるか、誰と付き合うか
 そんな事 道明寺にいちいち口出しされたくない」
ムッとして睨んでくるこいつの言い分が
間違ってねぇのはわかってる。

「勝手なのは生まれつきだ」
「うわ…開き直った」

「開き直りついでじゃねぇが
 これからもっと勝手な事言うから覚悟しろ」
「は?何言っ…」
怪訝そうな顔をするこいつの言葉を遮るように

「牧野が好きだ」
そう言い切れば
牧野は目を丸くして固まった。

「お前の好きな奴が誰かなんて知らねぇけどよ。
 そんな奴よりオレにしとけ。付き合おうぜ、オレ達」






いつも応援ありがとうございます♡

あまい気持ち 16

「よしっ。類!
 オレにまかせとけ!」

牧野に会ったと言う司が
そう言った時から何となく
こうなるような予感はしてたんだよね。


『あまい気持ち』   第16話


司に悪気なんてこれっぽっちもなくて
本気で俺の恋を応援してるつもりなのはわかってる。
だからこそタチが悪い…とまでは言わないけど。

司は昔からそうだ。

行動力がある、って言えば聞こえはいいけど
本能…ってやつ?考えるより先に体が動くタイプ。
暴走し始めたあいつを止められる奴なんていない。

ま、そういう所が司らしさでもあるし
少なくとも俺はあいつのいい所の1つだと思ってる。

だからなるようになると思ってたんだけど…
想定外だったのは司が恋愛に対してあまりに鈍かった事。

とっくに俺をダシにして
牧野に会いに行ってるくせに
当の本人がそれに全く気付いていない。

せっかく牧野も司を気にしてるのに
バカだな、本当に。

そんな状況に焦れて
行動に出たのは牧野の方だった。


「最近、司来てなくない?」
「あ〜…だね」
困ったように笑う顔は
その理由だってわかってるみたい。

何があったのか聞いてみれば
俺との事もちゃんと考えるから
会いに来なくてもいいなんて言っちゃったらしい。

司は極端だからね…
来なくていいと言われた途端に
本当に非常階段に来なくなって
牧野はそれが寂しくなったってところか。

呆れた…。
だけどすぐに笑いがこみ上げる。

「牧野ってさ。
 よく不器用って言われない?」
「も、もうっ!うるさいなっ
 あたしだって結構悩んだんだからねっ!?」
真っ赤になって
恥ずかしさをごまかすように
俺の横っ腹に拳を当ててくるその腕を掴んで

「…だったら俺と付き合っちゃう?」

答えがわかっていながら
そう聞いたのは 意地悪に紛れて本気も少しだけ…。




「残念ながらこの間フラれたとこ。
 だからまだ友達。ね?牧野?」

「「「はぁぁ!?」」」

「付き合ってねぇってどういう事だ?」
「そのままだけど?」

「仲良くしてるって言ってたじゃねぇかよ」
「仲はいいよ?」

問い詰めてくる総二郎とあきらの言葉に答えながら
チラリと司を見れば、まだ放心してる。

本当は司が自分で牧野に確かめるまで
勘違いさせててもいいかなって思ってたんだけどね。

自分の気持ちにだって気付いたくせに
どうして今回に限って本能で動かないのか
その理由もまたあいつらしいから、仕方ない。

「仲良いって…
 ただダチとして仲がいいって言うのか?」
「うん。そうだけど?」

「で、でも
 ”まだ”友達ってことは
 お前は諦めたわけじゃねぇって事か?」
「んー…。どうだろ。
 牧野も片思い中みたいでさ。
 もしそいつと上手くいかなかったら
 俺にもまだチャンスはあるのかも?…ね?牧野?」
司をボーッと見ていた牧野に声をかければ
「えっ?う、うん?」
ハッとしたように顔を上げて頷いた。
絶対聞いてなかったでしょ、今。

でもそれならそれでいい。
牧野はあの時の告白はただの冗談だと思ってるし
今の言葉は牧野じゃなくて司に言ったんだから。

「…と、とりあえず
 お前らも何か飲むだろ?座れよ」
納得はしてなさそうな顔をしながらも
あきらが話題を変える。

「いや、やっぱり帰るよ。
 3人だけだと思ったから来たんだけど
 どうもお邪魔だったみたいだしね?」

__これで動かないならもう知らないよ?

そんなメッセージを
視線だけで伝えれば司は立ち上がると
黙って俺が握ってた牧野の手を取って
連れ去るように店を出て行った。

その背中を見送りながら
「ほんと世話が焼けるんだから」
小さなため息が漏れた。


司が牧野を連れて帰っちゃって
帰るタイミングを逃した俺は結局店に残った。

「なぁ、類。
 牧野の好きな奴ってまさか…」
俺のドリンクを持ってきてくれたあきらが
遠慮気味に聞いてくるから無言で肯定しておく。

「…これで良かったのか?」
「良いも悪いも
 なるようにしかならないでしょ」

「そりゃそうかもしれねぇけどよ。
 一発くらい殴ってもよかったんじゃね?」
あきららしくない物騒な言葉にクスッと笑う。

「あの2人見てると面白いんだよね」

もしも司が絡んで来なければ
もっと牧野にハマってたかもしれないし
牧野だって俺に振り向いてくれたかもしれない。

でもあの2人はきっと
どこでどんな風に出会っていても
惹かれ合ったんじゃないかって、そう感じる。

「なんか俺さ、司が好きな物を
 司より先に見つけるのが上手みたい」

「…ん?何の話だ?」
「ううん。こっちの話」
怪訝そうに首を傾げたあきらに
クスクス笑いながら2人が消えた扉に視線を流した。



まだ司と出会ったばかりの幼稚舎の頃。

ハッキリと言いたい事を口にする司は
あの頃、普通に人と話す事さえ苦手だった
内向的な俺にとって自慢の友達でいつも一緒だった。
そんなある日に起こったちょっとした事件。

父さんがお土産に買ってきた
限定生産のテディベア。

貴重かどうか、そんな事に興味はなかったけれど
触り心地が好みで安心出来てすごく気に入った。

次の日には母さんが止めるのも聞かずに
幼稚舎に持って行くと、それに興味を示したのが司。

あの時、
別に貸すのが嫌だったわけじゃない。
自分の持ち物を司に羨ましがられたことが
俺の中の小さな優越感を満たして
手を離せなくなって引っ張り合いになった挙句壊れた。

「類が悪いんだぞ!
 類がいつまでも離さないからっ」
そう言った司の顔が
言葉とは裏腹に悲しそうで
どうしたらいいか分からなくなった。

「あら、簡単よ。
 明日またおはようって司君に挨拶なさい」
帰ってから母さんに話せば
壊れたテディベアを縫いながら笑った。

「類は司君に怒ってるわけでも
 謝ってほしいわけでもないんでしょう?
 ただ仲直りしたいだけなのよね?」
「うん」

「きっと司君も同じ気持ちよ。
 だから明日は類から笑顔で声をかけるの」


これから2人がどうなるのかは
それこそ本人次第なんだけど。

どっちにしてもきっと明日は
司はあの時みたいに
またバツが悪そうな顔で俺の前に現れるはず。

だから俺もあの時と同じように
また笑って「おはよう」って挨拶してみようかな。





いつも応援ありがとうございます♡

あまい気持ち 15

不毛な片思いなど
なかった事にしてとっとと忘れてしまえばいい。
今なら傷だってまだ浅いはずだ。

そう自分に言い聞かせ続けて
2週間ほど過ぎたが 忘れるどころか
日に日に気持ちが膨らんでいる気さえしていた。


『あまい気持ち』   第15話



あれから何度か牧野を見かけたが
声はかけられなかった。

こうなって気付いたのは
オレと牧野を繋いでいたのは類の存在で
それ以外の共通の話題なんてねぇって事だ。

だったらどう声をかければいい?


”類と付き合い始めたんだろ?良かったじゃねぇか”

おそらくこれが自然な第一声なんだろうが
オレは昔から嘘をつくのは苦手だ。
本心とは真逆の言葉を吐くオレ自身が
自然な態度でいられるとは思えねぇ。

“何かあったら相談しろよ”

もちろん牧野に何かあれば全力で助けてやるが
牧野には類がついてる。
オレに相談なんてする必要がねぇだろ。

話す事がねぇなら
牧野をダチだと思えるまで
距離を置けばいいだけの話だというのに

自分でもらしくねぇと思うほど
どう声をかけるか
ウダウダと考えちまうのは
結局は本当に言いたい事は言えなくても
オレがあいつに会いたいから。

あぁ…クソッ!
ついこの間まで何の気なしに会ってたし
ランチにだって平気で連れ出せたのに。
類と付き合い始めた今、
口実なしでは会うことも難しい
己の立ち位置が憎い。

「はぁぁ…」
ソファに深く体を預け深いため息をつく。

すると
「暇そうだな。
 じゃあ司、少し早いが行くか?」
総二郎に声をかけられ
ここがテラスでこいつらもいた事を思い出した。

「あ?どこにだよ」
「どこって遊びに行くんだよ」
ニヤリと笑うその顔だけで
どこに行くかは聞かずともわかる。

とても今そういう気分じゃねぇ。
恋の傷は新しい恋で、なんて言ってた気もするが
誰でもいいわけじゃねぇんだ。

だがあいつは
あの時のクマのぬいぐるみじゃねぇ。
奪うわけにも壊しちまうわけにもいかねぇだろ。

「…パ」
パス、そう言い切る前に
予想していたかのように言葉を被せてきた。

「パスはなしだぜ?」
「お前だって今度は付き合うっつっただろ」
その言葉にそう言えば返事が面倒で
適当に頷いたような気もすると記憶をたどる。

「決まりだな」
「たまには付き合えよ」
そう2人に肩を叩かれ
乗り気じゃねぇにしろ気分転換くらいにはなるかと
仕方なく立ち上がった。


「はぁぁ…」
その数時間後、オレはこいつらに付き合った事を
早くも後悔し ため息を吐いていた。

こいつらが呼んだのか
たまたまその辺にいた奴に声をかけたのか
それは知らねぇが 女の趣味悪すぎんだろ…。

最初に馴れ馴れしく腕に巻きついてきた女の腕を
振り払い触るなと睨みつければ
「あんっ。道明寺さん、こわ〜い」
なんてバカ丸出しな声を出して
あきらの方へと逃げて行ったきり
時々様子を窺うように
性懲りもなく媚びた視線をよこすが
それさえもシカトすればそのうち
あっちはあっちで勝手に盛り上がってやがる。


「そう怖い顔すんなって。
 彼女らだって悪気はねぇんだからよ」
しばらくするとあきらが女と離れて声をかけてきた。

悪気はなくとも
オレらに取り入ろうとする打算や下心は見え見えだ。

「なぁ、あきら。
 お前はあんなので本当に傷が癒えるのか?」
とても共感出来ねぇと小さくため息をつけば
あきらも苦笑いを浮かべた。

「ま、オレの場合は
 ちゃんと好きだっつったって
 最初から未来がある恋愛じゃねぇし。
 気晴らしに遊ぶくらいなら丁度いいんじゃね?」
「…そうかよ」

だったら未来を考えるどころか
スタートラインにも立てなかったオレの場合
この気持ちにケリがつけられるまで
どれくらいの時間が必要なのかと
そんな事を考えた、その時。

店の入り口の方が騒がしくなった。

「何だ?…って、
 おい、あれ類じゃね!?」
「…あ?」
意外な名前に視線を向ければ
そこには確かに類と…
類に手を引かれながらも落ち着かない様子の牧野。

「デートか?
 へぇ…。ちゃんと仲良くやってんだな」
そんな何気ないあきらの言葉も
しっかりとオレの胸に突き刺さって大ダメージだ。

会いたかった。
会いたかったけどよ。

よりにもよって
デートに遭遇するとかマジで何なんだよ。

不貞腐れるオレを知ってか知らずか
類はオレらを見つけるとそのままこっちへ向かってくる。

「珍しいじゃん」
「ん。あきらに聞いたらここだって言うからさ」
総二郎が声をかければ
総二郎に纏わりついていた女どもが
今度は類にも媚を売るように笑いかけていて
反吐が出そうになったが

類も類だ。
こんな所に牧野連れてくんじゃねぇよ。
デートならもっと他に場所があんだろっ。
オレだったら…こんな所じゃなくて

そう勝手に牧野とのデートを想像し始めたオレの隣で
類と総二郎は話を続けている。

「たまには誘ってくれたっていいんじゃない?」
「…は?
 いつも誘ったって興味ねぇっつーじゃん」

「そうだけどさ。
 たまには遊びたい気分の時だってあるよ」
「へ、ぇ…?」
総二郎が返事に困るのは当然だ。
類だって総二郎たちの”遊び”の意味はわかってるはずで
彼女を隣にして言うセリフじゃねぇからだ。


「私、F4の中で1番花沢さんが好きなんですぅ」
総二郎の腕に巻きついていた女が
またバカ丸出しの声を出す。

「でもこちらの可愛らしい方は
 まさか彼女ですか?だったらすごくショックです〜」
チラリと類の隣に立つ牧野を見て言うが
その顔は完全にバカにしてるようにも見える。

…マジであの女ぶっ飛ばすか?

イライラが頂点に達しようとした時

「ん?違うよ。
 残念ながらこの間フラれたとこ。
 だからまだ友達。ね?牧野?」
なんてあっさりと答えた類の言葉に

「「「はぁぁ!?」」」
オレと総二郎とあきらの声が重なった。

 



いつも応援ありがとうございます♡

★もうちょっと苛めようかと思ったんですけどね。
 可哀そうなんで、教えてあげました (*´艸`)ププ★

あまい気持ち 14

気付かなければ良かった…。

そう思っても もう遅くて。
ほんの少し前に自覚してしまった
自分の気持ちを完全に持て余していた。

『あまい気持ち』   第14話


邸に戻り 私室へまっすぐに足を進め
そのまま奥へと進むとベッドへと倒れ込んだ。

最初から類の好きな女だと知ってて近づいたんだ。
こんなの想定外もいいところだ。

どうすんだよ、オレ。
っつか、今さらどうにも出来ねぇだろ。

今さら何を言ったところで
オレの失恋は決定してる。
類と牧野はすでに付き合ってんだぞ?

そうだ。
こうなるように望んだのは他の誰でもねぇオレ自身で。
誰よりも2人を祝福しなければならない立場だ。

オレ達が当たり前だと思って疑わなかった常識が
あいつにとっては非常識で。
あいつの言動はいつも新鮮で近づきすぎた…。

そう後悔したところで
何もかもが遅すぎだ。

「…言えるわけねぇよ」

あれほど類を推しておいて
くっついた途端に今度は自分が惚れただなんて

たとえフラれるのは覚悟の上で
せめて気持ちを伝えるだけだとしても
牧野に言わせればそんなもの
あまりに身勝手で迷惑なだけだろう。

牧野の幸せを考えるなら
このまま黙ってダチでいるのがベストだ。

「はぁぁ…」
そう決めたそばから漏れたため息は
静かな空気に溶けていった。



ハッキリ言って
とても学園へ顔出すような気分じゃねぇが。

表面上ダチの顔をしておくなら
いきなり邸に引きこもるのも妙かと
翌日もいつも通り学園へと向かう車内で
流れる景色を眺めながら

よく考えたら牧野が
オレが登校しているかどうかなんて
気にしているかさえ怪しい事に気づき
意外と健気なタイプだったのかと
自嘲気味にツッコミを入れた。

と、その時。

学園の門の手前で
並んで歩く類と牧野の後ろ姿を見つけ

自覚してしまうとやっぱり
心臓がギュッと締め付けられて
僅かに体が反応した。

それに運転手も気付いたのか
「類様ですね。
 お声をかけられますか?」
と聞いてくる。

少し迷ったが
「…いや、いい。行ってくれ」

昨日までのオレなら…
きっと声くらいはかけたはずだ
やっと収まる所に収まったのかと
冷やかしていたかもしれない。

だが、今はまだ
あいつらの顔を見て
笑って祝福なんて出来そうにねぇ。

2人を車が追いこした時
類がうちの車だと気付いて
こっちを見た気もするが
どうせ外からは車内は見えねぇんだから
気付かなかったフリをして通り過ぎた。



オレがテラスに来てすぐ
類が今度は1人でやって来る。

「おはよ。
 さっき門の前で声かけてくれれば良かったのに」
「…いたのか?
 外なんて見てねぇから気付かねぇよ」

「途中で牧野見つけて声かけたんだけどさ、
 乗らないって言うから一緒に歩いてきたんだ」
「へぇ?
 っつか、一緒に登校とか大丈夫なのかよ?」

ランチに行っただけで絡まれたんだ。
連れ立って登校だなんてそれこそ騒ぎになる気がした。

「この間の司の牽制が効いてるみたいだよ?
 あの時に俺とも仲良いのはバレちゃってるしね」
「…ふぅん。
 ならいいけどよ」

だったらこんな所に来ねぇで
一緒にいればいいんじゃねぇかと思ったが

牧野の事だ。
類が彼氏になったところで
授業は授業だと自分の教室に行っちまったんだろう。

そんな会話をしているうちに
今度は総二郎とあきらがやって来る。

「お。なんだよ。
 2人とも早ぇんじゃん?」
なんて声をかけながら
いつもの席へと腰を下ろした。

「お前らこそ。
 昨日は遊んでたんじゃねぇのかよ」
オレには考えらんねぇが
こいつらが揃っていれば
大体が朝まではどっかの女と一緒だったはずだ。

だから今日は顔を出したとしても
昼を回ってからだと思っていた。

…ま。
正直 今類と2人きりだと
なんとなく息が詰まる気がしてたから助かったが。

「それがあきらの奴
 結構マジにヘコんじまっててよ〜。
 適当に抜けるに抜けられなかったんだわ」
と総二郎が肩を竦めて小さく息をつく。

「…あきら、何かあったの?」
昨日の会話を知らない類が首を傾げれば
総二郎がククッと笑いながら事情を説明した。

「類は何も悪くねぇのはわかってんだけど
 今幸せ絶頂なお前にだけは慰められたくねぇぞ。
 頼むからそっとしておいてくれ」
あきらが拗ねたような口調で類を睨む。

その言葉にオレも
確かにそうだ、と心の中で頷いちまった。

「ま。恋の傷は新しい恋が癒すだろ。
 またいつでも付き合ってやっから元気出せ」
あきらの肩をポンポンと叩いて

「で?類は何か言う事ねぇの?
 牧野とはどうなってんだよ?」
どうしてもそこをハッキリさせたいらしい総二郎が類を見る。

「ん?仲良くしてるよ?」
ニコッと笑ってそう答えたこいつに
また心臓を握り潰された。

だがそんな事には当然気付きもしない総二郎は

「おーおー。
 そりゃ良かったじゃねぇか」
と満足そうに笑って

「今度は司も付き合えよ」
なんて機嫌よさそうにオレにも声をかける。

平然を装いながらも
内心はボコボコにされた気分のオレは
もう反論する気力もなくて

「チッ。…わーったよ」
軽く頷いて流した。





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